「そして、伝説へ」LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)
そして、伝説へ
懐かしいキャラに会えましたね。三波春夫の歌声が、聞こえてきそうです。
モンキーパンチ氏ですが、当時、ルパンのテレビ放送に難色を示したそうです。それでもスタッフの熱意と、パイロット版を見て、許可したらしい。ただ、ひとつ残念だったのは、銭形警部の扱い。舞台廻しのズッコケキャラ扱いされたのは、心外だったとか。元々、銭形警部は、ルパンを追跡できる、希有な切れ者として登場したからです。
この映画は、原作愛、そしてモンキーパンチ氏へのリスペクトで溢れています。それだけで凄いことだと思います。
お話は、いわゆるエピソード0、ルパン伝説へと繋がるわけですが、私がちょっと気になったのは、モブキャラの皆さん。ゴミみたいな人生背負わされて、ゴミみたいな島に流されて、廃棄物としてあと24時間、お好きにお過ごし下さいね…って言われたら、皆様ならどうします?。今日が最期の24時間だとすれば、何を選択します?。
テレビにかじりついてルパンを見ていた頃、私はルパンでした。私は、私だけの特別な主人公でした。でも、今はどうだろう。マイクラの村人さんでいいや、何処か隅のほうで、モブる人生でいいや。そう思っているような。
…お前の素顔さえ、俺は知らない。
銭形の父っつぁんが、ルパンの顔に手をのばすエピソードが、原作にあります。
皆様は、自分の素顔を知っていますか。
奴はまた、とんでもないものを盗んでいきましたね。
もし、知りたいのなら、映画館へどうぞ。
お宝は灰になっても、私の素顔は、灰になりません。きっと、そこから、伝説は始まります。伝記なんて、私には不要です。
抱かれたものは、すべて消えゆく…
そう、俺の名は…
追記)
金曜ロードショー派と、70's派で、分断してますね。どちらにも属したくない私ですが、如何せん「風魔一族の陰謀」以降は、古本屋で買った原作を、拾い読みした程度。金ロー派の気持ちに、寄り添えません。ごめんね。ただ、この映画は、ルパンの持つ無限の可能性を感じる逸品だと思います。原作の洒脱さと、70'sの熱量に、今の作画クオリティが融合。ある意味、奇跡に等しい、全方位型の仕上がりだと思います。
そうそう、ルパンは時代の申し子だとか。彼が求めるお宝は、時代そのもの。彼が何を手にするのか、それは時代ごとに、私達が求めているものに、他なりません。本作のルパンが、手にしたもの(あるいは決意)を、皆様は、お持ちですか?。
今後、可能性が拡がるかどうかは、御見物の度量次第だと思いますが、この先、チャレンジが続くことを願います。ルパンの素顔は、御見物の数だけあるのだから。