「雪山に埋もれた真実は、悲しみ憎しみ、刑事たちの矜持、男二人の友情」名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
雪山に埋もれた真実は、悲しみ憎しみ、刑事たちの矜持、男二人の友情
劇場版名探偵コナン28作目。
遂に100億円映画となったコナン映画。しかしそれは、前作では平次やキッド、前々作では灰原などキャラ推しもあった気がする。
なので今回はチャレンジング。今回スポットが当てられたのは…
小五郎。言うまでもなくメイン&レギュラーキャラだが、劇場版のメインになるのは2005年の『水平線上の陰謀』以来実に20年ぶり! この時の小五郎はカッコ良かったね。劇場版ではお笑い担当が多いから。ちなみに私のコナンの推しキャラは小五郎である。
それから長野県警。所属する刑事の顔や名前は出てこないが、同じく今回キーキャラになる大和敢助は2009年の『漆黒の追跡者』以来の登場になるという。顔見てそんなキャラいた気もするけど、う~ん、覚えてねぇや…。刑事個人ではなく長野県警が劇場版のメインになるのは初めてらしい。
つまり今回は渋い大人ムード。小五郎が活躍し、脚本は一見安室フューチャーに見えて中身は骨太な警察ストーリーだった『ゼロの執行人』や『相棒』など数々の刑事ドラマで知られる櫻井武晴。
いつもの若者向けキャラ人気アクションではなく、久々の重厚ミステリーを期待出来そうで、近年のコナン映画でも今回はちと気になっていた。
長野県八ヶ丘連峰未宝岳にて、長野県警の大和警部が一人の男を追っていた。その時別の何者かにライフルで銃撃され、左目を負傷。雪崩にも遭ってしまう…。
行方不明になっていたが、誰かに救出され山梨の病院に運び込まれた。
追っていた男は同僚の諸伏警部が逮捕。正確に言うと再逮捕。
男は8年前の銃砲店強盗傷害事件の犯人の一人、御厨。共犯者の鷲頭は行方をくらました。
この時2人は捕まったものの、一方は逮捕されその後釈放、もう一方は行方知れず。その背景には…。
10ヶ月後、国立天文台野辺山に何者かが侵入。何を狙っていたのか…?
大和と同僚で幼馴染みの上原が捜査に当たるが、巨大パラボラアンテナを見た途端、大和の負傷した片目が疼く。あの時の記憶も失っており、大和は何かを見ていた…。
小五郎の元に刑事時代の旧友から電話。今は警視庁の改革準備室に所属する鮫谷警部。小五郎は“ワニ”というあだ名で呼んでいた。
鮫谷は雪崩事故や天文台侵入事件について調べており、関わる大和について話が聞きたいと、日時と場所を決めて小五郎と会う約束をする。
当日小五郎(と付いてきたコナンと蘭)は赴くが、直前で鮫谷は何者かにライフルで撃たれ死亡する。
鮫谷は何を話そうとしていたのか…?
旧友を亡くし、悲しみと怒りの小五郎は、佐藤/高木両刑事と同行。事件の鍵である長野へ赴く。
雪に埋もれた謎の中にある真実と犯人は…?
期待通りの櫻井印。『ゼロの執行人』以来とも言える本格ミステリー×警察ドラマ。
今回年齢層は高め。小さな子供やコナンくん大好き~! ○○推し~!なんてキャラ好きでしか見てない若者層には小難しく硬派だろう。
登場キャラや複数の事件が複雑に入り交じり、かく言う私も頭の中で整理したり、冷静になって見ていた。
そうして見ていたら、自然と犯人像は萎まれ、真相や動機も見えてきた。
まず、長野県警の既存キャラを知らなかったので、調べて、この時点で容疑者からは除外。自ずと映画オリジナルキャラに萎まれる。
今回の大きな事件は雪崩事故や天文台侵入事件だが、それとは別の銃砲店強盗傷害事件の方こそ重要と推測。
この時、店主・舟久保の娘・真希が負傷。五輪も狙えるバイアスロンの強化選手だったが、怪我によって夢は絶たれ…。そのショックから自殺。
定番だが、犯人は恋人。動機は復讐。映画オリジナルキャラで、真希と年相応で、尚且つ警察関係者となると、一人や二人しか居ない。
動機は復讐だが、序盤のTVニュースの司法制度改革案も絶対に話に絡むだろうと。こういうニュースなどの伏線はお馴染み。
銃砲店事件の犯人2人は司法取引で刑が軽くなった。そんな不条理な司法制度への怒りも…。
以上が私の推理。幾分かは当たっているだろうと思ったら、ほぼほぼ当たってた!
細かい点は分からなかったが(大友が実は鷲頭、長谷部の本性、誰が“隠れ公安”かetc)、個人的コナン映画史上最大の的中率! 冴えたぜ、今回のmy推理!
だからと言って先読み出来てしまった物足りなさは無く、ミステリーや展開を楽しみ、冴えたmy推理にニヤニヤしながら見ていた。
真犯人の気持ちは分かる。犯人2人への怒り憎しみ、彼らを擁護するような司法制度への疑問と不満…。
だからと言って、正当化は一切されない。
天文台に侵入した理由やその目的も暴挙。
犯人2人は罪は犯したが、人は殺していない。しかし真犯人は、証拠や目撃者隠滅の為に大和を襲い、鮫谷の命を…。
それでも自身を肯定しようとする真犯人に、現職刑事たちの矜持の言葉や銃砲店主の憎しみの中の赦しが響く。
せっかく雪山や巨大パラボラアンテナが設けられているので、いつもながらの超人アクションはあり。
でも、コナン一人だけのスーパーヒーロー活躍ではなく、皆で協力し合ってなのが良かった。
これもいつもながらの胸キュンラブストーリー。今回それを請け負ったのは、大和と上原。蘭~!新一~!とは違う大人の関係も味あり。
ED後。安室から真犯人へ闇深い司法取引…。
しかしやはり、小五郎。しっかりと今回の主役。
射撃の達人でもある。警察を辞めて以来銃を持つ事はなかったが、今回その腕前を披露。
生前鮫谷は、また射撃の腕前を見せてくれよ。
ラストシーン。見てたか、ワニ。
男二人の友情も疎かにされず、この締め括りも良かった。
今回は面白かった。
個人的に、近年の中でも『黒鉄の魚影』に匹敵の出色。いや、歴代でもベストクラスかも…?
魅せてくれたぜ、小五郎のおっちゃん!
