風のマジムのレビュー・感想・評価
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いい映画だと思います 鑑賞後感もいいし だけどちょっぴり感じるモノ足りなさ
例えばこれを沖縄のどっかのTV局の「〇〇テレビ開局○周年記念ドラマスペシャル」として観たとしましょう。キー局だけでなく系列各局からの応援もあり、脚本はいいし、キャストもそれぞれハマリ役、爽やかに仕上がっていて、ほとんどの視聴者が十分に満足して眠りにつくことでしょう。でも、映画館でおカネを払って観る(たとえシニア料金でも。さらに言うとメンバーシップ特典かなんかで無料であったとしてもーーだって映画館まで出向いて暗いところに閉じこもって大きなスクリーンで観るわけですからね)となると、うーん、ちょっとモノ足りないかなあ…… というのが私の偽らざる感想です。
まずは予定調和的でストーリーの先が読めてしまう件。まあ実話に基づいたサクセス•ストーリーなので致し方ない面もあるにせよ、マジム(演: 伊藤沙莉 かなりのハマリ役です)は最終プレゼンにはこんな手を使うだろうな、タイトルの「風のマジム」はこんな風に回収してくるだろうな、あたりは映画やTVドラマを見慣れている人なら、割と簡単に読めてしまうと思います。最終プレゼンのあの方法に関しては、そもそも企画しているのがアルコール飲料なので、第一次のプレゼンから「こんなものをつくりたいです」とまずはカリブの小さな島のラム酒を試飲させるのが常道でしょ、それは村人たちの寄り合いにおいてもしかり、今さら何をやってるの、と言いたくもなりますが、ウルトラマンがカラータイマーがピコンピコンと鳴り始めてから、腕を十字に組んで必殺のスペシウム光線を繰り出してくるのと同様、物語が佳境に入ってから切り札を出してくるのが作劇術の基本であるということで、いささかベタな作劇ではありますが、許してあげましょう。
私がモノ足りなさを感じているのは以下の2点です。
まずはマジムがラム酒の醸造所を作ろうとする サトウキビの産地の南大東島の件です。残念ながら、私は彼の地に行った経験はありませんが、地図で見ると、南大東島は、鹿児島沖合の種子島、屋久島あたりから始まって奄美大島やら沖縄本島やらをへて、宮古島、石垣島、西表島等の台湾沖合の島々に至る、いわゆる南西諸島からは少しばかり東に離れて位置しています。沖縄本島から東に360kmほど離れているそうで、いわば「絶海の孤島」です(近くに北大東島があるので正確に言うと「絶海の孤島群」になりますが)。島なので飛行機か船を使って行くことになりますが、マジムたちのいる那覇(たぶん)からは飛行機なら1時間ぐらいのフライトになりそうです。人口が千人ちょっとの島で観光客もたぶん年間数千人程度でしょうから、飛行機の便数もそんなにあるとは思えません。マジムは苦労しながら島に通っていたはずなのですが、機上のマジムの画も飛行機の離着陸のシーンも南大東空港の様子を撮った画も出てきません。空から撮った島の海岸線とか、一面に広がるサトウキビ畑とか、その傍らにある製糖工場の様子とかもスクリーン上で見たかったなと思うのですが、これらもまるで出てきません。まあ予算を始めとする諸々の大人の事情で、実は南大東島までロケに出向いてないのかもしれませんが。
次にマジムが企画して製造するに至ったラム酒の件。これの正体がよくわかりません。生産工程をまったく見せてくれませんし、実際に醸造して新たなラム酒を生み出すにあたっての苦労話も語られることはありません。マジムのおばあ(演: 高畑淳子 お見事なドハマリ具合。この映画のMVPだと思います)はゆし豆腐を製造•販売しているんですけど、そちらの工程は断片的ではありますが、おばあの仕事場を映すたびに見せてくれています。また、おばあはなかなかの職人気質で、仮にも人さまの口に入るモノをつくるのだよ、とモノ作りの厳しさをマジムに説いたりもします。この物語はマジムのサクセス•ストーリーであると同時にモノ作りについてのお話だと思っていたのですが、肝心のラム酒造りに関してはちょっと情報不足で残念でした。だってサトウキビがどうやってお酒になるのか、やっぱり見てみたくて。製糖の際の余り汁で造るのとサトウキビから直接搾るのとふた通りの方法がある、我々は後者の方法をとる、みたいな説明セリフがあったと思うのですが、その工程ぐらいはちゃんと見せてよ、と。また、新しいラム酒の開発をお願いする醸造家に滝藤賢一という人を得た感じのキャストを起用しているので、彼の口からモノ作りの苦労話や、気候や土壌の違いからサトウキビの質も違ってくるでしょうから、カリブの小さな島のラム酒と太平洋の南大東島のラム酒の味わいの違いについてウンチクのひとくさりでも語らせてくれたら、酒好きとしては大いに納得したのですが。
