劇場公開日 2025年7月4日

「心優しき青春映画」「桐島です」 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 心優しき青春映画

2025年7月27日
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鑑賞方法:映画館

1974年の三菱重工爆破事件はリアルタイムでテレビ報道されてたので、悲惨な画像を見て、とんでもないことが起きたと身震いしたことを覚えている。
これは「東アジア反日武装戦線」の「狼」メンバーの大道寺将司ら4人の犯行である。「桐島聡」は「さそり」と称した方のメンバーであり、この犯行には加わっていない。大量の死傷者を出したことに意を唱えたものの、その後の企業爆破事件には実行犯として関わり、間組の作業所爆破事件で重症者を出してしまった。警察の捜査で次々とメンバーが逮捕される中、彼は別人になり逃亡を続けた。同じく逃亡し逮捕された盟友である宇賀神寿一が懲役17年だったことを考えると彼がもし自首をしていたら適切な医療も受けられもう少し長生きしたかもしれないし、何より「桐島聡」として別の第二の人生が過ごせたのかもしれない。
この映画化は学生運動の世代でもある高橋伴明監督によるものだが、「爆弾犯の娘」の著作でカミングアウトした梶原阿貴が脚本に参加したのが大きい。彼女が経験した逃亡生活のエピソードを加えながら約50年の中で関わった人々に取材し、彼が何を考え行動したかを想像し物語を作ったとのことである。(映画パンフの高橋監督によると)この映画は単なる逃亡の物語ではない。彼が逃げ続けたのは人間的優しさがあり、弱い立場の人に寄り添うことができる人だったからだ。一人の人間の青春の軌跡を描いたつもりである。と、。
主演の毎熊克哉は見事にこころ優しき「桐島聡」になりきっていた。彼の代表作になるでしょう。ラストに今も逃亡を続ける大道寺あや子と思われる役を高橋恵子が何処かの紛争地で「桐島くん、お疲れさま」と言っていたが、彼ら彼女らの闘いとは何だったのだろう、。

アベちゃん
アベちゃんさんのコメント
2025年7月31日

そうですよね。暴力的テロを起こして何かを訴える行為は全て許せません。監督と関根恵子は夫婦で同時代を生きてきたので、このような方法で何かにけりをつけたかったんじゃないかと思ってます。

アベちゃん
トミーさんのコメント
2025年7月31日

共感ありがとうございます。
とは言うものの、ラストの大道寺あや子登場の違和感位で、やはり他人を害して理想実現を図る人には共感出来ません。この作品は捕まる恐怖みたいな描写が、割合薄いですし。

トミー