劇場公開日 2025年7月4日

「桐島です」のレビュー・感想・評価

全38件中、21~38件目を表示

3.0受け取る側にも「それなりの判断力」が求められる一作

2025年7月9日
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鑑賞方法:映画館

1971年生まれの私にとって、指名手配犯或いはその写真ですぐに思い浮かぶ代表格「桐島聡」。昨年、突然の「桐島と名乗る人物」の身柄確保と間もなくの死去が報道され話題となった桐島聡を、巨匠・高橋伴明監督(兼脚本、プロデューサー)が描いたと聞いてサービスデイの本日、新宿武蔵野館にて鑑賞です。
本作は当時、大学生だった桐島(毎熊克哉)が同志たちと蜂起して起こすテロ事件をきっかけに、一部共犯者の逮捕と自らも指名手配されて追われる身となり逃走した「その後の桐島聡の人生」が描かれます。
その状況からも想像に難しくない桐島・逃走後の人生は、周囲から「そういう人いるよね」と言った感じの曖昧で抽象的な印象であり、特筆して目立つようなタイプではありません。普段は真面目に働き、余暇には程々の飲酒と好きな音楽を楽しんでいますが、不意に見かける警察の影に脅えたり、自らが犯した行為を見る悪夢にうなされて起きる朝など、安らぐことのない孤独な人生は「犯した罪への終わることのない代償」の日々。
そんな桐島が行きつけの酒場で、突如現れて舞台に上がる歌手キーナ(北香那)の弾き語りで披露される「あるヒット曲」に動揺しながらも心を震わせるシーン。この選曲と演出は本作最大の見せ場で大成功と感じる流石の巨匠・高橋伴明監督。とは言え、その後も再三にわたってヘビーローテーションするのは、ややその選曲の成功に頼りすぎな面も否めません。
また、桐島の「人となり」を示すためのエピソードの数々として。時に特別意識することもなく当たり前のように利他的な行動をとる桐島を見れば、その人間性についつい肩入れしたくなって大変に魅力的です。更に、周囲がこぼす「制度」や「社会システム」に対する不満に対し、国を相手取った「陰謀論」で対抗するところなどはユーモラスさを感じます。ただ一方で、世間知らずの若者による外国人(朝鮮人やクルド人)への差別的な発言に対するやや過剰な反応や、テレビから流れる当時の首相の「ある政策」に怒って取る行為など、若干ステレオタイプに感じていささか表層的。その人物像を語るには、いくらフィクションとは言え「実在する人物」が基になっているだけに肝心なリアリティが足りておらず、むしろ「こうであって欲しい」と背負わせすぎな印象も感じます。(※蛇足として…個人的には「最期の自供」や「うーやんというニックネーム」など、逃走後は「桐島ではなく内田洋」に成り切り、思想家とは遠くてもっと俗っぽい人生を送るように心がけていたのでは??なんて、ただの想像ですが。)
兎も角、高橋伴明監督ということで少々ハードルを上げすぎたのか、つまらなくはないけどちょっと物足りなさも感じた本作。主義主張のために一般人を巻き込む事件を起こし、罪を償うことを良しとせずに逃走した人物を「英雄視」こそしていませんが、指名手配犯・桐島を通して(或いは利用して)語るという「手段」には、受け取る側にもそれなりの判断力が求められると思います。本作、観終わってから「(本作冒頭の)事故を報じた映像」を思い出すことも重要。突然の大道寺あや子a.k.a.“謎の女AYA”(高橋惠子)登場に惑わされてはいけませんよ。

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TWDera

3.0彼の生き様は海を超えたけど、いずれ再び、日本に戻ってくるのかもしれません

2025年7月9日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

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Dr.Hawk

5.0切なくやるせなく・・・いい映画だった。

2025年7月8日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

桐島は、小さい頃から目にした指名手配犯だから、かなりヤバい人物と勝手に決めつけていた。
桐島が良い悪いは別として・・・
理不尽が許せない正義感・・・
時代に流され・・・
切なくやるせなく・・・
ブルースギターのBGMも良い・・・
良い映画だった。
なにより桐島役の毎熊克哉が最高だった。