ビジネスをしていると「現場現物主義」という言葉をよく耳にします。何事も「現場」と「現物」が大事だよというお話ですが、この映画では現場(南大東島)と現物(新しいラム酒)に関してちょっとツッコミ不足かなあと残念に思いました。でも、基本的には好きな映画なんですけどね。そんなに公開規模も拡げていないし、派手な宣伝も打ってるわけでもない、恐らくは低予算映画でしょうから、これなら十分満足としておけばよいものを、好きだからこそと、つい長々と書いてしまいました。
ということで、
「かりーっ!!」
沙莉ちゃんは美味そうに呑むねぇ〜。
観るかどうか迷った作品でしたが。
劇場予告を何度も観たのでもう本編観なくてもそうそれなりのストーリーでそれとなく進むんだろうなぁと勝手に思っていたんですけど………
テンポが良くない。思いついて会社のコンペに企画提出して進むんだけどそりゃ尺の関係で端折るのも理解できるんだけど苦労があまりにも伝わらない。
おばぁの職人としての心構えや作ったものをお客さんに届ける気持ちを教えてもらうのはいいんだけど………。
やはりコンペではライバルもいる訳だし手伝ってくれる社員さんともバチバチだったりもするんだからその辺も厚めに描いて欲しかったな。
逆にさとうきび農家や酒造家にお願いする方を厚くしても良かったんだけど、どちらもつまみ食いで取っ散らかった感じに見えてしまいました。
いい作品なのは伝わるんですけど消化不足感が否めないです。
コンペの最終審査で奇を衒ってしたのは面白かったね。
テーマを前面に出して心を掴んだのが良かったね。
沖縄の呑む文化と言えるのかな?呑みニケーション?とは微妙に違う気がするな。
呑んでも呑まなくてもみんなで楽しむ文化。それがあるから『なんくるないさー』が成り立つんだよね。
この一連の流れが長寿の秘訣にも繋がるような気がするね。
真心を持つとは。
チムは沖縄の方言で心や魂の意味。
真(マ)のチムでマジム。
真心を持つ人になってほしいと云う細やかな家族の願い。
名は体を表すと謂いますからね。
沖縄名産のサトウキビを使ったラム酒造りに邁進する女性の御噺。
派遣社員として働く会社の社内ベンチャー企画に応募したのがキッカケ。
最初は別に…新興地場産業で沖縄県を盛り上げよう!とか、島興し頑張ろう!なんて大仰な大志が有った訳じゃない。
大好きな酒好きのおばぁや大切な友達と一緒に美味しいお酒で酒盛りしたい!って…そう云う単純明快な理由。
でも、やり始めたら、トコトン諦めない。
豆腐作りを生業として長年…職人魂を魅せてくれたおばぁの背中を視ていたから、
自然と小さなことでも、真心を持ってやり遂げる人間になっていた…
思い描いた小さな夢が、マジムの熱意を中心に徐々に大きなウネリとなって現実として成り立っていく。
勿論、現実は夢の様に甘くはない。
でも、劇中…マジムに厳しい喝を入れる人はいても、嫌がらせをしたり邪魔をして心を腐す人が一人も出てこない。
マジムの本気な想いに呼応して、本気な人達が自然と集まっていく。
人間の優しさ、頑張る人が報われる…それを是として当たり前として描いてくれる尊さ。
ホッコリと安らぎの涙が…流れてくる。
そう云う素敵な作品でした。
ほのぼのとした雰囲気
全体的にほのぼのとした雰囲気で、とても観やすい作品です。ただ、見方を変えると予定調和的であり、その分、感動も薄かったように思います。リラックスして鑑賞したい方には良いかもしれません。
天才女優伊藤沙莉本領発揮 さとうきびなのにてんさいこれいかに
2025年映画館鑑賞90作品目
9月22日(月)イオンシネマ石巻
ハッピーマンデー1200円
原作は『カフーを待ちわびて』『ランウェイ☆ビート』『でーれーガールズ』『キネマの神様』『総理の夫』の原田マハ
監督はCMディレクターの芳賀薫
脚本は劇団「オッホ」主宰の黒川麻衣
どんな話か?
