「試写で見たけど……プロパガンダにしてもどうかと……」雪風 YUKIKAZE ライトミリオタさんの映画レビュー(感想・評価)
試写で見たけど……プロパガンダにしてもどうかと……
終戦時期あるあるのおためごかし。
海軍式制裁すら描けないなら、そもそも海軍を映画にしようとするな。
とりあえず今覚えてる問題点
・1970大阪万博の映像差し込んで、登場人物が雪風艦長に雪風の最期を語っている……かのような演出で始まるが、寺澤のモデルになった寺内艦長は1978年没なので雪風の解体も当然知ってる。
・雪風を大破解体ではなく、沈みましたと明言。現実では台風で大破し解体しただけなので沈んでない。不沈艦への冒涜。
・ミッドウェイで三隈の生存者救助を、本来関わってない雪風だけがやっていたような演出。史実では随伴していた朝潮と荒潮が担当。
・赤城と加賀がほぼ隣り合わせで燃えてる。そんな近かったらぶつかるわ。
・CG予算がないのか、戦艦や空母や巡洋艦達の沈没が報告書読み上げだけで語られる演出。
・艦長に楯突くもお咎めなしの先任伍長。最低でも鉄拳制裁の後営倉行き、悪ければ軍法会議。こんな艦で戦えるわけが無い。現代的価値観を持ち出すな。
・意味もなく出てくる先任伍長の妹。女の子出しとけば泣けるやろ演出サムい。
・特攻は人道に反するという話を、出現中の艦内で突然語り出す雪風艦長と先任伍長。現代的価値観を持ち出すな(二度目)。
・戦闘機の機銃掃射を受けて腕だけ取れて死ぬ先任伍長。チタン合金で出来てんのかこいつの体。
・それ以外ほぼ死体の映る場面なし。誰も死んでない雪風。
・和気あいあいと常に笑顔溢れる、仲間割れも制裁も皆無な駆逐艦内。ボーイスカウトかな?
・集まって燃えてる西村艦隊。ボーイスカウトなだけにキャンプファイヤーかよ。艦隊作戦どうなってるの?
・一度この反転し(史実)、そのまま再反転しないで消えていく栗田艦隊。栗田ターンって更に悪化出来るんだ……。
・レイテで雪風の魚雷に大破させられる護衛空母。(恐らく沖縄戦でのバンカーヒルのオマージュだけどそれをやったのは特攻隊)
・戦果がないかのように無駄として書かれる特攻隊。もちろん史実では多少の戦果を上げている。
・横転せず、艦橋付近が爆発して吹っ飛ぶ戦艦大和。何が爆発したの?
・先任伍長以外誰も死んでないかの様な演出してんのに、「戦後の君たちへ」のメッセージを語り出す雪風乗組員。お前らも戦後生きてるだろ。
サムい演出と、現代的価値観の押し付けと、和気あいあいボーイスカウトななんちゃってコスプレ海軍ごっこだった。
試写会でよかった。タダだからね。
正直この演出が、表現規制と自粛に凝り固まった現代の限界なんだろうね。
だったらもう無理して作らない方がいいと思う。
映画的演出は理解するけど、ここまで酷い史実のねじ曲げは、英霊達への冒涜に他ならないと思う。
だって、歴史というのは、生きていた誰かの人生なのだから。
良かった点?
犬と猫は可愛かった。
日本の戦争映画は、昔から状況説明が弱く、
いつ、どこで、誰が、どうなっているのかが良くわかりません。
先任伍長(玉木宏)が戦死した場面も、空襲の真っ最中なのか、
通りすがりの敵機にやられたのか不明でした。
あの場面で、「雪風」はどこの海域にいたのでしょうか。
レイテ湾突入のシーンでも、無線をやられて味方と連絡が取れない
という設定でしたが、気がついたら敵に向かって一隻だけで突入
しているというのは無理な設定ではないでしょうか。
手旗信号やサーチライトだってあるし、雪風自身にも見張りが
乗っているので、味方艦隊の動きは見ているはずです。
そんなトンマな船ではありません。
軍事評論家、戦争評論家の監修を受けていないことは明らかで
その姿勢そのものが疑問です。
以前は航空戦だったので、艦船と艦船はかなり離れていたけれど、
今は対潜水艦なので固まって防衛します。
映画「雪風」は今昔ゴチャ混ぜで時代考証がされていない。
マリアナ沖海戦という決戦で、
中核クラス空母の「大鳳」「翔鶴」が
思いもよらない方法で沈没したという知らせを受けたら、
唯ならぬ表情になるだろうに、
この映画「雪風 YUKIKAZE」では,「ふーん」「あ、そうなの」
という感じで、臨場感もリアル感も全くなし。
ボーイスカウトという表現は言い得て妙!
コスプレ•ボーイスカウト集団ですね。
雪風が映画化されると聞き、楽しみにしています。が、ライトミリオタクさんのレビューを読む限りは、脚色のしすぎですね。ご意見はもっともです。雪風は日本で展示・保存すべき駆逐艦でした。日本への帰還運動はあったようですが、解体されてしまった。残念です。日本一の幸運艦だったのに。星がいくつであろうとも鑑賞するつもりです。
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