「キャストと題材だけが良い映画」雪風 YUKIKAZE チョビ助さんの映画レビュー(感想・評価)
キャストと題材だけが良い映画
まず、竹野内豊が主役ならば、
映画の導入から間違ってる。
私の考える理想的な導入
米軍の急降下爆撃機コックピット内部の画から始まり必殺の爆弾投下、爆弾のアップそのまま艦に迫っていく
その爆弾を見事な操艦で紙一重に回避する艦長、続いて迫る無数の魚雷
それらもひらりひらりと見事にかわしていく…
そんなシーンから始まっていたなら本作の主役は間違いなく竹野内豊なのだが、そうではない。
ミッドウェイでの沈没艦からの人命救助から始まってしまっている。
映画冒頭って一番力を入れなきゃいけないんだけど迫力、緊迫感、緊張感、臨場感な〜んもない。
死と隣り合わせの極限状態に全然見えない。
救助シーンは本作の重要なテーマなのだが
手を伸ばせ→手を握る→引き上げる
これの連続で漫然としていてリアリティがない。
キャストは豪華なので俳優陣の演技は良かった特に中井貴一の伊藤整一長官は素晴らしい
ツッコミ所の多い本作だが
まず先任伍長ってなんだ?
海軍なんだから兵曹だろ。
2階級特進で兵曹長なら1等兵曹じゃないのか?
1等兵曹如きが艦長に直接意見具申すな。
玉木宏の亡くなるシーンはアレで良かったのか?
明らかな人形、映らない顔、作り物過ぎる腕、主要キャストが死ぬ印象的なシーンがあれじゃダメだろ。
主要キャストの掘り下げがどれも中途半端に浅いので主要キャストとその家族に感情移入が出来ない散漫になるだけなのでカットした方が良いシーンが多い。
有村架純とか人命救助の精神はちゃんと受け継がれてますよ的なシーン?これもとってつけた感がひどい。
とまぁここまで本作の問題点をいろいろと書き連ねたがこんなモノはラストの最大のやらかしに比べたら些事である。
本作はラストで雪風艦上にキャストが集合し帽振りしながら現代の我々へ向かってメッセージをのたまうという前代未聞のクソカットが存在する。
映画で伝えたい事っていうのはシーンで演技でセリフで観客が感じ取ってもらえるようにするのであって演者にダイレクトに言わせるなんてのは単なる押し付けになるので言うまでもなくタブーだ。
そんなタブーを犯した時点でこの映画は凡作からハイパー駄作となった。
戦後80年の節目の映画がこのような駄作となってしまった事を非常に残念に思う。
製作陣には猛省して欲しい。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。