劇場公開日 2025年8月15日

「「ゴジラ-1、0」の「駆逐艦雪風」のほうがよっぽど良かった。」雪風 YUKIKAZE belleさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0 「ゴジラ-1、0」の「駆逐艦雪風」のほうがよっぽど良かった。

2025年8月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

驚く

なぜ日本は、史実どおりに映画を作らないのだろうか。
史実どおりで、充分、手応えがある。
(韓国「ソウルの春」2023年を観て、あのリアルさを勉強してほしいものだ)

とにかくこの映画は、調べが浅い上に、太平洋戦争中の4年間で起きたことを
2時間( 映画 )に収めようというのだから、より一層浅い。
深掘りしていない。
おそらく、そんなに熟考していない段階でも、
【公開は戦後80年の2025年夏!】ということは決まっているから、
そこに合わせて急いだのかどうかは知らんが、練りが浅い。

戦艦大和の沈み方は広く知られているので、ああいうツクリを観ると
大笑いするか、呆れるか、絶句するかしかない。
沈む船は走れないということすら、製作側は知らないのだろう。

ラストは陳腐すぎて不要。

観終わって家に帰って、何だかなぁーとトホホ。 虚しい。

「雪風」は護衛艦だから盛り上がるドラマはないし、
もし映画化するなら、シェークェンスをどこかに絞って描くべきなのに
この映画は話しがとっ散らかっていて、内容が薄すぎる。
もし映画化するなら「空母信濃」のほうが劇性の高い一夜の話しになる。

戦争時の緊迫感は、
乗組員の集中力と士気と訓練の結晶から生まれるものであるが、
最近の日本の戦争映画は、戦争時の緊迫感を「乗組員の怯え(おびえ)」で
表しているのが情けない。
幸運艦「雪風」の乗組員は才ある指揮官のもと、もっと立派で真剣です。

気になるのが、竹野内豊。
映画「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」(2011年)の竹野内豊は
歩き方も兵隊らしく、年配の観客達も満足していた。
おそらく制作当時、良い演技指導者がいたのだろう。
それに比べると「雪風」の竹野内豊は、全体的に締まりが弱く、
視線があさっての方向を向いている。

良かったのは田中美王さん。
艦長役に相応しい貴重な俳優だが、
なんせ戦艦大和の艦長なので、出番が短かくて残念です。敬礼〜

それでも、この映画は
長門勇が炊事兵だった「駆逐艦雪風」(1964)よりはマシ。笑

お話しにならない映画だが、
素材に「雪風」を取り上げたという所を評価して、星は2つ。

この映画の題名を変えるとするならば『有村架純を探せ!』でしょうか。
(この題名にして、視点を変えたほうが来場者が増えるかもしれない。)
エンドロールを見て出演していたことを知ったけれど、
有村さんはどこかにいたのですね。

余談ですが、「ゴジラ−1、0」はアカデミー賞視覚効果賞の受賞、他、
海外から高い評価を受けたということで先日、川喜多賞を受賞!
日本映画が海外で活躍することは、晴々しい。

とにかく日本の戦争映画は、製作されるたびに内容が薄くなっていく。

この映画は、
戦争の記憶が風化されつつある今、おとぎ話やウソに惑わされないように、
私たち自身が資料にあたったり、
本を読むべきだということを教えてくれた。

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belle