「壮大なスケールで描くなんて嘘八百、こんな予算では作るべきではなかった」雪風 YUKIKAZE クニオさんの映画レビュー(感想・評価)
壮大なスケールで描くなんて嘘八百、こんな予算では作るべきではなかった
出撃しながらも、最後は必ず人を救って戻って来ることから、「幸運艦」と称された太平洋戦争中に実在した駆逐艦「雪風」の史実に基づく作品と、大義は素晴らしい、けれど映画作品としては最低最悪と言わざるを得ない。
今どきこれ程に汚らしいザラついた画面があろうか? おまけに彩度は死んでるレベル、ほとんど終始微妙に揺れ続ける画面からくる不快感に反吐が出る。周囲のセットの作りこみを省いたのか怠ったのか、それらが映らないように人物のアップの連続、正確にはバストショットで胸から上だけ、人物の居るシチュエーションがまるで観客に伝わらず紙芝居の様相。この駆逐艦を描こうとした目玉の救助シーンなんぞ、助ける人物と助けられる人物の上半身だけ、この安っぽさがまた何度も変化も工夫もなく繰り返される。引きの海面からのショットも別アングルも一切ない。反対に戦闘場面はマクロだらけ、これがまた昭和の特撮以下の有り得ないレベル。ザラザラの荒い画面に手書き同然の戦艦が同じアングルだけで繰り返し。CGなんて言えるレベルでは到底なく、バンダイのおもちゃの船を風呂場に浮かべるレベル。その上、海面がヘドロの海のような汚さ、南方の海上だと言うのに青さが全く無い。SONYの配給だと言うのに「キングダム」のレベルとは雲泥の差、ましてや自社のハリウッドのサポートなんて端から考えてないでしょ。
そして、この幸運艦をベースに人物の意思がまるで見えない。何をしたいのか? 何をしなければならないのか? 雰囲気だけで映画の方向性が欠落、だから退屈地獄。1970年の大阪万博の映像って何? 戦後25年でこの盛況なんて馬鹿な事を言いたかったの? 本土の女性達の描きようったら、紋切り型を1mmも出ない情けなさ。
そんな劣悪環境の中、役者達はペラペラセットの何で精一杯頑張ってました。竹野内豊の瞳に映る戦況悪化はいいけれど、彼の長い睫毛にばかり目が行ってしまいました。田中麗奈はいいけれど、長めの指の爪が違和感ありあり。音楽も控えめすぎてちっとも盛り上がらず、何を描きたかったのか、この監督さんやっと助監督から抜擢されたと言うのに、どうなっているのでしょ
バンダイナムコ、何をしたかったの? ソニーの信用落ちますよこれじゃ。そもそも壮大なスケールで描くなんて、嘘八百。
戦闘シーンの状況描写を映像は殆ど使わず大半を乗組員の報告で済ます。
大和の大破ですら報告で処理し、申し訳程度に傾いた映像が出てきて、突然スケールの合わない大爆発を起こして終わり。
雪風は右舷は一切映らないし、乗組員は20人位しか居ない様に見える。
役者が全員口開けてる使い回しの様な機銃掃射カット。敵機が同じ画面に収まるアングルはない。
プールの様な凪いだ海原に呑気にプカプカ浮かぶ人々。
海を極力画面に入れない救助シーン。
乗組員達のミクロの空間と海や敵など外界のマクロの空間が同居した映像が殆ど無い。
エンドクレジットで確認した外国人俳優、総勢5名。
ショボすぎて泣けました。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。