「非人道的行いと宗教について考えさせられました。」ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 非人道的行いと宗教について考えさせられました。

2025年11月9日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

「あなたの十字架はドイツにある」と諭したアメリカの牧師と
「神は神自身を与える」と言った英国の司教の違い。
それは人種差別が我が事であるか否かの違いだということが鑑賞後消化できなかった部分を反芻するうち閃きました。
若き日にアメリカで神学を学んだことが、多くのドイツ告白教会の牧師たちの選択とは異なるボンヘッファー牧師の決断に影響していたのだろうと。
戦争、人種差別といった非人道的行いと宗教との関わりについて深く考えさせられた作品でした。

宗教者のみならず一般の人々においても、心に神を持つということは「真の人間」になる難行の手助けになるのかもしれません。
翻って我国の宗教者たちは、古くは被差別部落、近代の朝鮮人差別についてどのような行動を起こしてきたのかを知りたくなりました。
心に神を持たぬ自分自身が、この先起こり得る破壊とそこからの再生にどのように立ち向かえるのだろうかという疑問を含めて。
更には、心に神を持っていたはずのアメリカの白人宗教者が人種差別に対してどのように行動したのかを。

また、浅学にして全く知らなかった、ヒトラーによるドイツの聖書書き換えの史実は衝撃でした。

エンドロールでスタッフロールの前にに流れる映像はおそらくボンヘッファーが残した名言です。
全ての言葉に日本語字幕が付いているわけではないので、最初は分かりませんでしたが、英語で記されているので気になる方は注意して見てみてください。

実は土曜日の最終回を鑑賞したのですが、疲れで意識が飛びすぎて全く理解できませんでした。
けれど、これはキチンと観なければいけない作品だとの直感に導かれ、勿体ないと思いつつ日曜日の初回を観直しました。
自分の選択に拍手です。
私はキリスト教者ではありませんが神のお導きかもしれません。

さとうきび