シンシン SING SINGのレビュー・感想・評価
全116件中、1~20件目を表示
ラストシーンのその先で生まれた映画
コールマン・ドミンゴがオスカーにノミネートされていたから観てみようかくらいのノリで予備知識を入れずに鑑賞したので、エンドロールで驚かされた。
主要キャストのうち、3名(C・ドミンゴ、マイク・マイク役のショーン・サン・ホセ、演出家ブレント役のポール・レイシー)以外は一般的なプロの俳優ではなく収監された過去を持つ人たちで、その多くは物語に出てきたRTA(Rehabilitation Through the Arts)の経験者だという。ディヴァイン・アイ役のクラレンス・マクリンは、元々は実際にシンシン刑務所で恐れられる荒くれ者だったところRTAで更生し、ディヴァインGのモデルであるジョン・ウィットフィールド(作中、Gにサインをもらう役でカメオ出演)と共に本作の原案・製作総指揮を担っている。
刑務所という殺風景な舞台には不似合いなほど穏やかに進んでゆく物語を追ううち、ドキュメンタリーを観ている感覚に陥る瞬間があったが、それは彼らの実体験が作品の空気に反映されていたからかもしれない。
結果的に先入観なしで彼らの演技を観ることが出来たという意味では、事前リサーチ不足でよかった気がした。
刑務所の演劇グループに、所内一番のワルがやってくる。本作を紹介するそんな短文から、私はほぼ無意識に安直な「暴力や絶望を物語の推進力とする、ありがちな刑務所ドラマ」(パンフレットより。なお作品の背景を詳述したパンフは必読)を連想していた。思えばそれもある種の偏見だったのだろう。
しかし蓋を開けてみると、そこにあったのは人間らしい感情への回帰と癒しの物語だった。RTAのミーティングで次回作の打ち合わせをし、ブレントから演技の手ほどきを受ける中で、収監者たちは自分の内面と向き合う。最初は反発していたディヴァイン・アイも、自分の態度について仲間から忌憚のない指摘を受けたりするうちに徐々に変わってゆく。
ブレントの導きで自分たちが完璧だった時のことを各々が言葉にする場面などは、つい私もその問いを自分自身に投げかけてみたりした。演劇によって自分の感情との付き合い方を学ぶことは、人生経験を通してそれを学ぶことに近い気がし、彼らの体験を不思議なほど身近に感じた。
本作は収監者たちが人間性を取り戻す話にとどまらず、人の心についての普遍的な物語でもあるように思う。
ディヴァインGが冤罪で投獄されていることは中盤でさりげなく明かされるが、その冤罪を晴らす闘いそのものがドラマチックにクローズアップされることはない。一方、彼の減刑嘆願の却下は、親友マイク・マイクの病死という不幸と重なり、彼の心に抱えきれないほどの苦悩をもたらした。
彼が力を貸したディヴァイン・アイの減刑が先に叶ったことは本来Gにとっても喜ばしいはずだが、そのことさえもこの時の彼にとっては孤独と絶望を際立たせる出来事に見えたことだろう。ディノが言った「何かを気にかけると心が開く、そこから痛みが入ってくる」という言葉がGの姿に重なる。
「マミーの掟破り」本公演の前に、「心が抱えきれない時がある」と荒れた態度をメンバーたちに謝ったG。遥か遠いニューヨーク州の刑務所で私とは全く違う世界を生きる彼だが、彼の心のあたたかさ、彼を襲った失望や喪失を知った上で聞いたこの言葉から伝わる感情には垣根など全くなかった。
そして、出所が叶ったGが迎えにきたアイと抱擁する姿に胸を熱くせずにいられない。この短く美しいシーンは、解放、更生、絆、さまざまな意味を感じさせるものだった。
プロではない当事者が演者として参加した作品と言えば近年では「ノマドランド」が記憶に新しい。だが、本作では企画の考案段階からメインキャストに至るまで、当事者たちがより深く関わっているという点が特徴的だ。
シンシン刑務所での演劇プロジェクトに触発された映画が生まれ、それを私たちが鑑賞する、この構造自体がRTAの延長線上にある気さえしてくる。
彼らの実体験が結実したのがこの作品であり、私たちは映画館へ行くことによって、ある意味物語の先にある彼らの実人生、すなわち本作の製作に参加したという人生の軌跡にも触れることが出来る。作品の存在自体が実話と地続きになっている、かつ物語として高いクオリティを実現している、なかなか稀有な映画ではないだろうか。
Unapologetically Intellectual
A heavy prison drama about inmates rehabilitating through theater, Sing Sing was one of the Best Picture snubs at the Oscars. Colman Domingo is well-deserving of his acting nomination. As the story centers around auditions for Hamlet, the Shakespearian energy pervades the narrative, reflecting the characters' struggles as if they are manifested from the scripts in their hands. Such is the power of acting.
