劇場公開日 2025年8月15日

「普通がいいな」雪風 YUKIKAZE おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 普通がいいな

2025年8月16日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

興奮

■ 作品情報
監督は山田敏久、脚本は長谷川康夫。出演は竹野内豊、玉木宏、奥平大兼、當真あみ、田中麗奈、中井貴一ほか。

■ ストーリー
太平洋戦争中、数々の激戦を生き抜き、「不沈艦」「幸運艦」と称された駆逐艦「雪風」の知られざる史実に基づく物語。戦局の推移を示しながら、最前線で戦い続けた乗組員たちの姿、そして彼らの帰りを待つ家族たちの思いを壮大なスケールで描く。戦争の渦中から戦後、そして現代へとつながる激動の時代を背景に、懸命に生き抜いた人々の運命を通して、命の尊さと平和への願いを問いかける。

■ 感想
戦後80年という特別な夏、数ある戦争関連作品の中でも特に心待ちにしていた本作。期待を込めて公開初日に鑑賞してきました。幅広い年齢層の観客で埋め尽くされた客席を眺めながら、この作品が多くの人々の心に届き、戦争の悲惨さと平和の尊さについて深く考えるきっかけになるといいなと感じました。

実在の駆逐艦「雪風」の歩みを追う中で、当時の戦局が地図上の戦力図と共に視覚的に示されるため、非常にわかりやすく、当時の切迫した状況が鮮明に伝わってきます。これまでその存在さえ知らなかった「雪風」という艦が、いかに数奇な運命をたどり、どのような役割を担っていたのかがしっかりと描かれ、その驚くべき史実にはただただ圧倒されます。

また、戦闘シーンでは、魚雷に対する巧みな操艦、敵戦闘機への命懸けの対空砲火、艦に危険が迫る中での人命救助などが描かれ、艦内の緊迫した様子がひりひりと伝わってきます。その一方で、平穏時には乗組員同士の和気藹々とした交流の様子が描かれ、運命を共にする乗組員たちの強い絆を感じさせます。

本作は、史実に基づいたフィクションではありますが、戦地に赴く兵士たちの決死の覚悟、そして銃後で彼らの無事を祈り続けた家族たちの胸の内は、まさにそのとおりであっただろうと、深く共感せずにはいられません。特に、終盤で描かれる特攻に対する受け止め方は、やや現代的なきらいも感じますが、当時の軍人たちも、口には出さずともあのような思いを抱いていたのではないかと思わされます。

私たちが今享受している平和は、このような人々が命懸けでもたらしてくれたものだということを、決して忘れてはならないと改めて痛感させられます。そして、このかけがえのない平和を未来へと必ず守り抜いていかなければならないと強く思います。特に、艦長の「普通がいいな」という一言が、心に重く響きます。当たり前の日常が当たり前であること、すなわち平和であることの尊さを、この上なく雄弁に語りかけてくるようです。

竹野内豊さん、玉木宏さん、中井貴一さんをはじめとする名優たちの渾身の演技も、この作品を忘れがたいものにしています。彼らが演じる一人一人の感情が、スクリーンからひしひしと伝わり、観ている者の胸を熱く揺さぶります。戦争を知らない若い世代にも、そして当時の記憶をもつ世代にも、ぜひ本作を観て、戦争と平和、そして未来について深く思いを馳せてほしいと、心から願います。

おじゃる
みかずきさんのコメント
2025年9月29日

暫く、こちらのサイトから消えていましたが、
ようやく、映画,comIDへの引継ぎが完了して復活しました。
レビューの大切さを再認識できました。
良い勉強になりました。
今後ともよろしくお願いします。

では、次回は映画談義をしましょう。

みかずき
みかずきさんのコメント
2025年9月4日

共感ありがとうございっます

戦争映画でありながら、生きることを視点にした人間ドラマでした。
普通が良いなを含めて生きることへの心に刺さるメッセージ多く感動的な作品でした。評価は低いようですが私は良作だと思いました。

では、また共感作で

みかずき
おつろくさんのコメント
2025年8月19日

共感ありがとうございます!

おっしゃる通り、普通の生活はとても良いですね。その「普通」が「あたりまえ」ではなくて、先人の弛まない「ありがたい」努力で成り立っている事を再確認できる素晴らしい作品だと感じました。

おつろく
かばこさんのコメント
2025年8月17日

今を「普通に」生きていられるのは、こういう人たちが命がけで遺してくれたものだと実感しますね。
戦死した人まで含めて、雪風の艦上で手を振り帽子を振って「後は託したぞ」というところで、泣きそうになりました。
精一杯人を救った軍隊、そういう生き方もあるんだと思いました。

かばこ
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