地元沖縄産サトウキビを原料に初めての国産ラム酒を作る会社を立ち上げた若い女性の話
しかもどうせやるなら主流のインダストリアル製法(サトウキビから砂糖を作る際にできてしまう廃糖蜜を発酵)ではなく希少価値が高いアグリコール製法(サトウキビの搾り汁から直接発酵)に素人がいきなり無謀な挑戦
サトウキビの搾り汁は傷みが早いため工場はサトウキビ畑の隣に作らないといけない
マジムとはヒロインまじむが由来
醸造職人瀬那覇仁裕が出来たばかりの国内初ラム酒に命名した商品名が「風のマジム」
「まじむ」と琉球の言葉で標準語だと「真心」
はじめは軽い気持ちだったものの段々と真剣になっていく過程が見どころ
実話に基づいたフィクション
伊波まじむのモデルはベンチャー企業「グイレス」の社長金城祐子
まじむは独身だが金城社長は子供も抱えていた
プレゼンと交渉がメイン
なんと言っても俳優伊藤沙莉の様々な顔芸に尽きる
エンドロールでもいろいろと振り返るが今回の伊藤沙莉はとても素晴らしい
彼女の代表作と言っても過言ではない
会社でのプレゼンが済んだ時の表情
南大東島でプレゼンしようとしたが断固拒否された時の表情
完成したラム酒を試飲した時の満足げな表情
などなど
兄は彼女を天才女優というがいくら身内でも煽て過ぎと感じたものだがやはり彼女は天才だった
彼女は大根ではないがムラがある
例えば山田孝之白鳥玉季が親子役で共演した『ステップ』で保育士で出演していたがコケかたがコントっぽく酷かった
『タイトル、拒絶』で泣くシーンも嘘泣き丸出しだった
それらも今になって思えば演出家の要求に従ったまでの話なんだと合点がいく
今回の伊藤沙莉は完璧だった
志保はゆりやんレトリィバァっぽかったが別人だった
孫に継いでもらえない豆腐店店主が悲しげでせつない
島の人たちに「ラム酒?マジムリ」と言ってほしかったが沖縄県民という設定では無理があるか
舞台が沖縄だけに沖縄っぽい苗字盛りだくさん
エンドロールのモブキャラのキャストに「運天」の文字が懐かしい
いたなあ元日ハム投手運天ジョンクレイトン
映画を観たあとラム酒が飲みたくなったがコンビニで扱っている店はなかなかない
ジンやウォッカはあってもなかなかラムがない
カンパリを扱っているようなスーパーなら大抵置いているのだが
配役
那覇の豆腐店店主の孫で琉球アイコムの契約社員から沖縄県産ラム酒の企画立案し子会社のラム酒メーカー社長に就任する伊波まじむに伊藤沙莉
まじむやカマルの行きつけのバーのバーテンダーで沖縄県産ラム酒製造のきっかけを作った後藤田吾朗に染谷将太
琉球アイコムの新事業開発部部長でまじむに理解ある儀間鋭一に尚玄
新規開発に関わる先輩社員でクールでちょっときつい糸数啓子にシシド・カフカ
まじむの部署の主任で職場に置くお菓子にうるさい仲宗根光章に橋本一郎
まじむの部署の正社員でまじむに協力する眼鏡の知念冨美枝に小野寺ずる
まじむの中学時代の友人でまじむの祖母や母にも可愛がられている南大東島商工会青年特使の仲里一平になかち
一平の妻で食堂手伝いをしている島の住人で若者がどんどん島を離れていくことを憂いまじむが提案するするラム酒製造事業に賛成し島の反対派に訴えかける仲里志保に下地萌音
一平にアグリコールラムを届ける配達員の友利に川田広樹
地元沖縄でワイン作りをしている伝説の醸造職人でまじむから熱心にラム酒作りをお願いされる瀬那覇仁裕に滝藤賢一
東京の高名な醸造コンサルタントで沖縄でラム酒作りをする気はなく琉球アイコムの方針に反してまじむからは敬遠される朱鷺岡明彦
南大東島の商工会の会長で歩いて1時間の距離を軽トラで村の中心部までまじむを乗せてくれた東江大順に肥後克広
まじむの母でカマルの仕事を手伝う伊波サヨ子に富田靖子
まじむの祖母で豆腐店店主で酒が大好きな伊波カマルに高畑淳子
琉球アイコムの社員に伊芸勇馬
琉球アイコムの社員の野原光雄に宮里紀一郎
プレゼンのライバル社員でサンゴの養殖を提案する仲村渠悠太に玉城琉太
バーテンダーに島袋らな
琉球アイコムの社長の桃原克博
南大東島の村長に大嶺淳
サトウキビ畑のオーナーに仲座健太
サトウキビ畑のオーナーの息子に呉屋栄大
南大東島の反対派に当山彰一
商工会議所のメンバーに大福みっちー
商工会議所のメンバーに金城真文
南大東島の島民に具志堅興治
南大東島の島民に前花友克
朱鷺岡の秘書に小池真名実
沖縄ことば監修&指導に今科子
南大東島に、行ってみたくなるわけさぁ
9/22@渋谷ユーロスペース。
伊藤沙莉が主演という予告編を見て「即買い」(チェック)していた。
彼女の魅力が全開の佳作でした。これはぜひオススメ。
『虎に翼』以来のお目見えですな。
