雪風 YUKIKAZEのレビュー・感想・評価
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至福のエンドロール
駆逐艦雪風の事は以前から知っていました。
また、これをリスペクトした戦闘妖精雪風というハードSF小説の金字塔やアニメも大好きです。
しかし、まさかこの艦艇を主役に据えた実写映画が作られるとは予想だにしていませんでした。
ミッドウェイ、マリアナ、レイテ等、名前を聞くだけで背筋が凍りつくような激烈な負け戦さの殆どに参加しながらも、終戦まで生還し続け、終戦後は外地に取り残された兵隊を帰国させるために尽力した奇跡の艦艇です。
日本で作られる戦争映画といえば、どうしても戦意高揚を狙った右寄りなものや、逆に戦争の悲惨さを前面に出した左寄りの内容が多い中で、本作はまさにど真ん中の中道を貫いた、穏やかな戦争映画であると感じました。
海戦ものですので、当然ながら戦闘シーンはありますし、戦死する兵隊の描写もあります。
しかし、CGを駆使したアクションシーンに注力するよりは、乗組員の人生観や人命救助等のドラマ部分に焦点が当てられており、左右どちらにも偏ることのない、普遍的な人間性を訴える姿勢に共感しました。
史実なのか創作なのかは判りませんが、過酷な戦闘状況下であるにも関わらず、登場人物の殆どが無謀な上層部の方針に異を唱え、人道的な行動を貫いている点や、アメリカと戦っているにも関わらず、以前に観たアメリカ映画を賞賛する点など、鬼畜米英が叫ばれていた時代における、最前線にいる方のブレない価値観にも共感しました。
また、漂流する敵兵を見逃すシーンがありましたが、史実としても、撃沈した英国艦艇にの英兵422名を救助し、正々堂々と勇敢に戦った兵士を来賓として迎えた、駆逐艦雷の工藤俊作艦長のエピソードもあります。
最前線では武士道精神に則った交流が実践されていたのだとすれば、少しながらも爽やかな気持ちになりました。
その点においては、戦争映画の体裁を取りつつも、思想的には現代のスポーツマンシップにも通じる、人道的な印象を受けました。
余談ですが、ゴジラ-1.0の海神作戦で活躍する雪風の艦長役で登場し、「衝撃に備えよ!」という名台詞で有名になった俳優の田中美央さんが、本作では艦艇と命運を共にする大和艦長役を演じておられ、クスッとなりました。
全編を通じて流れているのは、どんな過酷な状況に置かれたとしても、個々が最優先すべき人生の指針は、軍部上層が一方的に決定した命令ではなく、己が良しとして信じる価値観が最優先されているという点において、戦争映画というよりは、現代の価値観にも通じる、海猿やMER等のレスキュー映画に近いと感じました。
そして、一番印象的だったのはエンドロールです。
劇場の灯りが点くまで席を立たないで下さい。
映画の登場人物にも重なる歌詞の、Uruさんの優しい歌声が流れた後のエンドロール数分間は、今まで観た映画のどれにも当てはまらない、根源的な演出だったと思います。
アメコミヒーロー映画みたいに、エンドロール終了後にオマケ映像が挿入されるという陳腐な仕掛けはありませんが、本作のエンドロールの数分間は、観客がそれぞれ歩んだ人生を振り返る思索のひとときになると思います。
確かに戦闘のシーンは少ない
淡々と物語が進んでいったことが逆に当時の指揮官の考えを浮き彫りにしていった。なぜ戦争をしなければならなかったのか、始めてしまった戦争についての個々人の考えを綴りたかったのだろうと考えた。だからこそ、ラストが?と思ってしまった。
撃った爆発した戦闘ではない戦争映画
先にお伝えすると、戦争がテーマの映画ではありますが……何ていうのか、ド派手な撃った撃たれた。なシーンは殆どありません。
タイトル通り、駆逐艦「雪風」を中心においたストーリーとなっております。
私は雪風という艦の事はゲームで聞きかじったり、見聞した程度の知識しかありませんが、終戦まで沈むことなく敵味方問わず人命救助に尽力した艦という程度の認識しかありません。
戦争は上層部が勝手に始めるが、戦うのは前線にいる兵士たち。というのを描き、その兵士一人ひとりにも「家族、友人、恋人」が、家庭があり人生がある。というテーマを描いています。
作品を見るうえで「第二次世界大戦」を知っていると話の展開もわかりやすく、深入りできるのではないかと思っています、私はそういう知識は「聞きかじった程度」の知識しかないのでとりあえず日本は「ミッドウェー海戦」での大敗北を皮切りに劣勢に立たされていった。というぐらいでしょうか。