自由への扉 垣根を取り払う取り組み
RTA(演劇を通して更生を目指すプログラム)を描いた作品としては「塀の中のジュリアスシーザー」が思い浮かぶ。かの作品も本物の受刑者たちが役を演じており、その演技力には驚かされた。本作はこのRTAを通して自由を奪われた人間たちの真の解放を描いた感動の物語。
最重警備刑務所として知られるシンシン刑務所、原爆に関するスパイ容疑で逮捕されたローゼンバーグ夫妻が処刑されたことでも有名な場所である。
警備体制が厳重なシンシン刑務所は一方で受刑者の社会復帰に向けたプログラムも充実していた。
再犯率が70%ともいわれるアメリカ、しかしこのRTAを経験した受刑者の再犯率は実に3%だという。その効果はすでに実証済みだ。
犯罪を犯す人間は社会に適応できず、たとえ服役を終えても再び刑務所に戻ってきてしまう。根本的な解決をしない限り再犯率を抑えることはできない。
社会に適応できない人間を社会へ復帰させるためにこの演劇活動が役に立つ。それぞれが自分の役割を与えられその仕事に責任を持って取り組む、演技をする場合その役に真摯に向き合いセリフも憶えなくてはならない、自然と根気も養われる。そしてお互いに協力し一つの作品を作り上げていくことで協調性も養われ、その成功体験から自信も得られる。
また様々な役を演じることで自分はなんにでもなれるのだという自信にもつながる。社会に戻るときにはそんな自信が役に立つだろうし、現に服役後俳優になられた人もいるという。
このRTAの活動はまさに社会に直結した活動とも言え、服役の間でも社会とのつながりを感じることができて長い刑期を乗り越える心の支えにもなっている。
たとえ終身刑であっても真面目につとめていればいつか恩赦で出られるのではないか、そんな一縷の希望を胸に抱いて前向きに生きてゆくこともできる。それは人間性を失わずに最後まであきらめない心を養う手助けにもなるはずだ。ちなみに終身刑でも仮出所が認められるケースはある。
犯罪を犯して収監された者たちにとって社会とのつながりを感じさせるRTAの取り組み。それは彼ら受刑者と社会との間にある垣根を取り払う取り組みであった。
しかし無実の罪で服役していたジョンにとってそれは違った。彼は罪を犯したわけでもなく社会復帰活動などはそもそも必要なかった。彼は札付きの悪であるギャングのクラレンスとは違ってインテリでもあり、自分は他の受刑者とは違うという意識があった。彼らをどこかで上から見ていた。彼と他の受刑者との間には垣根が存在していた。
それは彼の自己防衛でもあった。自分は他の犯罪者たちとは違う。自暴自棄になり、彼らに感化されて自分を見失ってはならない。いつか必ず自由の身となることを胸に抱いて自分の冤罪を晴らす努力を続けていた。他の受刑者との垣根は彼が自分を保つために築かれたものでもあった。
彼にとって演劇活動はこの塀の中にいても社会とつながれる唯一のものだった。たとえ自由を奪われた身であってもこの活動により心の中はいつも塀の外にいられる。心だけはどこへでも自由に飛んでいける。鳥籠に囚われの身であっても彼の心は自由に大空へ羽ばたいて行けた。演劇の活動はそんな彼の心の支えであった。いつか無実が認められ本当に自由に身となれる希望を胸に抱いて。刑務所の窓から手を出して外の空気に触れるときいつか身も心も自由の空気を浴びることができると信じていた。しかし彼の希望は打ち砕かれる。
彼の無実の訴えは認められず、相棒のマイクマイクまで失い彼は絶望に打ちひしがれる。鳥籠から解放されるどころか翼を折られてしまったかのように彼の心は折れてしまう。
なぜクラレンスが仮釈放で自分は出られないのか、そのあまりの理不尽に彼の心はくじけてしまう。そんな彼にクラレンスが寄り添う。クラレンスはRTAの活動通して、ジョンや他の仲間たちのおかげで変わることができた。次は彼がジョンを救う番だった。