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沖縄の地場中堅企業に契約社員として働く伊波まじむ(演: 伊藤沙莉)。
まじむとは、沖縄の言葉で真心。自宅に続く作業部屋でゆし豆腐を作り、庭先の席で食べさせる商売をしているおばあ(演: 高畑淳子)が名付けてくれた。
父親はおらず、豆腐作りを手伝う母(演: 富田靖子)と女性三代で暮らしている。
まじむの毎日は、露骨に正社員と差を付けられて鬱々と雑用をこなしている。
同僚だった子は勉強して司法書士に合格して辞めていった。
まじむの唯一の楽しみは、定時後は大好きな酒を飲んで憂さを晴らすこと。ある日、行きつけのバーでバーテンダー(演: 染谷将太)からアグリコールラムの試飲を勧められ、その美味しさに絶句する。
アグリコールラムとは、一般的なラムは製糖のために搾ったあとのサトウキビを原料にするのに対し最初から醸造を目的として搾る、いわば「一番搾り」の高級ラム。
そして同時にラム酒の原料がサトウキビであること、しかしサトウキビが名産の沖縄に沖縄産のラム酒がないことに今更ながら気づく。
後日、いつものようにシュレッダーにかける紙の山を渡されガーガーと放り込んでいると、社内ベンチャー募集のチラシに目が留まる。そこには「契約社員の応募可」の文字が。
突然、沖縄のサトウキビからアグリコールラムを作る事業が天啓のようにひらめいた。
やがて一次審査、二次審査も通過し、意気揚々のまじむだったが、サトウキビの大産地、南大東島の村長をはじめサトウキビ農家は「今のままで良い」と大反対。
酒の設計者となるキーパーソンも、上司、糸数(演: シシド・カフカ)と会社の意向で東京の著名な(しかし片手間感が満載の)醸造家に指名が決まりそう。一方、まじむが惚れ込んだ地元の醸造家、瀬那覇(演: 滝藤賢一)には多忙を理由に断られてしまう…。
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原作は原田マハ。初の沖縄産ラムを作った金城佑子さんをモデルとして創造された物語である。
いやーさすが伊藤沙莉、上手い上手い。かつ、魂が入った演技だった。
そして、作品に派手さが全くないこと、TOHOシネマズ系などメジャーな配給ではないことを考えると、この脇役陣の顔ぶれは尋常ではない(今後の興収によっては公開館が拡大するかも)。
つまり、名だたる芸達者たちが作品の素性と伊藤沙莉に惚れ込んで手弁当感覚で参加している気がする。
南大東島のざわわな風景も目に染みた。まさにまじむの風だ。行ってみたくなる。
タイトル『風のマジム』の種明かしはエンドロール直前に。
大東島産のラム酒を飲みたくなって映画館を出て直ぐにネット注文
沖縄のご当地映画だと思って、少し避け気味でやっと観ましたが、中々良い映画でした。
話しとしては、在り来たりと言えば在り来たり。現実を基にしているお話しなので結末はかなり見えています。
しかし、主演の伊藤沙莉さんを始めとして、出演者の演技がとても良い。
祖母役の高畑淳子さん、母役の富田靖子さん、バーテンダーで友人の染谷将太さん、杜氏役の滝藤賢一さんなど、最初はうちなんちゅー役としてどうなのかな?と思っていたけれど、観ていていつの間にか違和感が無くなり、自然に感情移入ができました。
伊藤沙莉さんは、目の演技が良いですね。
多分、独りで作っている演技ではなくて、相対している役者との呼吸で、自然に演じているのだろうな、と高畑さんや滝藤さんとのやり取りを観ていて思いました。
これを観て、大東島産のラム酒を飲みたくなってしまって、映画館を出て直ぐにネットで注文してしまいました。
これも、映画の力ですね。
丁寧なお仕事映画
沖縄で全てが沖縄産のラム酒を作った契約社員の実話の映画化。
お仕事映画というのは、面白い作品が多い。
自分が知らなかった仕事の世界を知る事が出来る。
ストーリーは定番であっても丁寧な作り。
そして、主人公が優秀な人物や、やたらと熱い人物ではなく、ただの酒好きなのが良い。
「思い付いた者は覚悟が必要」良い台詞だ。
ただ、ラスト近辺、ラム酒の披露会時の思い出の様に差し込まれるそれまでの名シーン、あれは要らないでしょ。泣かせよう演出満々、一気に白けてしまった。
#風のマジム
とても温かい映画
南国感を少し想像してきたけど、それよりも島の人、上司、家族、出会う人々その対話や関係が暖かく描かれていて、スーッと入って来る。高畑淳子さんがとてもいい味出していて、沖縄言葉も素敵でした。
たまたま今年5月に南大東島へ行ったのですが、本当に何も無くサトウキビ畑しか無いと言っても過言では無い
皆さん、よく飲むね~!