途中、零戦が「特別攻撃部隊」として雪風の横を飛んでいくシーンがありますが、あれも一人一人の命がある兵士が乗ったものであり、作中でも「人道的な行いではない」的な発言もあり忌避する人もいたと思われます。
この作品のテーマは「救出」と「命」であり、雪風に乗艦するクルーの日常や帰りを待つ人達の願う「普通に家族をもって、孫をみたり、笑ってご飯を楽しめる」といった「普通」の未来をつくりたかったというものでした。
戦争映画なので申し訳程度の海戦はあります、本当に申し訳程度です。
今の日本の、自分達の、若者の姿は「普通の人生を送ってほしい」と願って戦っておられた方々からみたらどう映るのか「それでいい」と言われるかはたまた…。
考えさせられる映画でした。
テーマは良いが、散漫な構成と後付け感で力を失った作品
『雪風 YUKIKAZE』
実在した駆逐艦『雪風』を題材に「命を救う」という普遍的なテーマを描こうとした点は素晴らしく、公開前は大いに期待した。題材の格、出演陣の顔ぶれ、主題歌まで揃っており、これなら戦争映画の新たな金字塔になるのではと。
しかし、実際の仕上がりは残念ながら期待は大きく裏切られる。まず構成が粗く、真珠湾からミッドウェイ、ソロモン、マリアナ、レイテとシーンが飛びすぎて感情の積み重ねが途切れ、登場人物の内面が十分に掘り下げられないまま場面が変わり、命を救う場面も「出来事のダイジェスト」にしか見えず、緊迫感や迫力に欠けてしまった。
さらにリアリティの不足も深刻。俳優陣の演技力は確かに高いものの、肌艶や体型が健康的すぎて戦時下の兵士には見えず、極限状況の疲弊や汗や汚れが映像に出すことができず、観客を戦場に連れて行く臨場感がないまま、結果として「命の重み」が胸に迫ることがなかった。
テーマ設定も後付け感が否めない。主題歌のタイトルが「手紙」だからか、映画内でも「手紙」が象徴のように扱われたのか?と疑ってしまうほど、実際に手紙のシーンはほとんど無く、物語を貫く要素にはなっていない。艦長の娘が父の志を継ぐような積み上げも無いまま、最後に成長した娘(有村架純)が唐突に登場し、感動の押し売りに見えてしまう。さらにラストで大阪万博につなげる演出は、作品のテーマから自然に導かれた必然性がなく、宣伝色が強く浮いていた。
まとめれば、題材とテーマは優れているのに、構成の散漫さ・映像の力不足・後付けに見える要素の連続によって「命の重さを伝える」という最大の使命を果たせなかった作品だと感じます。惜しい、という言葉に尽きます。
先人の方々が「雪風」に乗せ継承される未来への思い
人に優しい?マイルド戦争映画。描いている話は大切だが「物語」が上辺だけできれいごとで芯を喰った話が無く、予告編かミュージックビデオのように美しい。
あらすじの内容を、ただそのまま映画にしたようで、ディテールの掘り下げや「物語」がほとんどない。
船上での乗組員たちの生活や葛藤、任務遂行での問題や、雪風の駆逐艦としての役割・戦術のことなど、もっと描くことがあるはず。
救出シーンの描き方も一、二方向のショットだけで実に整然としてる。
それこそ戦艦の沈没に巻き込まれる者もいたり、生死の境で苦しむものが大勢必死に泳いでいたり、阿鼻叫喚の地獄絵図のようではなかったのか。
「生きて返す。助ける。」ことに焦点を当てれば、戦争の悲惨さに心を痛めることも少なく、観客にとって観やすい感動的な話にしやすいのかもしれないが、やはりきれいごとになってしまう。
「普通がいい。」の言葉が生きてこない。
戦闘シーンのCGも、がんばってはいるのでしょうが、良く見るいつもの戦闘シーンの視点。
本当に大勢の命のがぶつかり合っている戦場とは感じられない。
やはりゲームのようで、大和の沈没もお茶を濁されている感じがした。
それらの描き込み、積み重ねが無いと、公開時期的に万博の繁栄との比較や、今を生きる者に対する問いかけも、強くは響かない。
テーマがいいのだから、脚本の腕があれば、描きようはいくらでもあると思う。
無線機の故障で引き返せず単独で敵に向かい生き延びるとか、三角定規を使った操舵指示などは面白かった。
また、彼らが我々に問いかけるシーンはストレートすぎて観ていて実に気恥ずかしいが、意図は伝わった。
パンフレットに、映画のCGや実際の写真等、肝心の雪風の艦影写真がほとんど無いのはなぜ?
