劇場公開日 2025年8月15日

「普通の暮らしが当たり前と思っちゃいけないね」雪風 YUKIKAZE ゴウさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 普通の暮らしが当たり前と思っちゃいけないね

2025年8月17日
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太平洋戦争で活躍した駆逐艦「雪風」の史実に基づいた作品。
雪風という駆逐艦を知らなかったのだが、戦時中16以上の作戦に参加しつつも大きな損傷を受けず、戦争終結後も、賠償艦として中国に渡り活躍し続けた艦と知り驚きました。

作中では、太平洋戦争の進捗状況が分かりやすく、日本が明らかに追い込まれていく中で、勝てないと分かっていても戦い続けるしか無いという状況が苦しかったです。

艦隊のサポート役である駆逐艦の話である為か戦闘シーンは少々地味め。
魚雷を避けるシーン等は熱かったが、敵戦闘機との戦いは似たようなシーンが多く、単調にも感じました。
また、生々しい描写も控えめなので、戦争映画としてはかなりマイルドな作りです。

ですが、この映画は戦闘シーンなんかより人間ドラマが見どころかなって思います。
緊張感漂う会話の中でも、故郷の話を入れ空気を和ましてくれる上官。船員達も人間味溢れる人達ばかりで、感情移入してしまうが故に辛かったですね。
ああ、自分達と何も変わらない人達が、こうして戦争で命を落としていったんだと。
当たり前の「普通」という生き方ができなかったこんな時代があったんだとこの手の作品を観るたびに胸が痛くなります。
戦争映画も多々ありますが、戦争の記憶がなくなっていかないようこういった作品も作り続けていってほしいですね。

エピローグ的なシーンでエンディングテーマを流し、その後エンドロール時は一切のBGMを無くし、波と船の音だけを流す演出は新鮮で余韻に浸るにとても良かったですね☺

ゴウ