RTAの活動は社会復帰に向けた活動。それは罪を犯した者たちのためだけではない。理不尽にも自由を奪われ希望を失った人間に希望を与えるための活動でもあった。理由はどうあれ共に自由を奪われた者たちが互いに助け合い力を合わせて苦難に立ち向かう。社会の一員として互いに協力し合い共に生きてゆくことを学ばせる、そんなRTAに込められた真の目的がジョンを救ったのだった。この時ジョンとクラレンスの間にあった垣根は完全に取り払われた。
アメリカの受刑者数は世界一の数で220万人にものぼり、世界の受刑者全体の25%にも及ぶという。ジョンのような無実の人間だけではなく収監される必要のない者たちまで収監してきた歴史がアメリカの刑務所にはあった。
今でこそシンシン刑務所のような人道的取り組みがなされている刑務所も少なくないが、アメリカの刑務所の多くはその作られた理由が他の所にあった。
もちろん当初は犯罪者を処罰するため隔離するために作られたが、その多くは収益性を見込んで作られた。
それは南北戦争終結時にまでさかのぼる。奴隷労働に依存していた南部は奴隷解放により経済は苦しくなった。その不満が当の黒人たちに向けられ彼らは迫害される。
憲法で奴隷労働は禁じられていたが受刑者の労働だけは例外であり、奴隷解放後、職や住むところを失った黒人たちは徘徊などという微罪で多くが刑務所に入れられ労働力として利用された。
刑務所は労働力を供給する新たな奴隷制度を作り上げた。こぞって刑務所は建設され、また70年代以降麻薬犯罪取り締まり強化によりさらに受刑者の数は膨れ上がった。多くは麻薬所持だけで最高終身刑にまで至るケースもあり受刑者は増え続けた。
犯罪取り締まり段階でもシステマティックレイシズムが働き、黒人が白人よりも集中的に取り締まり対象となり多くが収監された。アメリカ全人口に黒人が占める割合が14%に対して黒人受刑者が占める割合は30%にも及んだ。
次第に増えすぎた刑務所が財政を圧迫し、民間刑務所が採用されることとなる。刑務所を中心としたビジネスモデルが確立され、産獄複合体という状況が生まれた。もはや刑務所は人間倉庫と呼ばれ、収益化のために経費は節減され、ただ受刑者を収容するだけで彼らへのケアはほとんど行われなかった。病気でも治療は受けさせてもらえずそのまま亡くなる受刑者も後を絶たなかった。社会復帰に向けた厚生プログラムなどありえない状況が今でも続いている。
受刑者はもはや利益を生む搾取の対象としてしか意味を持たなかった。シンシン刑務所のように本来の刑務所が担うはずの矯正施設としての役割を果たさず、受刑者をただ奴隷のように搾取している刑務所が今も存在するアメリカ。
ジョンは最後には自由を手に入れることができた。しかし今もなおジョンのように無実の罪であるいは微罪により自由を奪われ奴隷の身に甘んじている人々が多く存在する。
このRTAのような取り組みがすべての刑務所行政に行き渡り、奴隷制度を続ける劣悪な刑務所の垣根を取り払いすべての受刑者の人権が守られることを願うばかりだ。そうして初めて真の自由が人々にもたらされるのだろう。南北戦争から160年以上経った今でもいまだ黒人奴隷たちは真の自由を勝ち取れていない。
刑務所と社会との垣根を取り払うRTAの取り組みが人権を侵害する不当な拘束を許す制度の垣根をも取り払う役目を持つものであることを信じたい。
物語の最後、仮出所が認められたジョンをクラレンスが迎える。車の窓から手を出して外の空気に触れるジョン。この時彼は身も心も自由を嚙み締めていた。
収監されることと演じること