エンドクレジット再録の見開きページの背景に薄く映っているだけ。
ここもまた物足りない。
最後の20分は興醒めした
竹野内豊さんは時間が経つにつれて痩せて見えたりと玉木宏さんも本当に役作りを本気にしていらしたのがよく分かった(撮影順なのかほほの肉が後半戻ってしまったりしてたが…)後半の中井貴一のブヨブヨさが戦時中?と思わせるくらいに対比があった
あれだけ爆撃を受けたにも関わらず甲板が常に無傷なのはとてもきになったが全般的にとっても良かった…艦長が亡くなるまでは泣けた
が!?
艦長の写真見ながらのアレは
…大和??しかも宇宙戦艦やんかw
ならば『なにもかも懐かしい』と
言ってほしかった
感動が爆笑にかわった
最後の娘さんが何処かで
救助活動してるのも無理くりすぎ
形見のヘアピン付けて
暴風雨で人命救助…せんやろ?
絶対失くすわ!と思った
大阪万博…必要??
構成がなんだかもったいない
静かな戦争映画
えーっと
対空機銃の発射シーンは使いまわしかと思った。
戦争を描く作品は本当に難しい。今回もそれをあらためて認識させられた。
まず言っておきたいのは、今作において戦闘のスペクタクルを期待してはいけないということだ。予告編等を観ずに戦争映画だろうと思って劇場へ向かえば後悔は必至だ。私のように。とは言え、開始直後の万博映像である程度悟ることができたので、ショックは長引かない。そういうものと思って鑑賞するのが吉。
CGだのVFXだの言う以前に、まともに戦闘描写をするつもりが無いのは明白。戦闘とはすなわち「死」を描くものであり、それが欠ければリアリティを生み出せない。それが完全に欠けているのである。先任伍長の死の瞬間でさえあの演出とは驚愕した。さらに言うなら血を流して倒れ腕が千切れれば残酷描写をした、戦争の悲惨さを訴えた、とはならない。絶望する表情を、死にたくないと足掻く様を、逃げ出してしまうような恐怖を描写しなければ何も伝わらない。今回、雪風の見せ場?である救助シーンもただ縄につかまった人を引き上げているだけ。別に海猿よろしく潜水しろとまでは言わないが、もう少し工夫は出来なかったのか?助けようとしたけど助けられなかった苦悩も描くとか、助ける助けないでもうちょっと揉めるとか。
そうそこだ。揉める、だ。書いていて気が付いたが、登場人物に嫌な奴がほぼいなかった。非情な命令は下るが、それを下した張本人どもの描写が無いのだ。厭戦ムード漂う大戦末期、特攻やら一億玉砕やらを命じて「お国のために」と狂ったように並べ立てる本当の馬鹿幹部が出てこない。現場レベルの能無し体罰指揮官すらいないな。もっと熱くぶつかり合う野郎共とかアホ上官と揉めるとか何も無かったな。全然心が動かないなと思ったらそこだわ。
数々の戦争映画をご覧になってきた諸兄に具体例を出すまでもなく、洋画邦画問わず反戦・非戦を心に訴えかける作品はたくさんある。それらの多くは劇中で「戦争はいけません」とか「未来ある若者に託す」とか台詞を並べるのではなく、死と直面する描写をもって伝えてきたと私は感じている。勿論、受け取り方や感じ方、映画としての楽しみ方は個人の自由。故に私個人はそのように感じるし、今作の描写からはその意図を感じなかった。予算がどうだのレーティングがどうだの制約もあるのは分かるが、そこを加味したら大抵の作品は「よくがんばりました」で終わる。それは絶対に良くないので、友人との会話だろうとSNSへの投稿だろうと映画作品への忖度はしないのが私のポリシーである。
脱線したが、あくまで雪風はこんな感じで戦中・戦後に活躍しましたよ、という内容の映画であるというのが私が観た結果だ。実際にあった戦争で実在した艦船を描くなら、もう少しCGと言うか戦闘描写にこだわってほしかったところ。俳優の皆さんの演技は素晴らしかったのでこの評価だが、それが無ければもっと低かっただろう。
