「もはや映画自体が伝承だ」光る川 ジャイケル・マクソンさんの映画レビュー(感想・評価)
もはや映画自体が伝承だ
アルビノ現象を山神と祀る村人の不変の作法を描いた「アルビノの木」。
絶滅したニホンオオカミの軌跡を探し求めているうちに、かつて、そこに住んでいた人たちの想いとリンクし、時を共有するという不思議な体験の「リング・ワンダリング」。
そして、ネイチャー三部作として「光る川」。
三本ともに、ストーリーはいたってシンプル。
しかし、セリフを少なめにし、川のせせらぎの音や木々の風に揺れる音、鳥の声、自然気象の音などを印象深くすると、とても奥行きが感じられた。
過去の人と時を共有するとは、流行りのタイムリープなどのSFとは違い、そこにはもう存在しなくなっても、その想いがそこに残り、それが霊的に同期する事であって、いかにも日本的なネイチャー作品なのだ。
それを象徴しているのは滝だ。
いつも滝が作品の鍵を握っており、そのパワーを伝える撮影に感服する。
監督は日本を良くわかっておられる。
生活のすぐそばに霊的なものがあり、それは想いであって、それこそが伝承なのだと思います。
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