「真髄」ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師 めるさんの映画レビュー(感想・評価)
真髄
ボンヘッファーの事前知識は、神学者でありながらヒトラー暗殺未遂事件に加担した人やったかな?というくらいの浅い知識。
ヒトラーは邪悪な存在であろう。ただ、戦争中ユダヤ人を殺害した人々は?なにも行動を起こさずじっとしていた人々は?ボンヘッファーは「悪の前の沈黙はそれも悪。行動しないこともまた行動であり、悪である」と訴えた。
兄の葬式後に、僕のピアノなんて誰も聞いていないと母に訴えたボンヘッファー。時は流れ自国が危機的な状況に瀕し自らの大切にしている教会までが侵されようとしている。国、教会を守ろうとするその過程が淡々と描かれている。
ドキュメンタリーのようであるが、説教だけでは限界があると察するボンヘッファーの苦悩が伝わってくる。戦争で兄を亡くしたこと、アメリカに留学し差別を目の当たりにしたこと…それらの出来事がこのままではいけないという信念につながったのかもしれない。あの幼き日の誰も演奏を聴いていない状況から、ボンヘッファーの当時の言葉が今もなお語り継がれるのは多くの人々が共感し、勇気をもらい救われたからなのかなと。
処刑されることは知っていたため、祈るような気持ちで見ており途中からとても感情移入してしまい涙が溢れた。アメリに残れば命は助かった。やけど、自分の何かが死んでしまうと思ったんやろうなあと。
この時代のドイツが題材となる映画は数多くある。関心領域、小さな独裁者…個人的には悪意に無関心の人々、はたまた見ないようにしようとする人が描かれた作品を観ることがおおかったが、この人のように命懸けで国と戦った人もいることを忘れてはいけない。
「これが最期です。私にとっては生命のはじまりです」
共感ありがとうございます。
めるさんのレビューはヤッパリ良いですねえ。善性が溢れていてレビューのお手本みたいで、好きです。(あ、勿論レビューがです・・。)では。