「普通がいいな」
今、私たちはこの国で普通の暮らしが送れていることに感謝しなければならない。
この国の、あの戦さ。
一億総特攻の中で、この国の未来のために若い人材を残そうとした人たち、生きて還る、生きて帰す。守らなければならない人のために生き抜く、ひとりでも多く助ける、ひとり残さず助ける、こういった人たちがいたことに胸を打たれる。
それがわかっていた上で死んでいった人たちになお胸を打たれる。
数多の作戦に参加して生命を救い続けた駆逐艦雪風、艦長と乗組員たちを通して生き抜くことの大切さを伝えんとする、その内容にはとても胸を打たれるが、見せ方があまり上手くない。
脚本が悪いのか、編集が悪いのか、演出が悪いのか。
スコールなのに晴れている、敵機の襲来に緊迫感がない、1番の見せ場ともなるべきあのシーンが、あれわざとなのかな。
中井貴一が出てきてやっと締まったけれど、それまでの流れが単調で盛り上がらない。
主題歌をバックに延々と続くエピローグ、あれもこれも伝えたいんだろうが、ちゃんと伝わってますよ。
最後に出てきた娘さんは、ジュラシック・ワールドのエイリアンよりも、近畿地方のこだまよりも驚いた!
嬉しいサプライズ!!
主題歌が終わったあとのエンドロールの波の音がいつまでも耳に残ります。
「普通がいいな」
雪風という駆逐艦の使命
火垂るの墓を金曜に見て、からのこの映画。
実在した人や戦艦などが題材になって、フィクションミックスな映画。
戦争は本当に嫌だね、というのを改めて実感できるのだが、如何せん今回のこの映画を何となくで「見てみようか」というだけで見た時に、雪風という駆逐艦がいかにすごいのか、いかに幸運な艦であったのかについては、予備知識や戦時下の凄まじさなどを想像できるか、それを知らなくては分からない。ただそのすごさは、割と劇中内で把握できるとは思う。
巨大戦艦や空母が海に沈んだ中、大破することなく、大きな損傷を無くして、毎度帰って来る雪風。これは本当に奇跡だったろうというのは、ミリタリーオタクではない自分にもよく分かった。雪風という駆逐艦の存在を知ることができて、よかった。
ただ何となくで「見てみよう」となって見た時それが良かったのか、ミリタリー映画などに求める迫力やシーンのカットなどで気になるところはなかった。
ただ、ミリタリー映画や戦艦や駆逐艦を題材としているのであれば、こういうカットが欲しかったとか、映像でほしいシーンや適切な映像の魅せ方というものに欲が出ていたかもしれない。魚雷の速さにはなかなか驚いた。
…蛇足にはなるが、確かにこの映画は駆逐艦が題材であるからこそ、海上戦のシーンは非常に今回のスクリーンでは魅力のひとつとして数えられるものであろう。
しかし、伝えたいのは、「アメリカという圧倒的な国力をもった相手に、敗戦が視えた中での戦争を生き抜いた人々」や「戦争内での人々の想い・思惑」などではないだろうか。だから戦闘シーンなどが中途半端に感じるところもあると思う。
海軍の、上の人間に翻弄される、現場の海軍の心理描写はじめ演じた俳優陣は素晴らしかった。
特に中井貴一氏。死を覚悟しながらも、澄み切ったような何かを感じさせる表情や演技に胸が痛んだ。
機関銃をぶっぱする必死な海兵のソレが何かクセになる。グッズ化してほしかった…。
伍長は生きていてほしかったが、無念。
ただ謎に死に急ぐ艦長・寺澤と、その同期との関係性などは少し希薄だったので、もう少し劇中での同期との関係性に対する描写が欲しかった。武士道もちょっと薄かった。