オール沖縄のアグリコール・ラム酒作りに挑戦、契約社員から社長になった女性の実話が元の朝ドラみたいな話だが、健気さを強調する臭さとかあざとさがぜんぜんない伊藤沙莉なので好感しかない。キツい上司のシシド・カフカにあからさまにバカにされても嫌がられてもひたすら愚鈍に食らいつく。コンペに勝ち残るためにライバルを蹴落とす策略を練るなどなく、ひたすら誠実に実直にやるべきことをやって、正攻法のみで押しまくるのが彼女に合っており気持ちが良い。周囲が応援したくなるのは自然の流れ。ピンクの電話のよっちゃんみたいな先輩がいつの間にか味方になってて笑える。結構良いコンビです。
そして、高畑淳子のおばあがそらもう、天下一品。
そのへんにいる沖縄のおばあ感にじみ出る、ユーモラスで酒飲みで思ったことは口にするが孫思い、孫とおばあで行きつけのバーで一杯(いっぱい)なんて、いいなあ。そしてお豆腐も職人の意識も腕も天下一品。徐々に体が弱って引退を決意した背中が泣ける。
今まで見た高畑淳子史上最高の高畑淳子だった。
ダチョウの肥後さん、ちょっとだけ出演のガレッジセールの二人、一平と志保、慌てようが何だろうが、どこかなんくるないさ~感が漂う南大東島の人たちがみんな良い。
南大東島の村長が計画に反対だったり、上司のシシド・カフカが実績よりもネームヴァリューを優先していけ好かない(しかも専門外)東京の有名醸造家に依頼しようとしたり、ありがちで類型的な障害が立ちふさがるお約束。朱鷺岡と瀬名覇の対比も類型的。
普通に考えたらこのご時世に村おこしの提案あったら村長としてはむしろ食いつくんじゃないかと思うし、偶然届いたアグリコール・ラムを一口飲んだら反対派の皆さん一斉に賛成に転じるってアリか!?と思うが、反対派も実は村の先行きを案じていて村おこしに賛成したくてきっかけを探していたんでしょうか。
また、高名醸造家に依頼するよりも地元の実績ある醸造家に作ってもらって「オール沖縄のアグリコール・ラム」をアピールしたほうが売り込みやすいと思う。肝心の醸造家を沖縄以外から持ってきたら逆効果な気がする。
それら、困難に対して、丁寧に実直に向き合って一歩一歩前進するまじむの姿を描くためのベタな設定で許容範囲と思えました。
それにしても皆さん、よく飲みますね、老若男女、普通にちょいちょい飲んでてしかも強い。そこだけなら私もうちなんちゅーに溶け込めそう。。
嫌な奴はまじむの元上司程度で、ねじ曲がった人がいない、人もストーリーも素直な、からっとした優しいご当地サクセスストーリー。
南大東島はじめ、沖縄の風景と、沖縄の音楽がとてもよい。
森山直太朗の『あの世でね』、軽快なんだけどなんだか物悲しい感じがする。でも、好きです。沖縄のポップミュージックにはなんとなくもの哀しいものを感じてしまいます。戦争の悲劇の成分が入っているのでしょうか。
作りたてのおばあのお豆腐、大きくて美味しそう。
ラム酒が飲みたくなる
原作は未読。主人公が困難に遭いながらも、周りの人々の協力を得て成功する、お仕事映画。先の展開が読めるので安心して見られるが、時間が短く、後半はトントン拍子に事が進む。本当はもっと苦労があっただろうし、ラム酒ができても、売れなければ成功とは言えないのが商売の難しい所。まじむのラム酒作りに大きな影響を与えたおばあが、後半は元気がなくなってしまったのが残念だった。反対していた南大東島の人々が、ラム酒を一口飲んだけで気持ちが変わったのもどうだったのか。しかも、まじむが作ったラム酒ではないのに。
ただ、普段はビールばかりの私だが、ラム酒が飲みたくなった。
実話ベースのフィクションだが、ビジネスに大切なものが散りばめられていた
2025.8.18 MOVIX京都
2025年の日本映画(105分、G)
原作は原田マハの同名小説
派遣社員から社内ベンチャーの責任者になった女性を描いたお仕事系ヒューマンドラマ
監督は芳賀薫
脚本は黒川麻衣
タイトルの「マジム」は主人公の名前で「真心」という意味
物語は、沖縄県那覇市にある豆腐店の娘・まじむ(伊藤沙莉)が、ある島のサトウキビ畑のそばを歩いている様子が描かれて始まる
まじむは祖母・カマル(高畑淳子)の豆腐店を手伝いながら、母・サヨ子(富田靖子)と3人で暮らしてきた
彼女は琉球アイコムという会社に派遣で入っていて、仕事内容は雑務ばかりで、正社員の仕事の手伝いもさせてもらえなかった