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真十郎

4.5共感

2025年7月7日
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鑑賞方法:映画館

小学生の頃から見ていた「桐島聡」だし、学生運動への興味は以前からあったし、で鑑賞。
まさか高橋伴明監督作とは思ってなかったが、事前の予想に反してまさに今撮られるべき作品になっていた。
正直、全共闘世代ど真ん中の高橋伴明に物語られるのは若干モヤるものが無いではないが、それでもやはり現在の日本を射抜く作品になっているのは流石。
本作のテーマはまさに桐島に捧げられた「やさしさを組織せよ」ということば通りだった。
潜伏50年(ほぼ)ということで事実はほぼ不明ながら、同士であった宇賀神氏への聞き取りなどから、『「指名手配の爆弾犯」桐島』でなく、大日本帝国の先兵となってアジア諸国を搾取しながら責任を取ることのない日本企業や政府そのものへの責任を問うひとりの青年としての桐島聡を描いている。彼はきっと昨年初に亡くなる前には、在日朝鮮人への差別には「そんなわけないだろ」と言い、クルド人差別にはその境遇を理解しようとする、そんな人だったろうと描かれる。
そうだろうなと思う。彼らが武力闘争を選び爆弾テロを行ったことは間違っていたが、そもそもは「やさしさ」から始まっていることであり戦後誰も問わず取らなかった「責任」を問うているのだから。
序盤で桐島は「学生運動なんて時代遅れだし、上場企業に就職したいし」という理由で彼女に振られる。私が全共闘世代を許せないのはそこで、彼らは社会変化運動をファッションとして消費し「時代遅れ」と葬ったうえで転向して体制側に加わった。その後の社会変革運動はすべてそこに飲み込まれてしまい、その結果として今の日本がある。
現在の日本社会に蔓延るヘイトや差別は当時もあり、桐島たちがそれに抵抗していたにもかかわらずそれは今も温存され、再び猛威を振るっている。
我々は桐島の「ごめんなさい、こんな日本で」という贖罪に共感すべきだ。共に謝り共に未来に向かうべきだ。でなくては、彼らの爆破闘争は正しかったということになる。
高橋伴明監督のそういう想いは伝わったし、そこに本当に共感する…

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ぱんちょ

4.0一番観たかった所が描かれていなかった

2025年7月7日
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鑑賞方法:映画館

2025年劇場鑑賞200本目。
エンドロール後映像無し。

指名手配犯が偽名で生活していて、死の間際に名乗り出たというニュースは知っていました。当時(と言っても最近ですが)最後まで名乗るべきじゃない、責任を取らずに気持ちだけ楽になろうとするなんて卑怯者だという意見が多かった記憶があります。ただ、この桐島という男が何をしたのかよく覚えていませんでした。

てっきり名前と顔をころころ変えて転々としていたのかと思っていたのですが、そうではなく、バレないもんだなと思いました。本人から聞いたわけではないでしょうし、日記をつけている描写もなかったので、潜伏中の彼の様子は当時関わっていた人たちの証言から描かれているはずなので、隣の男の話とか、恋の話とか、怒った話、同僚の話、どこまで本当か分かりません。それはいいのですが、本人が死の間際に告白してから、その後の周りの反応が一番見たかったのに、元同志の書いた記事しかなく拍子抜けでした。

先に逮捕された同志は獄死した例もありますが出てきており、一生偽って生き続けるなら早く捕まった方が楽なのではとこの映画を観るまでは思っていましたがそれなりに自由を満喫していたのでどっちが良かったのか・・・。

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ガゾーサ

3.0演技とメイクは素晴らしかった

2025年7月6日
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鑑賞方法:映画館

驚く

桐島を演じた毎熊克哉や、宇賀神の奥野瑛太は素晴らしかった。結末は知っていたので、映画としてはハラハラせずに安心して見てられた。
ラストは病床での告白「桐島です」で終わって欲しかった。
高橋恵子は蛇足。