海上自衛隊が協力したらしい本作は、最後に自衛隊が。警察予備隊ではないはず…。同時に素敵な伏線回収だったと思う。志願者、増えるといいね。
雪風という駆逐艦・幸運艦は、少なからず海軍の人間を守り、幸運を授けていたことと思う。映画を観終わってから雪風を調べたが、劇中の最後で語られた台風で沈んだ、というのもまた何か運命のようなものを感じた。戦争などで沈んだのではなく、まるで戦争が終わったことで己の任務が終わったかのように、役目が終わったことを理解していたかのような雪風の最期に駆逐艦というものを超えた何かを感じざるを得なかった。きっと、己の役目を理解していた、かなり聡い艦だったのかもしれない。
追記
あくまでフィクションミックスだからこそ、雪風という駆逐艦が美化されているように見えるのかもしれない。ただ、「フィクションミックス」であることを失念していると、映画というよりもドキュメンタリーを見ていた方が興味深いものになるのではないだろうか。
現代の日本人が見るべき映画
この映画は勇ましい軍人もでてこないし、英雄もでてきません。大東亜戦争中に駆逐艦「雪風」という艦内で戦い続けた軍人たちのリアルな日常が出てきます。艦長、砲雷長、水雷長、航海長、先任伍長、若い水兵たちの日時用と戦場の日々です。将棋をしたり、笑いもあります。皆家族を思い、国を思い戦ってくれた人たちです。このような映画が戦後初めてできたという感動的な気持ちもあります。伊藤長官が水上特攻の命令を連合艦隊参謀から受け取るときに、参謀との口約束が多くの軍人を救います。「この国には必ず若い力が必要になる。」生き残った人たちがいてくれて今の私たちが存在しています。そのことに感謝するとともに、今を生きる我々は先人に対する敬意と今できることを一生懸命に行い、それができなくて亡くなった人たちに顔向けできるように胸を張っていきられるようになりたいと思いました。映画館では背筋が伸びた状態でほとんど動けませんでした。
ゆっくり描かれることで戦争の中での人を感じる
もっとちゃんと魅せないと駄目、映画なんだから
まず雪風という題材がなるほど非常に映画的だなと思いました
太平洋戦争を最前線で戦い抜いた不沈艦
この視点は日本の戦争映画に新しいエモーションをもたらしてくれるのではないかと期待しました
しかし見終えた感想としてはですね、残念ながら期待は下回ってしまいました
駄作とは言いません俳優陣は皆さん良かったです
特に玉木宏は本当に良い俳優になったなぁと感心しました
ただ私は映画というのはたとえそれが重いテーマを扱うものであったとしてもあくまでエンタメであるべきだと思っているので盛り上げるところはしっかり盛り上げてほしいんです。この作品にはそれがありませんでした
中盤のレイテ沖海戦で単艦突っ込むとこなんかは映画的にもう最高の見せ場ですよ。なのに結構あっさり切り抜けちゃう
最後の戦いもそう、日本のシンボルである大和(中井貴一は流石の貫禄)が撤退命令を出した!さぁ雪風はどんな演技を見せてくれる!?って普通に人員救助しとる
それが彼らの使命をまっとうしている描写だというのはわかるのですが、そこはやっぱりもっと痺れさせてほしかった
取ってつけたように救助した上官を黙らせるシーンがありましたがあんなのじゃ全然足りないです
要するにこの映画は雪風のスペシャリティーを「魅せ」てくれないんですよ。なんていうかプレゼンがめっちゃ下手なんです。ほう、あの幸運艦か!とか言わせてるだけ
尺の使い方も微妙です。万博やお義父さんとの晩酌シーンはいらないので、亡くなった同期との邂逅シーンをちょっとでも入れてくれんと感情移入が追いつきません
MOTTAINAI!