ある日のこと、社内ベンチャーコンテストの存在を知ったまじむは、それに興味を示す
行きつけのバーでバーテンの後藤田吾郎(染谷将太)とその話題になるまじむは、そこでサトウキビを使ったラム酒というものを教えてもらう
通常は砂糖を作る際に残ったものを使うのがラム酒だが、そのアクリコールラムはサトウキビそのもの汁を使うとあって、その風味は他のラム酒とは比べ物にならないものだった
まじむは「沖縄県産のサトウキビ」を使ったラム酒製造を思いつき、それをコンテストに応募してしまう
当初は斬新だったその企画は選考会を残り、まじむは新規事業開発部に配属されることになったのである
映画は、金城祐子さんをモデルにした小説の実写化で、エピソードの多く、制作に至る過程を再現している
彼女はグレイスという会社を立ち上げることになり、「コルコル・アグリコール」という国産無添加のラム酒を製造するに至っていて、映画公開に際して「風のマジムラベル」のラム酒を限定で発売したりもしている
このタイトルの出し方も面白くて、命名には感動的なエピソードが存在する
映画内では、こだわりの強い醸造家・瀬那覇(滝藤賢一)が登場するのだが、彼が妻と電話で交わす会話もベタだが感動を寄せるものとなっていた
映画内にて、祖母カマルは「まじむには人を引き寄せる不思議な力がある」というのだが、それは彼女の純粋な動機と熱量によるもので、先輩社員の糸数(シシド・カフカ)はかわいそうなくらいに対比的な存在として描かれている
部長の儀間(尚玄)も「ビジネスとして考える必要がある」と彼女を評価する一方で、役員会は奇抜なまじむのプレゼンを満場一致で推すことになる
それは、前向きな姿勢が評価されたことと、ものづくりにおいて欠かせない「生産者の顔が見えること」というものが評価されたからだろう
ビジネスライクな企画であったとしても、最終的に利益を生み出すのは人であり、その最初の顧客は社内の人だったりする
損得を最初から計算して、その通りになることなどほとんどないもので、糸数のプランでブランドラム酒を販売しても、ある程度の成功は収めただろう
だが、結局はラベルだけ沖縄みたいなラム酒になってしまい、もし後発で「本物」が出てきたら駆逐されると思う
そう言った意味において、本物を提供しようと考えた経営陣の経営判断というのも評価されるべきことなのかな、と感じた
いずれにせよ、ベッタベタなお仕事系映画で、過疎地の未来問題にも言及している
確かに製糖産業にて島は「回っている」のだが、実際にはその産業に夢を持てない人は多い
その産業を我が事と考えられるかは別問題であり、機械で精製させて県外に送られる商品に愛着を持てるのかはわからない
元々はその製糖工場も地場的な発展を遂げてきたと思うが、その管理をするだけで若者が希望を持てるのかは何とも言えないだろう
そう言った意味において、リアルタイムに自分が地元に貢献できているという感覚を生み出し続けることが、地域経済にとって、最も大事なことなのかな、と感じた
優しい映画
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沙莉が非正規労働してる会社で、社内ベンチャーが開催。
ちょうどサトウキビが原料のラム酒を知った沙莉は、
サトウキビの本場・沖縄で国産ラムを作ることを提案。
でサトウキビ名産の南大東島を訪問、幼馴染と再会。
島の人は頭が古く最初は否定的だったが、説得に成功。
醸造者は当初、東京の有名な人にする方向で進んでたが、
会ってみたらビジネス的過ぎてまるでハートがない。
そんな中で沖縄の、醸造者の鏡みたいな滝藤を見つけ、
こちらも口説き落として国産ラム酒が見事完成する。
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なーんか言葉で書くと、めっちゃ平凡な話やなあw
でも見てる時は全くそんなの感じず楽しかったし、
泣いたり笑ったり忙しい、映画らしい映画やった。
沙莉の作品ってあんまり見たことなかったけど、
素朴で一生懸命な印象で割と好きではあった。
そんな沙莉にピッタリなイメージの作品やったな。
沙莉をとりまく面々もみんな一生懸命で温かい。
変な婆さん役の高畑淳子が相変わらずいい味出してる。
しかし沙莉、会社休んで沖縄あちこち回ってたけど、
それって会社の出張費で何とかならんかったんか?