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だっちょ

4.0彼は自分の人生を生きられたのだろうか…

2025年7月6日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

驚く

駅で見かける指名手配写真。
彼らの人生を考えたことは無かった。
なんだか過激な事件を起こしたヤバい人。
そんな冷たい視線を送っていました。
この映画を観るまでは。

1974年の三菱重工本社ビル爆破事件など、いわゆる過激派が起こした一連の犯罪で指名手配犯となった青年の半生を、正体を隠して生きた50年間の軌跡を描いています。

警察を見るたびに隠れ、いつでも逃走できるよう枕元に靴を置いているのも彼。
かつての仲間たちの逮捕に怯え、消息を伝える新聞記事を息を潜めて読み、実家と連絡をとることもできないのも彼。
同じ工務店で40年余りの年月を勤めあげ、同僚や地域の人々に親しまれる好人物もまた彼。
故なき差別に我を忘れて激高してしまうのも彼。
彼が生きたかった人生はこの中のどれだったのだろうか。

平和な世界を願い、不当な搾取に断固意見する。
食い物にされている弱者には手を差し伸べずにはいられない。
そんな優しい人がこのような生涯を送らざるを得なかった状況に忸怩たる思いを抱きました。

40年間住み続けた部屋の家具や所持品が、時を経るにつれて少しずつ現代風になってゆくのが妙に印象的でした。

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さとうきび

3.0「桐島です」

2025年7月5日
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鑑賞方法:映画館

最後は名前を語った。

やさしさを組織せよ。

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完

3.5指名手配犯だとしても、 ある意味普通の人ってのも実は少なくないのか...

2025年7月5日
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指名手配犯だとしても、

ある意味普通の人ってのも実は少なくないのかな、って思った

タイトルが切ない

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jung

3.0勉強なんかするとろくなもんにならん

2025年7月5日
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鑑賞方法:映画館

「勉強なんかするとろくなもんにならん」
昔はこんなことを言う人もいたそうですが、このろくなもんというのは世の中に不満があるが故に片寄った思想を持った過激派のことだと思いますが、結局エネルギーをマイナスの方向に使ってしまっている人だと思います。社会のこういうところが良くないから直さなければならないと思ったところで個人にできることなんか何もない。だったら社会のことは自分のことではないし、社会の欠点は自分の欠点ではないのだから自分は自分の幸せのために生きればいい。一個人が社会を変えることはできないが、自分自身や家族や身のまわりの人を幸せにすることならできる。
過激派の人はそういう諦観を持って生きることができない純粋な人なのではないだろうか。純粋で頭のよい人は勉強のし過ぎでバランス感覚を失い片寄った思想を持ち反社会的な過激な行動に出て一生を棒に振ってしまう危険をはらんでいるのではないだろうか。

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おむぅ

1.5残念。こんなストーリーは期待していなかった

2025年7月5日
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1960年代から70年代の社会運動のことはリアルには知らないけれど、いろいろな媒体によって知識として蓄積された。
「半世紀に及ぶ逃亡生活を全くした」人物がどんな日常を送っていたのか、ネット社会の中でどのように紛れ込んでいたのかを知りたかったなあ。

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ちゃ坊主

1.5桐島をみせたいんですよね?

2025年7月5日
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悲しい

単純

難しい

連続企業爆破事件の被疑者として49年の逃亡生活の末、2024年ガンによって死ぬ直前に身分を明かした東アジア反日武装戦線の元メンバー桐島聡の話。

三菱重工爆破事件から始まり、宇賀神と同僚の桐島のもとに黒川がやって来て巻き起こっていくストーリー。

関与した事件の様子をみせ、その後警察に怯えながらも普通に暮らす様子をみせていくつくりで、過度な演出を入れていないといえばそうなのかもしれないが、桐島の心情を表す描写もあまり無し。
なんなら事件の行も、9.9の宇賀神との行も知らないでみたら良くわからないんじゃ?という粗い作りだし。

テロには参加したけれど、普通の人で慎ましく幸せに暮らしていましたとか言いたいんですかね?
晩年の描写でやっとこ変わらないズレた思想を見せたけど…。

これならば脚色がより強いけれど、今年3月に公開された「逃走」の方が断然面白かった。

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Bacchus

3.0計算した演技なんだか素なんだか境目が分からない

2025年7月5日
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悲しい

カワイイ

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ねこたま

3.0桐島のロードムービー?

