「LUPIN THE IIIRD、集大成。」LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族 しゅわとろんさんの映画レビュー(感想・評価)
LUPIN THE IIIRD、集大成。
ダーティーでハードボイルドなルパンを描く、「LUPIN THE IIIRD」シリーズ。その完結編となる劇場映画である。
数々の刺客の襲撃を切り抜けてきたルパン三世一味。これまでの事件の裏で手を引く「黒幕」の存在を確信したルパンは、一味と共に「地図にない島」へと向かう。その島には、とある衝撃的な真実が隠されていた…。
まずこの映画は、一般によく知られる「ルパン三世」ではなく、スピンオフ的シリーズ「LUPIN THE IIIRD」シリーズである事をお伝えしておきたい。
アニメシリーズでよく見られるようなコミカルさも、お宝を盗む物語もほとんどなく、ルパンたちを狙う刺客たちとの激しいバトルがメイン。「悪人、犯罪者」的側面が強調されたダークでシリアスなストーリーが特徴のシリーズだ。しかもその「続編、完結編」である。ルパン三世シリーズ初見の方や、これまでのルパンしか知らない方では楽しむ事が出来ないかもしれない。冒頭にあらすじこそ挟まれるが、最低限の予習は必須だ。最高の状態で楽しみたいのなら、「次元大介の墓標」、「血煙の石川五エ門」、「峰不二子の嘘」、「銭形と2人のルパン」、そしてシリーズを見ればわかる、伝説的な「あの映画」という、計5作品の予習が必要となる。あの映画以外は1時間弱程度なのでそれほど時間は掛からないが、中々に敷居は高い。
これまでの「IIIRD」シリーズとは打って変わり「あの作品」へと繋げる為か、敵のギミックのリアリティがかなり弱くなり、中々のトンデモ展開となっているのは人によっては受け付けないかもしれない。しかし、迫力あるバトルの作画、ハードボイルドな物語といった「IIIRD」シリーズの魅力は健在だ。特にエンドロールに入る前のルパンのセリフにはシビレた。渋い作画や演出も個人的にはかなり好きだ。
何より、これまでの伏線を回収した挙句、「あの作品」に思ったよりもガッツリと繋がるラスト。ファンはどの作品ももう一度見返したくなるだろう。
言いたいことやツッコミどころは無くはないが、シリーズの集大成としてはまずまずの出来だった。「カッコいいルパン」を見たい方や「IIIRD」シリーズのファンであれば観て損はない。