アメリカで収監されるということとはどういうことなのか、興味深かった。アメリカでは無実の罪で収監される人がとても多いということ、そして中での生活は思っているよりも自由であること。日本のようながんじがらめのルールなど存在しないらしい。収監された事実によって生涯前科者としての烙印を日本のように押されるということもなさそうだ。この烙印という十字架が犯罪の抑止効果を持つということは理解できるが、表裏一体の問題点も多い。良くも悪くも日本に比べアメリカは、犯罪や収監という事実に関して弛い感じだ。
収監された人々が更正のためにシェイクスピアや古代エジプトを題材にした本格的な芝居を演じることの意味、意義、なるほどと感心した。僕の芝居体験は小学校の時の学芸会、学生時代のおふざけ劇くらいかな、でもこうしてみると演劇って興味深い。そんなことを考えながら観てました。
個人的ハイライトシーン
個人的ハイライトシーンは、演劇指導者が受刑者に「今までの人生で最高の瞬間は?」と聞き、ひとりひとりが答えていくシーン。特に子どもの頃に「近所にかき氷のワゴンがやってきた時」って答えた方のシーンはお気に入りになりそうだ。
もっとドラマティックな内容が起きるのかと思いきや、たしかにドキュメンタリー基調。しかもものすごく静か。演劇の映画ということで、映画中の「セリフ」ひとつひとつが作りこまれているのかなという感じ。言葉で映画が展開するのが好きな人にはうけるかも。
今、アナタは演技していますか?
刑務所内の更生プログラムとしての演劇。
実はを元に、実際の元受刑者が演じる。
手持ちカメラで、ドキュメンタリー風に撮影。
あまりにも『悪い』顔をしていたら、本物でした。
演技がうますぎます。
これが、むしろ違和感に感じました。
審問官と同じ感想です。何だか、嘘っぽい。
それこそ、コメディーにしてみるとか、ミュージカルにした方がよかったのでは?
ドキュメンタリー風にするなら、ドキュメンタリーを撮れば良かった。
最後に記録映像の生き生きした感じがないのですよ。
劇のセットも出来過ぎでしょう。
これは、映画自体の問題ではないかも知れませんが、
ほとんど黒人の受刑者がかなりシェイクスピアの知識がある。
劇伴も含めた音楽が、白人的すぎる。
そう思ったら、監督は白人でした。
アメリカ人が教育の成果としてかなりシェイクスピアが浸透しているとして、
自分たちの文化ではないことを基板としているのは、滑稽に見えました。
もちろん、奴隷として連れて来られた時点で、文化を奪われているとも取れますが。
音楽は普通の『感動作』っぽく、こちらも彼らの生活と密接な感じはしません。
もちろん、重犯罪を犯す黒人が、戯曲やクラシック音楽と親しんでいてもよいのですが。
以上のように、良くできているのに、いろんなところに違和感があるというのが感想です。
気なら無いなら、良い評価を付けられると思います。
感情を取り戻す
ニューヨーク郊外のシンシン刑務所(「ティファニーで朝食を」にも出てくる)で実際に行われている受刑者更生プログラム(RTA)を基にドラマ化。準主役をはじめ出演者のほとんどが実際のRTA経験者ということに、まず驚く。
映像も、手持ちカメラを多用したドキュメンタリータッチ。参加者それぞれが心情を語るワークショップの場面は、真に迫るものがある。希望のない閉鎖された空間でも、演じることを通じて、人間としての感情を取り戻そうとするRTAのテーマ(=この作品のテーマ)が理解できる。
ただ、内省的な面に寄りすぎた感じで、音楽の単調さと相まって、ドラマとしての平板さは否めない。舞台づくりに関わる葛藤や喜び、主人公の出獄の経緯など、もう少し観せてほしかった。
エンドロールで、現実に行われた舞台の模様が映されていて、喜劇らしく楽しげだったが、本編でもそれぐらい弾けるところがあってもよかった。
私でも同じ状況なら、やはり夢中になる物を見つけて演者となるだろう。...
