劇場公開日 2025年8月15日

「表現が少し浅いように感じました」雪風 YUKIKAZE pekeさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 表現が少し浅いように感じました

2025年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

しょっぱなからけなして申し訳ないけれど、映画作品として、とくに優れたところはないように思いました(予告編を観て、そんな予感はしていたけれど)。

「命をかけて戦った人々の犠牲の上にいまの平和があるのだから、しっかりとやっていこうぜ、日本!」というメッセージは届いたけれど、映画作品としては、少し表現が浅いように感じた。

一番の原因は、脚本がイマイチということでしょう。
物語の作り方が何だかわざとらしい感じがします。
「いい話」にしたいのはわかるけど、それが前に出すぎてしまってはいけません。難しいところです。

それから、撮影。
CGとVFX(かな?)を駆使した戦闘シーンはまあよくできていたと思うけれど、将兵たちを救助するシーンが全然ダメ。
全部、下から見上げた角度、あるいは舷側に相対する角度で撮っている。
ここは絶対に何がなんでも、甲板から見下ろして、海に漂い救助を待つ多数の将兵をとらえるというカットを入れるべきだと思う。それがないからレスキューのシーンにリアリティーがない。
しかも、大きいセットが組めないなど、予算の関係だと思うが、「寄り」の映像が多いから広がりが感じられない。
本作は、全体的に「寄り」のシーンが多く、人物との対比で艦のスケールを感じさせるような場面がほとんどなかった(これもまた予算などの関係だろう)。

あと、悪口ついでに書くと、太平洋の真ん中はいつもあんなに凪いでいるのか? 大阪湾でももっと波があるはずだ。
救助のシーンは、うねりのある日に実際に海で撮影してリアリティーを出してほしかった(好き勝手なこと言ってごめんね)。

俳優陣については、やはり中井貴一が頭ひとつ抜けている気がした。
発声も確かで、揺るぎない存在感を示していた。

エンドロールの、波と警笛の音だけで余韻を残して終わる、というアイディアはよかったです。

追記
同じく旧日本海軍もので救出劇である『太平洋奇跡の作戦 キスカ』(1965年公開・丸山誠治監督)を鑑賞して比較してみよう!!

peke
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