「貧乏臭い」雪風 YUKIKAZE vanquishさんの映画レビュー(感想・評価)
貧乏臭い
全体的にVFXがショボくて苛烈な戦闘を潜り抜け、大日本帝国海軍の終末を見届けた「雪風」の凄まじい勇戦敢闘ぶりが感じられなかった。
山崎貴監督とVFX集団の白組が制作してくれたらと思わずにいられなかった。
「雪風」の名誉のために言っておくと最期は台風で破損したのであって「沈ん」ではいません。尚、潜水艦は「潜る」のであって「沈む」のではありません。
艦長が過労で亡くなるのは過労社会日本を批判しているのだろうか・・艦長のセリフ「普通がいいな」はロスジェネ世代の自分には無茶苦茶刺さった。失われた30年で日本の国力は大きく衰退しましたよ。
俳優陣がいい演技してくれているのにもったいない。その俳優陣のバストアップショット
と「顔芸」に頼りきりのVFXがショボい貧乏臭い映画という印象
対空戦闘用意→九六式二十五粍機銃の連射シーン→ラッセルネットで手を伸ばして救助シーンの繰り返し、カメラを振れない引けないのが素人目でも丸分かりで厳しい台所事情が察せされる。
実写が金銭的にキツイからVFXが進歩したのに実写>VFX>顔芸というコスト管理が
見えてしまって落胆してしまった。「雪風」の視点から見れば僚艦が次々とやられていくのを見届けた側面が蔑ろにされてしまった。ここは無茶苦茶VFXを多用しても構わないのだ。
最後の「雪風」を擬人化した視点が見つめている先は現代日本なのか1970年の日本なのか曖昧で、最後のラストメッセージに席からズッコケ落ちそうだった。しかし、日本の安全保障は厳しい。海軍力では中国に凌駕されてしまって、将来の台湾有事では苦戦を強いられるのは必定で、終生の地台湾で解体された「雪風」が心配になるのも無理はない。ただ、映画は貧乏臭くても構わないが現実の自衛隊が貧乏では困るのだ。国債を発行して戦備を整え来るべき有事に備える必要がある。観る人が違えば映画の反戦雰囲気を全く無視して、現実の有事を想像して暗澹たる気分になる人もいるのだ。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。