劇場公開日 2025年9月12日

「原作通り。ちょっと「いい人酔い」しました。」風のマジム あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 原作通り。ちょっと「いい人酔い」しました。

2025年9月15日
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鑑賞方法:映画館

モデルである南大東島のグレイスラム社は当時の南西航空機内誌の記事で初めて知った。絶海の孤島の風景(海岸に停泊できないのでクレーンで船を吊り上げる)と、日本でここだけのラム造りをするという取り合わせが斬新であり今でも強烈に記憶している。同社の創立は2004年ということだからその辺りの時期だったのだろう。代表の金城祐子さんはその後知った。まじむのモデルである。
2014年になって原田マハの小説が刊行され、さらに10年を経て今回の映画が製作された。なぜこんなに時間がかかったかだが、後で触れるがグレイスラム社自体の経営が順調とは言えず、取材や撮影に応じるだけの余裕がなかったのではと推測している。
さて、この映画の宣伝や紹介記事では「契約社員が社長になった」とか「サクセスストーリーだ」とか、今どき何を寝言をいっているかという言説が見受けられ鼻につくのだが、舞台となった2000年代初頭は無邪気な社内起業、社内公募というものがギリギリ存在したのだろうからそれを再現した原作はしょうがない。でも今になってそれを映画化すると、あまりにもいい人ばかりが都合よく登場するという印象を小説にもまして受けてしまうのだけど。1人だけ南大東島村長だけは原作とは違ってイケズなお爺さんに変わっていた。あれは実際にああいう人だったのだろうか?
これだと原作だけを読んでおけば良い、わざわざ映画化する必要がどこにあったのか、ということだけどそれはもちろん今をときめく伊藤沙莉さん向けの企画が欲しかったということなんでしょうね。
そうそうグレイスラム社ですが、現在では沖縄電力(原作と映画では携帯電話会社になっているが)は撤退していて、沖縄本島の酒造会社が支援に入っている。株式はほとんどを金城氏個人が買い取ったようだ。事業としてはうまくいかなかったいうこと。ラムの市場も広がらなかったし、やっぱり南大東島を生産拠点にするのは無理があったということだろう。
疑問点が2つ。ひとつは南大東島ロケまでしながらあの有名な旧空港ターミナルを転用したグレイスラム本社、売店を一切映さなかったこと。あんまりボロボロで無理だったのか。そもそも南大東島らしいショットがほとんどなく何をしているんだとは思ったけど。
もう一つはエンドロールでキャスト名が3回もクレジットされたこと。タイトルを最後に持ってきたのでズルズルくっついてきちゃったのか。編集についても何してんだっていうところですね。

あんちゃん
Freddie3vさんのコメント
2025年10月2日

コメント及び貴レビューの貴重な情報ありがとうございます。

一時期、日本の大手企業で流行った社内ベンチャー公募というのは時代のあだ花だったという話を聞いたことがあります。大手企業はバブルが弾ける寸前の昭和末、平成初頭に大量の新卒採用をして、「平成バブラーズ」と呼ばれる、バブル崩壊後には社内で行き場を失うこととなる世代を作ってしまった、その世代に対する「ガス抜き」として社内ベンチャー公募が機能したというお話です。貴レビューで金城祐子さんの名前を知って思わず検索してしまったのですが、彼女は1972年生まれ(沖縄では「復帰っ子」と呼ぶそうな)、沖縄の短大を出て東京で就職、1年後にUターンして沖縄電力の子会社に就職したとのことなので、まあぎりぎりバブラーズ世代なのでしょうか(すぐ下は「就職氷河期世代」なので1-2年の違いが運不運の分かれ目だったりもします)。それにしてもネット記事を読む限りは金城さんの人生のほうが映画より面白そうでした

Freddie3v
NOBUさんのコメント
2025年9月16日

今晩は。
 貴重な情報、ありがとうございました。
 私は、社内でも有名な酒好きですが、故にγ―GTPが2500になり、産業医から”即入院”を告げられ、とは言え会社は休めないので半年禁酒を実施し、今身体を慣らしているので飲めないんです。(涙)
 けれど、あのホワイトラムは絶対に美味いよなあ、と思いながら観ていました。シークワーサーを使っている所が、みそだと思いましたね。ではでは。

NOBU