劇場公開日 2025年8月15日

「人に優しい?マイルド戦争映画。描いている話は大切だが「物語」が上辺だけできれいごとで芯を喰った話が無く、予告編かミュージックビデオのように美しい。」雪風 YUKIKAZE ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 人に優しい?マイルド戦争映画。描いている話は大切だが「物語」が上辺だけできれいごとで芯を喰った話が無く、予告編かミュージックビデオのように美しい。

2025年8月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

あらすじの内容を、ただそのまま映画にしたようで、ディテールの掘り下げや「物語」がほとんどない。
船上での乗組員たちの生活や葛藤、任務遂行での問題や、雪風の駆逐艦としての役割・戦術のことなど、もっと描くことがあるはず。
救出シーンの描き方も一、二方向のショットだけで実に整然としてる。
それこそ戦艦の沈没に巻き込まれる者もいたり、生死の境で苦しむものが大勢必死に泳いでいたり、阿鼻叫喚の地獄絵図のようではなかったのか。
「生きて返す。助ける。」ことに焦点を当てれば、戦争の悲惨さに心を痛めることも少なく、観客にとって観やすい感動的な話にしやすいのかもしれないが、やはりきれいごとになってしまう。
「普通がいい。」の言葉が生きてこない。
戦闘シーンのCGも、がんばってはいるのでしょうが、良く見るいつもの戦闘シーンの視点。
本当に大勢の命のがぶつかり合っている戦場とは感じられない。
やはりゲームのようで、大和の沈没もお茶を濁されている感じがした。

それらの描き込み、積み重ねが無いと、公開時期的に万博の繁栄との比較や、今を生きる者に対する問いかけも、強くは響かない。
テーマがいいのだから、脚本の腕があれば、描きようはいくらでもあると思う。

無線機の故障で引き返せず単独で敵に向かい生き延びるとか、三角定規を使った操舵指示などは面白かった。
また、彼らが我々に問いかけるシーンはストレートすぎて観ていて実に気恥ずかしいが、意図は伝わった。

パンフレットに、映画のCGや実際の写真等、肝心の雪風の艦影写真がほとんど無いのはなぜ?
エンドクレジット再録の見開きページの背景に薄く映っているだけ。
ここもまた物足りない。

ITOYA
大吉さんのコメント
2025年8月17日

エピローグであれこれ伝えたかったんでしょうが、それよりも戦後の雪風を最後までしっかりと描いてほしかったです。

大吉
えーじさんのコメント
2025年8月17日

全くです‼︎ ある意味、"雪風"に対するリスペクトが薄いように思います…。最後は中国に譲渡され其処で退艦となったようです。良く働いた船でした。。あらためて「お疲れ様でした」と心より思います

えーじ