「ラスト10分で駄作に成り下がった。」ら・かんぱねら kafujiさんの映画レビュー(感想・評価)
ラスト10分で駄作に成り下がった。
30代おっさんです。茨城県からイオンシネマ多摩センターまで3時間かけて観に来ました。
本作は海苔漁師徳永さんがフジコ・ヘミングさんのラ・カンパネラを演奏する様子をTVで観て、その演奏に感銘を受けて同曲を習得に至った実話をモデルにしています。同曲はプロも嫌厭する超絶技巧の難曲で、当時50歳を過ぎた素人の徳永さんが独学で狂気と執念の練習の末、習得したことで、世間は驚き、話題にもなりました。またフジコ・ヘミングさんも20年ほど前に、NHKで悲運のピアニストとして取り上げられ、老齢になってからブレイクしたドラマ性の高い人物で、ブレイク当時、同氏のラ・カンパネラのCDを聴いて感動したのを覚えています。ちな私も小学生〜中学生時にピアノを習いましたが(エリーゼのためにをなんとか弾けるという初心者レベルで終わりましたが)ラ・カンパネラ弾きたいとピアノの先生言ったら「無理」と一刀両断でした笑。
そんなとんでもない難曲を弾けるようになったおっさんをモデルにした映画、大きな期待を持って観ました。
それでこの映画の感想ですが、結論は残念な出来ですね。いや良かったんです。最終盤の手前までは。主人公の海苔漁での苦悩、息子、特に妻との関係、ありきたりなストーリーではありますが丁寧な構成と描写で、その苦悩の中でラ・カンパネラに出会いピアノに没頭して行く、伊原さんと、南果歩さんの演技力も相まって何度も泣きました。
しかし最後が、その諸々の苦難葛藤を乗り越えた先に結実するラストの主人公によるラ・カンパネラの演奏シーンが…なんというかあまりにも演奏がたどたどしくて、いくらなんでもこれは下手すぎるだろと。いやモデルになった徳永さんはもっと全然うまかっただろと。流石にこの映画内の演奏では世間も驚かないし、感動するのは身内くらいだろと。いやもしかしたら徳永さんも一通りかろうじて弾けるようになった覚えたてのころはあのくらいだったかもしれないけど、そこは映画なんだから、エンタメなんだから、今のリアル徳永さんの音源でも持ってきてくれば感動号泣大団円で終われたのに😱もうエンドロール時には中盤まで出ていた涙は引っ込んで乾いた笑みしか出ませんでした。
私の期待と移動時間返してください。