「1981年刊の原作と比べて」アマチュア 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)
1981年刊の原作と比べて
原作の時代とは、およそ50年の開きがあるから、国際情勢も情報戦の形態もまったく違う。
でも、テロリストだけは本質的に変わらない
というのは、皮肉な現実。
だから、50年経っても
この物語が成立するんだろう。
ラミ・マレック自らプロデュース。
気合いが入ってる。
冷戦と、「東側」の「チェコスロバキア」なき今、
追跡の舞台はヨーロッパ各地。そして
世界の緊張を生むのはテロ、という設定。
工作員としては「アマチュア」ながら
テロ・グループに復讐したい、
というチャーリー・ヘラーの動機は同じだが、
進化したコンピュータとネットワークを駆使するのが現代。
スノーデンが暴露した国際的監視網は
米国家安全保障局(NSA)によるものだったが、
CIAも同様の監視網を持っていて、
世界中のネットワークをハックできる、
という設定も、あながち空想とはいえないだろう。
チャーリーの人物像については、
「人殺し」に抵抗がある一途な男
という側面を、原作より前面に出している。
かなり変更されてるとはいえ、
原作のネタもポツポツ仕込んであるのを見つけてニヤリ。
途中ダレることなくあっという間の2時間。
面白かった。
驚いたのは、
結末はきっと同じだろう、という予想に反して、結末も違ったこと。
まあ、そうだよね、よく考えたら
そもそも「東側の保安警察」がないんだから「教授」もいるわけないし、
CIAの立ち位置もだいぶ変わってるし、
「情報」に対する世間の意識も変わってるし。
というわけで、
結末に驚いたのだけれど、
でも、いいのか?
その結末のつけ方で。
>bloodtrailさん
そうだと思います。
とくに「東」が存在しないのは、大きなハードルですよね。
テロリストを1人増やしたりしてましたけど、平板になるのはやむを得ないでしょうね。