「武士道」で語ろうという気持ちは受け取った
(8月16日投稿、24日追記)
送り盆の墓参りの後、お墓のある松本市のイオンシネマで本作を鑑賞。
本編前の宣伝で、どうも自衛隊らしき映像が流れて、「石芝に陸上自衛隊の駐屯地がある松本市だからかなぁ」とぼんやり観ていたら、映像最後に「海上自衛隊」のロゴとシンボルマーク。「?」と思ったが、謎は本編を観たら解けた。
本作、これまで余り描かれてこなかった視点で、戦争を描こうとする心意気は感じられたし、史実をもとにしたフィクションと断っているだけのことはあって、玉木宏演じる早瀬幸平の故郷を描く場面でも、手紙を読む妹サチの背景に信州の民芸品(鳩車のあけび細工)が映り込んだり、芋の植え付けの際に草かきまでが持ち出されていたり(鉄の供出が匂わされていたのだろう)と、細かなところへの配慮も伝わってきた。
そして、作品全編で「武士道」を引き合いに出して、「死ぬ事と見つけたり」とは、「戦場でどうやって死ぬかではなくて、誰にも訪れる死を覚悟すれば、毎日の生が充実するって意味だよ」と語りたかったのだろうと受け取った。
その上で考えたことは、以下に内容にも触れながら書き残すことにする。
<内容に触れていますので、ご注意ください>
・これだけの映画を製作するには、それこそ海上自衛隊の全面協力が必要なことは間違いないだろうと思う。ただし、正直言って、鑑賞後に真っ先に思ってしまったのは、「これは、海上自衛隊のプロモーション映画?」ということだった。
艦長の娘が海自に入り、災害派遣で人命救助にあたるところまではなるほどと思ったが、江田島の幹部候補生学校と生徒たちの整列の空撮までいくと、さすがに「う〜ん」となる。
・断っておくが、私は自衛隊反対というつもりはもちろんないし、災害派遣等の姿を拝見するたびに、本当に頭が下がる思いでいる。そして、自衛隊入隊を自ら選択された方に、何か物申したい訳でもない。(どの業界も人不足が喫緊の課題なので、PRしたい意図もわかる)
・それなのに、本作の最後に「う〜ん」となってしまったのは、「国を守る」というのはどういうことなのかが、自分の中でここのところずっと「問い」になっていることと関係している。
それは、言い方を変えると、江田島の学校の描写を挿入することで、大日本帝国海軍と海上自衛隊がまるで連続しているかの様に誤読させる恐れを感じたからだ。
・本作の中で、戦艦大和に「一億総玉砕の先駆けとなれ」との命が下る場面がある。史実なのだから出てきて当然なのだが、一億総玉砕によって守られる「国」とは何かと言えば、「国体護持」すなわち「天皇主体の国家の維持」ということになる。
当時の方々がどれだけ本気だったのかは窺い知れないが「一億人全員が玉砕しても天皇制を残すぞ」という論理は、全く破綻している。国民全員がいなくなれば天皇制が継続できるわけがなく、日本の国土も維持できない。そんなことを、当時の高官たちがわからないはずはなく、もちろん国民も薄々わかっていただろう。それなのに、そのおかしなスローガンがまかり通ってしまった理由は何なのか。原因は軍部だけでなく、熱気によって戦争を選んだ国民にもある。
そこをしっかり見つめずに、「国民は軍に騙されていた」で終わりにしては、過ちは何度も繰り返されると思う。(余談になるが、「見つめること」が「反省」だと思うので、8月15日の石破茂の式辞は全く正しいと思うし、それをあえて騒ぎ立てること自体が異常な兆しだろう)
・国民主権国家において、「国」とは、そこに暮らす「一人一人」のことにほかならない。だからこそ、雪風の先任伍長の早瀬がこだわった「一人残らず引き上げろ」は「現代的に正しい」し、ミッドウェーで助けた兵士が、不発弾の処理で雪風を助ける流れも象徴的で、とても納得できる。(今の自衛隊の災害派遣はこれにあたると思う)