私でも同じ状況なら、やはり夢中になる物を見つけて演者となるだろう。
この映画は『ショーシャンクの空に』(1994)や『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』(2020)とは違う。
"正しい方向への変化" が最も大切なテーマだと感じました。
ニューヨーク州シンシン刑務所で実際に行われている収監者更生プログラム(RTA)である舞台演劇を題材に、ここに収監された男と収監者仲間たちとの友情を実話を基に映画化で、しかもキャストは主演のコールマン・ドミンゴなど数人のプロ以外は、全員がこの更生プログラムを受けた元収監者たち。
ジョン・“ディヴァイン・G”が新人の演者クラレンス・“ディヴァイン・アイ”に演劇を通して大きな影響を与えるのが物語の主軸かと思いきや、逆に新人(ド素人)のディヴァイン・アイから皆んなに影響を与える所も多い。特に主人公コールマン・ドミンゴ演じるディヴァイン・Gに変化をもたらす意外性のある実話で、地味な映像(フィルム撮影らしい)も独特。
『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』にも出てたポール・レイシー(おじいちゃん演出家)もいい。
※ディヴァイン(divine):主に「神の」「神聖な」「非凡な」「すばらしい」といった意味で使われ、宗教的な文脈で使われることが多い。日常会話では驚くほど素晴らしいものを表現する際にも使われる。
※RTA(Rehabilitation Through the Arts):舞台演劇を通して収監者の更生を目指すプログラムで、収監者の社会復帰において役立つプログラム。
実際に刑務所に収監されていた人達が本人役で出演している
アメリカにあるシンシン刑務所で実際に起きた出来事を描いた映画。
癖のある映画というイメージのA24の配給。
映画館で予告を見ていて、見にいってみた。
ショーシャンクに並ぶ刑務所の友情ドラマっていう宣伝文句も気になってたし。
良い映画でした。
更生プログラムとしての演劇活動。
そこは良かった。
主人公の苦悩も感じられたし。。
だけど、不満点も多い。
回収されないまま終わる無実の罪。
それと、ラストシーンだけで友情を語るには物足りない。
もっと、友情にまつわるエピソードを入れて欲しかったかな。。
実際に刑務所に収監されていた人達が本人役で出ている。
ホント素人とは思えない演技。
これは凄いと思いました。
クラレンス役の彼も囚人だったのね。
ショーシャンクには及ばないと思う。
ただ、更生プログラムとしての演劇活動。
演じるという事の意味を考えながら見ていた。
いつかまた彼らに会いたくなる映画
80%の収監者が、アメリカ警察司法制度により、有罪判決がでていないにも関わらず、階級や人種差別によるもの、とパンフにあり、衝撃を受けた。
そんな不遇な立場の彼ら、そりゃ誰だってヤケクソになるだろう。
それでも、じぶんがやりたい役で自由な喜劇を演じる事で、あらたな自分を発見していく。
お互いが、お互いの過去を見つける。ともに励まし合い、よさを発見していく。
私は、尊厳とは、その人らしさを認めることだ、と学んだ事があります。
この映画の何よりすごいのは、ほぼ全員が、かつての収監者であり、本人役を、演じている!
心に響くセリフが、たくさん。
彼らの全身から確信を持って、生きてビシバシつたわる。
プロセスということば。
自分が今会いたい人はだれか目をつぶって思い出しなさい。
コンピュータやアニメが作り出せない人間臭み、不器用で愛すべき人間による、人間のための、圧巻のヒューマンドラマ。
そうか!
だから、演劇や芝居が、古からあらゆる時代を経てもなくならないのだ。みんな人間がみたいのだ。
ひとりひとりは弱いけど、人間はすばらしい。
人間は弱いけど、ひとりひとりは、すばらしい。
モーツァルト魔笛の歌詞を思い出しました。
観たことない、傑作です。
満席でした。
余談
ミュージカル映画プロデューサーズで、シンシンが出ますが、あれはギャグじゃなくて本物だったとは!