非正規雇用やとそのへんも厳しいのかな?
風交じむ
下戸ですが、久しぶりの伊藤沙莉ですので。
新規事業とはいえ、通信会社で酒造り?とは思うが、そんなこともあるのですね。
完全に勢いで社内コンペに応募して始まっていく。
まじむの性格や酒好きであることを伝えてくる冒頭の会話が上手い。
情熱は本物で、それは何冊ものノートに表れていた。
しかし、社名を出して名刺まで渡してるのに会社を通さず行動しまくるのはいただけない。
(窘められた後もやめないし)
終盤に説明会が「怖い」と言うのはよかったのだが。
東大東島の説得が、飲ませるだけで解決というのはサスガに無茶では。
最終プレゼンも数字の話ゼロだし、全編に渡り情熱一本槍といった印象。
酒は育ちきってないが人は育ってた、となって瀬名覇が引き受ける流れは好き。
まじむに豆腐づくりを見せる際のおばあの目が見事。
序盤、的確に現況と必要事項を伝えてくれた糸数さんも冷たいようで一番いい人。
肥後さんやガレッジセール川田さんらの置き所も丁度よく、配役は文句のつけようもない。
上手いとはいえない人も、雰囲気が合ってた。
最後の取材を東大東島でなく那覇の、しかもまじむの実家の前でやってたのは意味不明。
おばあが体調崩したとかは事実であっても蛇足。
締めのダイジェストは完全に不要で、ラベルを見せて終わりでよかったでしょ。(観客を信用して…)
所謂“いい話”ではあるんだけど、“お仕事もの”として見ると瑕疵が目立つかなぁ。
王道サクセスストーリー
会社での地位の低い人(ここでは派遣社員)が挫折しつつも知恵を絞って
努力して最後は勝利を手にする少年ジャンプの方程式みたいな映画。
でもテンプレ通りの御涙頂戴な凡作ではなく不必要な恋愛模様なども
一切排除し純沖縄産のラム酒を作ることのみに焦点を当てた事で
話を散漫にさせない脚本が上手い。
住民説明会が失敗に終わった直後にラム酒が届き試飲したら…
といったご都合主義なところはあるけれど演出に全然嫌味がなく
むしろ熱い展開にジワります。
結末も爽やかでこれ単館上映はもったいない。
ちょっと気になったのは沖縄でも塩辛いのは「しょっぱい」ですか?
少なくとも西日本では使いません。
沖縄には老害と言う悪語はないと思いたい
伊藤沙莉が好きで観るのは絶対だったけど、大東島でラムを醸造して産業にした話も数年前にラジオで聴いていました。
サクセスストーリーなのだけれど、沖縄という日本でも独特の風土、文化、環境を含めたストーリーに感銘を受けたしものを作る以上利益は大切なのも理解できるけど、真摯に向き合って愛情込めて造ることにこだわったマジムや醸造家を選んだ事に意義があり、成功したんだとも思える。
東京の洒落臭い醸造家が生産に関わるなら会社を離れてマジムが単独でやるのかとも思いながら観てたけど結果本当に良かった。
何よりマジム、母、祖母が本当の親子のように見えて祖母が孫を、母が子を、孫が祖母を思うシーンのセリフなき描写に胸が熱くなりました。
昨今、ネット上では高齢者や人生の先輩諸氏を若い者が耳の痛いことや気に入らない事を言われると、老害と揶揄するのを目にするけど私はこの言葉が嫌いでどうしたものかと思う毎日であるけど、沖縄の人は老害という概念を持ってる人は居ないのではと、ふと思ってしまいました。今風に言うと目上の人をリスペクトしてる、敬う心があるように思いました。
本土の都会ほど核家族化の悪影響で祖父母と一緒に生活してないから目上の人を敬う心がなくなってるのかなと敬老の日にこの映画を観て思いました。
何故だ?
