セプテンバー5のレビュー・感想・評価
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常に緊張映画
今を伝えるということ
インターネット環境もない、スマホもない、翻訳機器などもない。そんな環境のなかで、さながらアスリートのように、情報の壁、時間の壁、言葉の壁、国境の壁、様々な障壁をクリアしながら、現実を捉え伝えようと奔走したテレビマンたちの様子を、今そこに立ち会っているかのように錯覚させられるほどリアルにみせられました。それもあって、私がジェフだったとしても、「噂では…」と伝えることを選んでしまっていただろうな等と想像しながら観てしまいました。
「今ここにいる私たちが伝えなければ」という想いは、サウナのアウフグースを想わせるほどの「熱」というかたちでみせられた気がしました。
功と罪の両方をもたらした中継となったわけですが、関わる皆さんが現実に真摯に向き合った結果であったように見えましたし、伝えようという想いとディスカッションに基づく連携がなし得た結果だったのかなと感じました。
便利になり過ぎた今を生きる私たちがあの環境に置かれたとしたら、同じように行動できたのかな?と振り返ってしまいます。53年経った今、良くなったのは届けられる画質だけってことはないですよね。
もちろん作品として何らかの脚色がなされていることとは思いますが、現代の報道に携わる方々にも、この作品に出てきた人たちと同じ「熱」があることと信じたいと思いました。
初めて知った
期待度○鑑賞後の満足度◎ 先ず演出と演技が凄い。正に眼前で報道を見ている様な迫真性と緊迫感。テロの世紀の始まりの出来事を描いただけでなく現在進行形でガザで起こっている事とリンクする現代性。
①「ミュンヘンオリンピック」は物心着いて初めて真剣に見たオリンピックだったので(「東京オリンピック」の時は物心着いておらず、「メキシコオリンピック」の時は幼すぎ)、この事件は子供心にも結構ショックだった。勿論、当時はパレスチナ問題なんて分からなかったけれども。今でも、オリンピックは平和の祭典なんて呼ばれているけれども、政治と商業主義に毒されているという密かに心に抱いている疑惑を払拭出来ないのもそのせいかも。
②演技陣のアンサンブルが凄いが特に中心となるルーン役のピーター・サースガード、ジェフ役のジョン・マガロが好演。
紅一点というわけではないが、この前観たばかりの『ありふれた教室』のレオニー・ベネシュが通訳のアリアンヌ役で鮮やかな印象を残す。
緊張感が緩むことなくエンドロールを迎えた
スポーツ局の人間が、テロの生中継をする!!
ミュンヘンの惨劇
報道する側の視点
悔いの無い1日を、過ごしましたか?
最善を尽くしたはずなのに、残念な気持ちだけが残ることって、ありますよね。仕事してると、ほぼ後悔の大海原。文字通り、大後悔時代。マゼランも、びっくりです。たださ、やるだけやった、手は尽くしたという自負があれば、次も頑張れるのかな…と。
この映画の後日譚、スピルバーグの「ミュンヘン」もそうですが、本作は、特定のクニや宗教を批判したり、誰かの正義を押し付けるものではありません。私達にとって、何が正しいのかを問うのではなく、私達にとって、何が最善なのか、何ができるのかを問われているような気がします。
明日、何が起きるか分かりません。ひとつの事件が起きた時、自分が被害者になるのか、加害者になるのか、あるいは傍観者なのか、分かったものじゃないからね。(個人的には、今のイスラエルの、受けた被害に対する報復の連鎖を見ていると、ちょっと…)
仕事もプライベートも、最高の結果は、約束されません。それでも、最善のパフォーマンスができるのか。続けられるのか。その先に何が残るのか。ちょっと考えるきっかけになる映画だと思います。地味だけど、観てね。
「クライマーズ ハイ」
ネットどころか、ファックスも、ろくに無かった時代から、事件は起こり、事件を追いかける方々の苦労は、綿々と続いています。
誤報は出さない。誰よりも早く、誰よりも正確に。そのためには…。
セリフがほぼ怒号なので、堤真一と、遠藤憲一に怒られているような錯覚にハマる名作。地味だけど、観てね。
娯楽性は・・・ない
ほぼドキュメンタリーのように
史実に忠実に時間軸も入れ替えずに進行するのでこの事件について余計な脚色なく知るいい機会になりました
熾烈なスクープ合戦、生中継への執念、根掘り葉掘りの情報収集で気の毒さを競ったり・・・
周囲の危険を冒してまで逐次報道する必要があるのか?現代の行き過ぎ報道も昔からあったんですね。しかも局同士で先を争ったり・・
テロ事件についてというより
報道のあり方について考えさせられる作品でした
ところで
作中でユダヤとドイツの遺恨が、といった場面がありましたが、1972年はまだ戦後27年で、令和の現代からすれば終戦が平成10年に相当するって、そりゃまだ傷が癒えてないのも無理はないな、と思いました
