「ナチスが共産主義者を連れさったとき、私は声をあげなかった」ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
ナチスが共産主義者を連れさったとき、私は声をあげなかった
ナチスが勢力を拡大し、教会内部ですらヒトラーの神格化が進みつつあった時代に、教会の神聖化を説いてヒトラー暗殺計画にまで加わった実在の牧師のお話です。
ヒトラーを暗殺していれば戦争とホロコーストで死ぬ人は確かにもっと少なかったろう。ただし、聖職者がその企みに加担する悩みはもっと掘り下げるべきだったと思います。正義を貫こうとしたこんな人が本当に居たと初めて知る事ができたのは収穫でした。鑑賞後に調べてみると、彼に関する様々な本が日本でも既に出版されています。
作中で、以下の有名な警句がボンヘッファーの説教中で述べられます。これは実際には彼の言葉ではなく、本作中にも登場するマルティン・二―メラの言葉です。独裁者による全体主義は、ヒトラーだけで広がった訳ではなくそれを無批判に支持し煽った国民の選択でもあったのです。まさしく現在のこの国の姿ではないでしょうか。手遅れになる前に。
ナチスが共産主義者を連れさったとき、私は声をあげなかった。私は共産主義者ではなかったから。
彼らが社会民主主義者を牢獄に入れたとき、私は声をあげなかった。私は社会民主主義者ではなかったから。
彼らが労働組合員らを連れさったとき、私は声をあげなかった。私は、労働組合員ではなかったから。
彼らが私を連れさったとき、私のために声をあげる者は誰一人残っていなかった。
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