「コンパクトな脚本の見事さ」セプテンバー5 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
コンパクトな脚本の見事さ
ミュンヘンオリンピックの時、小学2年生だった私も、選手村での人質事件は何となく覚えている。また、同じような時期にあった浅間山荘事件の生中継も、楽しみにしていた番組が潰れてガッカリした記憶と共によく覚えている。
どちらも半世紀以上たったが、今も記憶に残っているのは、事件の大きさもさることながら、テレビでの中継映像の衝撃があったからだろう。
本作は、そうした、急速に普及が進んだテレビメディアが与えた影響と、何をどこまで伝えればよいのかという現場の模索について、当時の映像の手触りそのままに描き出すというスタイルを取りながら、実は今も答えの出ていない問題を私たちに投げかけてくる。(それも、スリリングなエンタメ作品として)
自社内でのイニシアチブ争い、警察との攻防、他局との駆け引き、スクープとファクトチェックとの葛藤などの他にも、ジェンダー差別や他宗教他民族へのマイクロアグレッションなどを織り込み、加えて、西ドイツという国家が、ナチスへの反省という点から、どれだけイスラエルに気を使ってきたのかまでもが、コンパクトに95分で描かれる脚本の見事さは、アカデミー賞ノミネートも納得。
今はやっと停戦しているが、ガザでの民族浄化とも思えるイスラエルの過剰な攻撃が報道されてきた中にあって、どうしてドイツはあんなに強固にイスラエル支持を貫くのかが個人的にはとても疑問だったが、ホロコーストだけでなく、こうしたパレスチナのテロ組織に起因した政府の失敗の記憶の累積も影響しているのかと思ったら、肯定はできないが少し納得した。
それにしても、テレビがオールドメディアと呼ばれ、個人のネット配信が当たり前になってきている中で、報道規範という部分は、これから更に大きな課題になると思う。でもそれは、視聴率や閲覧数などで利益が発生する仕組みの中では、作り手側の問題というより、受け手側の私たちが何を選んで何を観るかという問題なんだろうけれど…。
えー、インタビュー動画、削除されたんですか?監督、演者5、6人のインタビュー丸々されていて、割と長尺だったのに?字幕の手間を省いたんですかね?あれ、作者や演者の感想聞かないと、よくわからない作品でしたよね😩…それは残念でした。
コメントありがとうございます。
私もこの作品こそはパンフレットを読みたいと思ったんですが、残念でした(泣)
もう見つけてらしたら何なのですが、メイソン氏の情報は、公式サイトの「NEWS」の項目の、2/13の記事にありました。ご参考になれば幸いです。
こんにちは
とても心にし刺さる映画でしたね。
私も当時はまだ中学生になりたてで、ミュンヘンオリンピックの
記憶はあまりなくて、姉に取材して聞いたりしました。
当時のドイツはまだまだホロコーストの記憶から立ち直れず、
そんな痛みを抱えたままなのはイスラエルも同じでしたね。
なんとも、50年前の歴史が蘇るような経験でしたね。
共感ありがとうございます。