人生はやり直すことができる。
じぶんが世界を決めるのだと。
ブレージングサドルもシンシンのセリフに出てきたし、メルブルックスはやはり偉大なんだなあ、私は大好きだ。
受刑者の心情に迫る力作
誰が実際の受刑者なのかなぁと思いながら観ていたら…
ほぼ全員が元受刑者で刑務所内の演劇プログラムで演技を学んだだけだと知って驚きました。
プロの役者と遜色ない実力です。
受刑者の役者が歌って踊る艶やかな舞台を想像していましたが、演技を学ぶことにより自身の内面と向き合うことを追った内容でした。
舞台そのものよりもその舞台に至る過程が丁寧に描かれています。
舞台を作り上げる過程において演技の練習などで自己の内面を語るシーンが多く登場するのですが
収監されるに至った「個人的な事情」は多様で
自らの体験をベースとした嘘偽りの無い内面の吐露が、元受刑者の演技に迫真のリアリティを与え、プロの役者に全く引けを取らない存在感を示すことができたのでしょう。
長く収監されている人々の心情にはやるせない気持ちになりました。
それゆえに刑期を終えて出所する風景にはカタルシスを感じます。
変に感動作にしないことでよりリアリティを感じる
黒人比率が高すぎでは?
米ニューヨークのハドソン川沿いに有るシンシン刑務所で行われている収監者更生プログラムの舞台演劇により、収監者の友情を描いた実話を映画化。
ディヴァインGは、刑務所内の更生プログラムで舞台演劇グループに所属し、収監者仲間たちと演劇に取り組むことで生きる希望を見いだしていた。そんなある日、刑務所で一番の悪人として恐れられていたディヴァイン・アイが演劇グループに参加することになり、次の公演に向け喜劇を演目とし、練習に励む、という話。
収監者の黒人比率が高いなぁ、と感じた。ドキュメンタリーなら仕方ないが、ディズニー的ポリコレだとアウトでは?
シンシン刑務所の元収監者でこの舞台演劇プログラムの卒業生が多数参加しているそうで、リアリティを持たせていたのは良かったと思うが、演技が上手いわけでもなく退屈だった。
友情物語なんだと思うけど、なんだか既視感だらけで新鮮さもないし、面白くなかった。
自分には合わなかった
悪くないけど本番シーンもっと観たかったな〜
本音を語り、傷をさらす
こないだ鑑賞してきました🎬
刑務所内での更生プログラムを題材にしたストーリー。
ディヴァインGを演じるコールマン・ドミンゴは確かに良かったですね🙂
プログラムの中心メンバーであり、演目を考えたりもしますが、時折現実に押しつぶされそうになったり。
そのあたりの心の揺れ具合を、画面越しからも伝わる熱量で表現したドミンゴは見事でした😀
アカデミー主演男優賞ノミネートも納得です🫡
クラレンス・マクリンの本人役も良い味でてましたね。
最初は稽古に身が入らない感じも、雰囲気がありリアルでした😳
実話ベースということで、プログラムを通じて収監者たちが少しずつ希望を見出していく様は心に響くものがあります🤔
実際の刑務所関係者や、更生プログラムの卒業者が出演しているのも功を奏していますね。
刑務所が舞台のヒューマンドラマとして、確かな手応えを感じる1本でした👍
テオスカー・ヘルナンデスがずっと居る。
既視感あるも胸熱!
ディヴァインGとディヴァイン・アイの友情物語である。
シンシン刑務所で行われている収監者更生プログラムの
舞台演劇を軸にストーリーが展開するが、
Gとアイを中心に描かれている。
ラストで私は『ショーシャンクの空に』が頭によぎった。
刑務所が舞台なだけに目新しさはないし、
友情物語と言えば‥ということで、
どうしても既視感はある。
しかしながら、最初は尖っていたアイの態度が
Gとのコミュニケーションを通して
徐々に仲間と打ち解けて和らいでいくのには
感動するし、俳優の演技も素晴らしいと思う。
無実なのにもかかわらず刑務所から出られないGの葛藤と
仲間とのぶつかり合いも見応えがあった。
Gも聖人君子のような立ち振る舞いだったものが、
やはり一人の人間なのだとあらためて感じる素晴らしい
演出だった。
そして今度はアイがGに寄り添い、Gの心を溶かしていく。
ラストでは先に出所していたアイがGの出所日に
車で迎えにきていて、涙ながらにハグする場面は
心が震えた。
ラストショットのGの表情も実に爽やかで、
観ている私としても救われる気持ちになった。
実話がベースであり、本人役で出ている人もいるし、
実際の画像も使用され、リアリティも増していたと思う。
時々こういう作品が観たくなる。
全116件中、1~20件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。