「地味な仕事が見せ場になる」新幹線大爆破 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
地味な仕事が見せ場になる
新幹線という、日本らしい題材をNetflixのグローバルプラットフォームで配信するという戦略は美味い。それを日本映画の伝統技術である特撮技術を生かして制作したことも素晴らしいと思う。日本アニメが独自の表現美意識を進化させた結果、世界で評価されたように特撮も同じように世界で通用する部分があるように思う。
ストーリーは、70年代のオリジナル作品の続きものとなっていて、現代的な要素も取り入れつつ面白い内容に仕上がっていた。犯人像がやや弱いかなという気もしたが。
本作の面白さはスピードを落とせない新幹線の緊迫感と、普通の人々が一生懸命地味な作業を積み重ねて危機を突破していくということ、電気配信の直しだったり、レールの移動だったり、きわめて地味な作業が一番盛り上がるシーンになっていたりする。このあたりは『シン・ゴジラ』っぽさもある。日本型の組織が危機において力を発揮するという展開に胸熱くする視聴者もいたと思う。
オリジナルのコンセプトの強力さを改めて感じた。『スピード』にも影響を与えたオリジナル作品だが、時を超えても通用する見事な発想だったのだなと。オリジナルも久しぶりに見たけど、やっぱり面白い。
コメントする