劇場公開日 2025年8月15日

「次世代につなぐ」雪風 YUKIKAZE 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 次世代につなぐ

2025年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

夏の季節モノとも言える、太平洋戦争の題材作品。 キャストの良さもあるが、戦後80年の今年、戦争を語り継ぐ必要性をいつにも増して見聞きする中、義務感と言えば言い過ぎだが、観ないといけないような気にもなって観賞。

【物語】
1942年6月、ミッドウェー島沖で沈みゆく巡洋艦「三隈」に駆逐艦「雪風」が近づいていた。雪風の先任伍長・早瀬幸平(玉木宏)の指揮のもと、三隈から海に投げ出された多数の兵員を雪風に救い上げていた。

何度も修羅場的海戦から生還した雪風は幸運艦と呼ばれていた。1943年10月、呉に戻っていた雪風にミッドウェーで早瀬に命を救われた井上(奥平大兼)や新しい艦長・寺澤一利(竹野内豊)が配属される。 新艦長寺澤の下、雪風はきっちり任務を果たして行くが、戦局は厳しくなるばかりだった。

【感想】
おそらくマニアでなければ知らない一般的には無名の雪風。大和・武蔵が主演俳優、空母がメインキャストなら、雪風はそれらを陰で支えるバイプレイヤーというところか。雪風はまさに屈指の名バイプレイヤーだったようだ。

雪風がバイプレイヤーなので、艦長を含めて名前を知っているような人は出てこない。そんな人々にスポットを当てた企画は良かったと思う。英雄ではなく、より庶民感覚の登場人物達は共感し易い。 戦地(艦上)で戦友の間ならまだしも、上官/部下の間でこんな会話は果たしてできたのか? とやや疑問に思えたところはあるものの、主力艦でないこの艦ならそんな本音の会話が有ったかもと思えた。

本作における一貫したメッセージは「いつか戦争は終わり、次世代に“平和な国”を託す」。
若干創作感が強いかとも思うけれど、口に出すか否かは別にしても、当時早瀬・寺澤のような思いを持って戦っていた上官は少なからず居たと信じたい。

幸い日本は80年平和が続き、寺澤の言う「普通」の時代を生きることができている我々は、決してあんな状況に次世代の人を送り込まなくて済むように平和を維持することが務めなのだと思う。油断していればいつでも戦争に巻き込まれ得ることは世界を見れば分かるのだから。

俺が観賞したとき、結構客は入っていたのだが、平均年齢は70を超えていたのでは?と思うほど高齢層が圧倒的に多かった。戦争が身近に有った世代が多いのは分かるが、「次代につなぐ」というテーマからすれば、せめて40~50代の人にも観てもらいたい作品。

泣き虫オヤジ