「何でもコンテンツにされる現代社会の歪さ。」#真相をお話しします おけんさんの映画レビュー(感想・評価)
何でもコンテンツにされる現代社会の歪さ。
めちゃくちゃよかった!
全体のストーリーがありつつ、ショートドラマのオムニバスも3本楽しめるという構成。結末は人によっては全くピンと来ずに終わるかもしれないけど、自分はめちゃくちゃ刺さった。まじで現代の全人類に見てほしいし、改めて真剣に社会のあり方を考えるきっかけになる作品だった。
導入も長ったらしくなくてすごくよかった。重要な人物の名前が超キラキラネームなのも助かって、オムニバスパートでいろんな人物が入れ替わり出てきても「この人誰だっけ?」みたいにならずに済んだ。
そして、そのオムニバスパートそれぞれのクオリティがめちゃくちゃ高い。構成も、映像も、演技も全部よかった。伏線の散りばめ方も絶妙で、最初はただの違和感に思えたところが、ほぼ全部意味を持っていた。推理しながら観るのがほんと楽しかった。
キャストも豪華すぎる。
正直「キャスティングに金かけすぎて中身スカスカなんじゃ?」って舐めてたけど、全然そんなことなかった。
むしろ脚本・演出・演技、全部ガチ。
カメラのアングルや画質の細かい違いなどにも伏線が散りばめられていて、違和感に気づくのが楽しい。
話の角度が90度変わるような展開をしても、無理矢理感ゼロでスムーズに繋がっていく脚本も見事だった。
テーマとしては、何でもエンタメとして消化されてしまう現代社会への問題提起。
誰でも発信できる時代だからこそ、何もかもが「コンテンツ化」されて消費されていく。顔を出す作り手と顔を出さない受け手のパワーバランスの歪さ。
もちろん一人一人の意識を変えていくなんて夢物語かもしれないけど、こんなテーマを持った作品によって訴え続けることに意味があると思った。
ラストまで観て、ただのエンタメで終わらせず、ちゃんと考えさせられるのがすごかった。
キャストの演技力、映像、脚本、設定、すべてに抜かりなくこだわられていて、ハイクオリティなミステリーで最後まで楽しませてくれたうえで、ちゃんと心にもズシッと残る作品だった。