・だが、天皇主権の国家では、平たく言うと、一人残らず引き上げることは、天皇の臣民を助ける行為という意味で価値があるが、そうして逃げ遅れたら、皇国の持ち物である艦自体を損なってしまうというジレンマにもなるように、人も物も全て天皇のもの。だから、その威を借りて特攻みたいな非人道的な命令が通る訳だし、誤解を恐れずに言うと、特攻で散らされてしまった命が、直接今の平和な日本につながっている訳では決してない。
・今作に限らず、戦争モノの作品のレビューでは、「日本を守るために戦ってくれた方々のおかげで、今の日本がある」といった語りをされることがある。それにとても違和感を感じてしまう。
戦争を起こさず、外交によって資源確保の道を選択していたら。率先的に植民地を手放すことで、経済的に縮小し、逆に倫理的に大国にプレッシャーをかけていたら。戦争に入ったとしても、もっと早く敗戦の事実を受け入れていたら。
全部たらればだが、この戦争は決して自衛のために避けられなかった戦争ではないという前提を忘れてはいないだろうか。そして、特攻という狂信者が指示する行為を、悲壮感をまとわせながら「それしか選択肢はなかった」みたいな語りに乗っかってしまっていないだろうか。
・絶対に「おかげ」であってはいけないのだ。
「この戦争で命を落とされた全ての方々の『犠牲』の上に」今の日本があるのだ。そこを決して間違えてはいけないし、その違いは、今生きている私たちの「戦争への向きあい方の違い」として、とても大切な所だと思う。
・だから、艦上から乗組員がにこやかに手を振ってくる演出での「見てるぞ」は、どっちの意味なのかうまく飲み込めなかった。そして、艦長はどうして戦後まで生かしてもらえなかったのだろう。
・現在、海上自衛隊に入隊されている方々も、第一に考えていらっしゃるのは、いかに戦闘を未然に防ぐかだと思うし、現行の憲法のもとで、「国を守る」=「人を助ける」方法や手段は様々で、我々自身、今の自分の持ち場でできることがたくさんあると思う。
・そして、「国」の概念を、人種の別や、人の内心に踏み込んで小さく排除的に考えようとするのか。
逆に、よりオープンに多様なあり方を大切にした「国」を描いていくのか。
そうした議論は、「差別とは何か」にも密接に結びついている。
・戦争は、戦闘している場所に留まらず、その国の隅々まで行き渡る、あらゆる差別を凝縮した事象だ。
・どんな「国」を守っていくことが、犠牲に遭われた方々の願いに本当にそったものになるのか。引き続き自分に問い続けていきたい。
ほんの80年前
若者たちへ…
戦争の実態…とゆーよりも…いかに戦争が馬鹿げた価値のない人と人との闘いであるか…いかに愚かな人間同士の憎み合いであるか…。上がゆーから下が意味も分からず従い、昨日いっしょに遊んだ人を今日、殺す…みたいな椅子取りゲー…いや、国取りゲームに翻弄させられたたーくさんの民衆たち、宝の若者たち、子供たち…をCinemaを通して今の若者たちに正義と平和の価値観を教育するべく映画だったよーに感じました。驚くのは意外と、現在の昭和ひとけた世代のお爺さんお婆さん、また戦争に行かなくて済んだ爺さんたち、また目の前で人が沢山燃えたり撃たれたり木っ端微塵になった場面に遭遇したことの無く、直接痛い目に遭ったことがない爺さんたちは毎年夏の戦争記事や放送を観ると…「またコレか…」と、のたまわく。コレが自分は1番驚く。今、90代でコレだから、近い将来の日本は…終わったら…しりませんよー。.
優しい良い感じ
戦争映画だが優しい良い感じです。
CGも多分スターウォーズとかと違って低予算だろうが、記録フィルムによせて最大限頑張っていると思う。
無音とシーンと早瀬が見ているぞのシーンは私は泣けました。
あとエンドロールが独特で私は素晴らしいと思いました。
万人向けではけっしてありませんが、この終戦80年のおり鑑賞されるのも良いかと思います。
地本のシアターで17時の回でしたがなかなか若い方からお年寄りまで子供さんもおられて、いろいろな年齢層のかたが鑑賞されるんだなあーと感じました。
全484件中、341~360件目を表示












