爽子の衝動のレビュー・感想・評価
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ピンポイントな『悪い夏』
実際にもいるかもしれないけど、かなり分かり易くクソなお役所対応からスタート。
…と思ったら主人公もちょっとヤバい?
窓口での様子はまだしも、歩き方とか、笹を採る動きとか、彼女も何かしらあるのかと。
その後はひたすら苦しいヤングケアラーの日常を見せていく。
しかしお菓子(しかも腹にたまらないヤツ)は買うんだね。
もちろん生活保護受ける人間が娯楽性のあるものを一切断たなきゃいけないとは思わないけど…
あえて入れることもなかった気がする。
職場の無断欠勤も、事情はあるにせよ度重なってるようだし謝罪が軽い。
福祉課の遠藤は思ってた通りのクズ。
抵抗の段階でかなり痛切なものはあったけど、そこで切っちゃうのか、とも。
ラストカットも、決定的なところは見せないどころか環境音だけ残して呻き声すらナシ。
画で見せるのがすべてじゃないけど、エグみを避けすぎでは。
さとちゃんが喋れないことにもあまり意義を感じず。
介護士の男の子の存在も、「本来いたハズなのに」という要素はゼロではないが、必要でもないし。
遠藤の言動や行動、性欲処理までする爽子などは割と記号的。
反面、爽子の行動やさとちゃんの失語などのディティールに関しては余計なものが多く感じた。
先述のエグみの不足もあって、胸に迫るものが薄くなっているのが残念。
最近このテの話が多くて見過ぎてるのもあるか。
酷い支援者もいるけれど、別の手掛かりもあったのではないか
生活保護の申請者に対しては、どんなに怠惰そうな様子に感じられても、相談は真摯に受けないといけないだろうし、ましてや弱味に漬け込むことは到底許されない。映画『渇水』やテレビドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』に出てくるようなケースワーカーばかりではないということは確かにあるのだろう。父親との関係を嫌がる娘も、口が利けない新任ヘルパーも、『芋虫』の傷痍軍人と同様に、性欲を可能な範囲で解消してあげようとしていたが、おむつでも可能なのではないとも思った。あるいは、放っておくと、自分で外してしまうのだろうか。医療監修はクレジットされていた。障がい福祉の窓口に行くように助言を受けていたが、療養介護施設入所の選択肢もあったのではないかとも思う。前任ヘルパーと父親との関係性は良好であったようだが、新任ヘルパーにとっては、娘よりは心技ともによりましだったかもしれないほどで、口が利けないという設定の意味が、やはり今一つわからない。前任ヘルパーが、娘の状態にももう少し支援の手を広げるようなケースカンファレンスを行うべきではなかったのだろうか。『岬の兄妹』よりは考慮の余地があるかもしれない。
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