報道の暴力を描く
ブラック・セプテンバーを中継したテレビ局の視点のみから描いたのはユニークだった。でもそれ止まり。ドキュメンタリータッチで客観的な撮影で、報道の暴力を描いてはいるものの、中途半端で何を言いたいのかがイマイチ伝わって来なかった。
アカデミー脚本賞にノミネートされているが、ジャーナリストならではの葛藤がもっと深く掘り下げる事が出来たはず。
イスラエルの緊張状態が続く中での本作は非常に有意義だと思うが、映画としては物足りない。スピルバーグの傑作「ミュンヘン」があるので、半端なドラマよりドキュメンタリータッチを取ったと思うが、もう一工夫が足りない。
ではどうしたら良いか正解は無いが、テロリストと人質たちだけの視点で描いた作品を観たい。
A283 当時は小学5年生
2025年公開
映画ならスチュアート大佐が全裸でトレーニング
するところから始まるであろうが
本作は全くメディア側のみの視点で物語は進む。
もちろんマクレーンがしゃしゃり出る場面もなし。
早朝の銃撃から撮影の場所とりや
衛星放送の時間枠調整
字幕のアナログな作成
外部と繋ぐケーブル
関係者のアップ写真
都度連絡を取るにも無線とアナログ回線にダイアル式の電話
通訳を通してのやり取り
警察の対応?なんで?いや西ドイツの憲法で
軍の対応は禁止されているし
MCのアドリブ全開など
現在のディレクターやスタッフではやりきれない技術が
細かいカットで進み
緊迫感を充満させたドキュメンタリー風に展開される。
事件が終了後は長いカットでその喪失感を醸し出す。
当時の現場を見事に再現した手腕は凄い。
アラブ側の事情を踏み込み過ぎると
現在でもよからぬ問題も起こるであろうため
テロリスト側の描写は一切なし。
パンフレットも鑑賞劇場では販売されていなかった。
個人的に凄いものを見た、という感想です。
90点
鑑賞 2025年2月16日 東宝シネマズ二条
配給 東和ピクチャーズ
セプテンバー5(映画の記憶2025/2/16)
オリンピックでそんなことがあったとは…
セプテンバー5、タイトル通りオリンピック期間中、9月5日に起こった前代未聞のテロの生中継の話。話はほぼABCニュースの中継室の中だけで、まるでドキュメンタリーを見ているようだった。恥ずかしながらこの事件のことは全く知らなかった。こんな大事件がおきていながらオリンピックは継続され、日本は男子バレーの活躍があったのかと思うと複雑な気持ちになる。
生中継はすべきだったのか、中継をしなければイスラエルの選手は助かったのでは。当時、中継していた人たちも、見ている側もそれぞれ思うことがあるだろう。しかし、当時、事件の生中継を世界の9億人もの人が見ていた事実もある。きっと、当時に生きていたら私もテレビに釘付けになっていたと思う。オリンピック、報道、歴史、警備、いろいろと考えさせられる映画だった。
報道とは?知る権利とは?を考えさせられる
ミュンヘンオリンピックで発生した人質テロ事件は、スピルバーグ監督の「ミュンヘン」で観て概要は知っていた。本作はそれを報道するアメリカのTV局から描いた物語。
あくまでテレビクルー側からしか描かないから情報は断片的。物語のほとんどがオリンピック中継を行うためのサブ室で進むし、手に入った情報もドイツ人の翻訳がないと内容が理解できないという限定され状況だからかなりリアルだ。そんな中、衛星放送枠の取り合いや、報道局との主導権争いなども交えつつ、人質立てこもりの状況を生中継していく。
テロの悲惨さや非道さを描いている映画とは思えない。そんなシーンがないから。本作で問いかけているのは報道のあり方だ。様々な困難を乗り越え、生中継を続けたアメリカのテレビクルーを称賛する内容なのか。それともテロリストたちに筒抜けとなった生放送を反省すべきという主張なのか。どちらなのかは観ている人に委ねられている。個人的にあのテンポがよく緊迫感のある作りは、テレビクルーの活躍を描くものとして見応えがあったことは確か。でも観終わった後に感じてしまうのは、これでよかったのかという迷いだ。
「知る権利」を満たすものとして報道がそこで起きている事件を映すことはとても重要で必要なことだと思う。ただ、それを報道する側のモチベーションはそれだけではないということ。会社員である以上、この仕事でどう評価されるか、そして報道する側としての達成感みたいなものは当然つきまとう。中継を観ている人間がただの興味本位で観てしまうこともどうなんだろうかと思ってしまう。
だから、本作を観ている自分が映画の中の生中継をエンタメとして興味本位で観ている側であることに気付かされる。自分みたいな興味本位で観たがる人間がいる限りこんな報道姿勢はなくならない。観終わった後にモヤモヤする気持ちはこれなのかもしれない。色々と自分に問いかけることとなった映画だった。
よく出来たサスペンス劇でした。
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