2025年7月5日
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もっともっと重い映画かと思ったが、桐島の闇深い50年の歴史をブルースギターをバックにある意味ロードムービー風に軽く描いていて、まあそれはそれで良かったけど…
まあ若い頃の桐島役の毎熊克哉は良かったが、晩年の桐島の演技が重みがなく役不足は否めない感じ
いっそ、それ相応の歳の別の役者にしたほうが良かった思うのは私だけだろうか?
まあ周りの個性ある役者たちに救われた映画であり、特にラストで存在感のある高橋惠子の演出は嫌いじゃないです(笑)

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moonsing

3.5人間と悪魔【若気の至り】の狭間に

2025年7月5日
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悲しい

知的

まあ 確かに50年近く
勝利した✖︎ 逃げ切った⭕️人生

河島英五の『時代遅れ』挿入歌 そのまんま です。内容はスクリーンで確認してね

誰かが指摘してるけども

職を転々 ではなくて 一つの工務店一筋

本作の良い点  人間 若気の至り 桐島氏を描いたこと。

本作の悪い点  爆・犯人には相違ないのだから 美化しすぎ。
   つまり 普通の・人と異なり 爆・犯人は 返り血を浴びるわけでも 被害者の苦痛を見るわけでもない点において
凶悪犯、卑怯な犯罪であるものの筆頭 ドローンで・弾 落とすのとかわりはない

まあ 若気の至り 爆・事件に手を染めなければ
普通の温厚な人だった【かも】ということだろう。

とにかく50年という年月は尋常じゃない。
だから 個人的感想として 全てがこの描写どおりとは思わない。自首して欲しかった。

ただ 意外と 淡々とテンポよく進むのは 昭和から鳴らしてた 高橋伴明監督夫妻の力か

有料パンフ🈶は薄いけど カラフル
3つくらいのコラム除けば わかりやすい 読みやすい。まあ本作見る硬骨漢には要るカモな

まあ いずれにせよ テロというのは絶対OUT 起こしたら人生詰んでしまうことを再確認。

会社は 社会保険加入勧めなかったのかなぁ

そこそこ知的🧐作品。上映館少ないけど 観やすいことは観やすい一般作でした

俳優さんは 主役の毎熊さんも良いがというより 甲本雅裕さん 白川和子さん 奥野瑛太さん 影山祐子さんが良かった。
北香那さんは 確かに 昭和高度成長期、経済安定期の顔だよねぇ

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満塁本塁打

4.0毎熊克哉さん…桐島にそっくりで演技うまし。キーナちゃんより毎熊さん...

2025年7月5日
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毎熊克哉さん…桐島にそっくりで演技うまし。キーナちゃんより毎熊さんの唄が上手かった。50年ほど前の爆破事件…自分は記憶に無かったが、あさま山荘事件の赤軍派とかと被る感じだった。桐島本人の素の人間性を知れる映画でした…良かったです。

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Cinemaオタク女

4.0足立vs髙橋夫妻

2025年7月5日
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t2law

3.0弱い立場に寄り添う

Kさん
2025年6月22日
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鑑賞方法:試写会、映画館

《完成披露上映会にて鑑賞》

情報解禁からから再現度の高さに
驚かされ観たい作品になりました。

…といっても、街に張り出されていた
指名手配の写真を目にしたことがある
くらいで実際の事件は全く知らない世代。

桐島という1人の男がどのような人柄で
どのような逃亡生活を送っていたのか
とても興味がありました。

20代から70歳で死去するまでを
見事に演じ切った主演の毎熊さん。

北香那さんの美しい歌声と甲本雅裕さんの
怪しい存在感も素晴らしかったです。

実話を基にした中に、くすりと笑えるシーンも
挟んであり、桃太郎ネタが決まった時と、
くさやの匂いに衝撃をうけるシーンは笑いました。

劇中で流れる『時代おくれ』が耳から離れません。

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K
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