シンシン SING SINGのレビュー・感想・評価
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演じることは、自分と他者を見つめること
ドキュメンタリータッチでリアリティもありつつ、個々の心情が伝わるストーリー。
周辺の物語や説明に触らず、彼らの演劇プログラムへの取り組みにフォーカスしたことが、この作品を「ただの刑務所内物語」にさせなかった。
日本では、教育現場で演劇が「インプロ」として取り組まれることはあっても、刑務所で更生のために用いられるには、ハードルが高そうだ。
被害者感情に配慮する世論や、担う側の関わる能力、時間不足が指摘されそうだけど、この作品によって、取り組みによる深い意味が伝わってきた。
「他者を演じる」ことで向き合わざるを得ない自分自身、言葉や感情の解釈、主役以外にも重要な役割があること、他者に認められる喜び、感情表現と抑制、他者と共に創り上げる一体感と達成感、大人であっても、こうした取り組みがいかに心の成長に繋がるのか。彼らの合意形成プロセスも、学びが多い。
冤罪は別問題としても、大人でも変わる可能性があること、再犯を防ぐ必要性からも、このプログラムを支持したいと心から思えた(プログラム経験者の再犯率は5%以下)。
そして何より、外に出た彼らが、こうして刑務所にいたこともオープンにしながら「発信したい」と思えたことそのものが、素晴らしい成果じゃないかなぁ。
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