もっと多くの映画館で上映して
もっと多くの人に、1人でも多くの人に見て欲しい
NHKあさイチで紹介されてて知り、見に行こうとしたら普段見ている近くの映画館ではやってないらしい
何故だ?鬼滅の刃の最後の夜中の回を変えてくれてもいいのに
改めて配給会社によってそもそも近くではやってなくてその映画のことを知らないままにいた事が多くあったことを知った
しかし嘆いても仕方ない
少し高くても、ちょっと遠いところまで行っても見る価値のある映画というのはあるのだ
時代は90年代初頭くらいの沖縄
派遣社員として働いているナジムは豆腐屋を営むおばぁとおかぁと3人で暮らしている
おばぁは朝から早起きで豆腐を作る
おばぁの豆腐は沖縄一、日本一、いや世界一だ
朝はゆし豆腐を店で出し、午後からは島豆腐も出している
派遣社員は正社員とは待遇が違う、責任も違う
お茶くみとシュレッダーと社員が休憩で食べるお菓子の用意とかだけしかさせてもらえない
同期の子は司法書士の資格を頑張って取って転職して行った
ここに居ても私の未来は無いのだ、おばぁの豆腐屋を継ごうかといったら、豆腐屋舐めるなと叱られた
毎日一緒にバーでおばぁと飲むのが楽しい、というかこれくらいしか無いなんて
そんな時、新規事業の社内募集のチラシを見つけた
派遣社員も可と書いてある
飲んでる時にラムを出してもらった、美味かった
これサトウキビから作られてるの?なんか馴染みの味がするわけだ、でも何故か沖縄では作ってないらしい、あんなにサトウキビあるのに、作ったらきっと美味しいだろうな、そんなこと出来たら楽しいに違いない!やってみよう!
思いつき、発展させ、行動し、調べたりするのも本気でやる
素人だからを言い訳にせず、素人だから諦めない
おばぁが良い、すごく良い
一番大事なこと見失ったらダメだぞ
人の口に入るものを作るのはそんな容易なことでは無い、それをいちばん知ってるおばぁだから、簡単に応援したり賛成したりしない
反対するのは大変な事だと知ってるからだ
無理だとは言わない、本気なのかと問うている
おかぁとおばぁは、そのうちマジムが跡を継ぐような思いだったろうか、継がないのは少し寂しそう
それよりもマジムが自身の夢を追いかけて行く姿を喜んだ
おかぁはおばぁをおかぁと呼ぶ
当たり前だけど、そうよぶときはおばぁと呼ぶ時とは気持ちが少し違うような、娘としてというか
細かいけれど、心がそこにあるような、暖かい気持ちがあるような
終わった時は、美味しいお酒を飲みたいと思うだろう
ツマミなら、やっぱりしょっぱい7割だなw
美味しいラム酒はこの映画みたいな味なんでしょうね‼️
ラム酒に魅せられた女性が、勤め先の会社のベンチャーコンクールに沖縄産サトウキビを使ったラム酒製造の企画書を出し、企画を通すために情熱を燃やす・・・‼️サトウキビを熟成させ、おいしいラム酒が出来上がる‼️まるでそんなラム酒のような主人公の頑張りと成長、そんなラム酒のような映画ですね‼️マジム=真心のような主人公の頑張りがホントに微笑ましく、応援したい気持ちになる‼️南大東島の住民たちへのプレゼンが大炎上し、そこへ届いたラム酒のおいしさが全てを丸く収めるシーン‼️滝藤賢一扮する瀬名覇がラム酒製造を決意するシーン‼️そしてクライマックスの会社重役たちへのマジムのプレゼンのシーン‼️ご都合主義っぽいけど、なんかホッとする、温かくなるシーンの連続‼️その一方で、希望ある新事業としてのラム酒製造と相反して、マジムの祖母と母が営む豆腐屋の来たるべき終焉をさりげなく描くなど、物語的にも深い‼️そしていよいよ出来上がった沖縄産サトウキビを使ったラム酒「風のマジム」‼️瀬名覇の希望で一番に試飲したマジムの表情をその時は見せず、映画のラスト・カットとして、マジム=伊藤沙莉ちゃんの溢れんばかりの笑顔を用意する構成もホントに上手い‼️
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