「讃美歌「善き力にわれ囲まれ」の作詞者」ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師 にっくさんの映画レビュー(感想・評価)
讃美歌「善き力にわれ囲まれ」の作詞者
奥さんがクリスチャンで「ぜひ見るべき」と言っていたので、封切日に鑑賞。
兄が第一次世界大戦で戦死した際に、母親に「自分が死んだら私の聖書を弟に渡して欲しい」と託された聖書をもとに、ピアノなど各方面に才能があったが、優秀な神学生となったボンヘッファーはアメリカのユニオン神学校に留学し、当時流行っていたジャズに触れ(ルイアームストロングともセッション(?))、自由な風を感じると共に、当時の黒人差別も肌に感じ、米国での経験を持ってドイツに帰る。
そこで牧師として新しい教会を始めようとするが、当時ナチスが台頭してきており、ヒトラーを救世主とする「帝国教会」が幅をきかせてきており「これはおかしい」と強く感じたボンヘッファーはイギリスのベル司教の後ろ盾を得て「告白教会」を創る。しかし帝国教会の勢いは激しく、覚悟を決め、ヒトラー暗殺計画に加担する。
そして暗殺寸前と思った時、ヒトラーは急にその場を離れ、暗殺は失敗する。
密かにアメリカのユニオン神学校やイギリスの恩師ベル司教を訪ねて、結局「自分は母国ドイツに戻り仲間といることが大事」と結論を出しドイツに戻るが、それは逮捕されることだった。
逮捕され、死刑実行の約1ヶ月前に当時の婚約者に書いた言葉が、現在讃美歌になっている「善き力にわれ囲まれ」の歌詞になっているらしい。改めて歌詞を今みると、当時の気持ちを実感して更に感慨深い。
絞首台に向かう際、ボンヘッファーは「これは私の終わりではない。命の始まりだ。」と言う。そして兄から託された聖書を「母親に渡して欲しい」と言い残して絶命する。結局ナチスはその数週間後に崩壊し、ボンヘッファーの言葉通りに、新しい時代が始まった。
このような人々の犠牲の上に今があるということを胸に刻んでおきたい。
「異邦人」で有名になった久保田早紀さん(現在は本名の久米小百合さん)が、10年くらい前に、「善き力にわれ囲まれ」を歌ってくださり素晴らしい讃美歌と思っていたが、今度来年5月に久米小百合さんの少人数ツアーに参加し歌ってくれることになっているので、映画を観たあとでまた聴けることを期待しています。
ちなみに「久米 善き力」で検索すれば、今聴けます。
