風のマジムのレビュー・感想・評価
全136件中、1~20件目を表示
私も真心を大事に仕事をしたいと思った
あーーー良いものを見た。
沖縄の優しい風がずっと作中吹いていて、最後らへんはずっと胸がいっぱいになり、涙目になりながら見ていた。
沖縄のサトウキビを使ったラム酒作りに挑戦し、契約社員から社長になった女性の実話をもとに執筆された小説の実写版。
原作は未読ですが、おもしろそうだなと思っていたのと、虎に翼以降伊藤沙莉ちゃんの演技に飢えていたので鑑賞。
いやーー良い。
映画館の上映数が少ないのが本当にもったいない。
主人公のマジムが、最初は契約社員の私なんかと自分で自分のことを軽視していたのに、徐々に自分の意思をしっかり持ち、行動し、信念を貫く人間に成長していく過程がかっこいい。
こういう役をやらせたら100点満点の沙莉ちゃんの脇に、こういうおばあ役の高畑純子さんと、母親役をやらせたら100点満点の富田靖子さんがいて、最強の布陣。ずっと見ていられる。
クスッと笑えるところとじんわり心に響かせる塩梅がうまいのなんのって!
さらにその周りに「宝島」とはガラリと雰囲気の違う尚玄さん、スパイス役のカフカさんの職場の人間たちと、優しいバーテンダー染谷くんと、あなたと仕事がしたいと一瞬で思わせられる遠藤賢一さんがいて一切の隙がない。
鑑賞後、私も仕事頑張ろうと元気が出る作品でした!私も沖縄産ラム酒飲んでみたい!
主人公の決断を肩肘張らず柔らかな風に乗せて描く
あまり肩肘を張らず、穏やかな気持ちで飛び込める爽やかな作品である。朝ドラですっかり国民的女優に昇り詰めた感のある伊藤沙莉だが、本作で演じるのもやはり「何かを成し遂げる人物」。しかし両者が同類かというと、だいぶ異なる。こちらの主人公はかなり直感型だ。論理的に考えるというよりは、まずは感じたままにサッと決断して、風のようにビュウと動く。ただし「まじむ(真心)」という名の通り、その一挙手一投足にはいつも気持ちがしっかり込められている。常識に縛られない。そして「おばあ」から受け継いだ思いを何よりも大切にしている。おそらく彼女にとって理屈は後から追いついてくるものなのだろう。実はこの先例のない沖縄産ラム酒造りに挑もうとする主人公には実在のモデルがいて、原作者の原田マハは彼女に惚れ込んで小説執筆を決意したのだとか。そういった他者を魅了する芯のある人間味を、本作でも伊藤が雑味なく真っ直ぐに体現している。
「ラム酒」と「酒造り」にも愛と真心を
2025年9月は本作と「宝島」、沖縄を舞台にした劇映画が2本立て続けに公開された。フィクションではあるが、この「風のマジム」では21世紀の那覇や大東島の人々の暮らしぶりに、そして「宝島」では米軍統治下の沖縄で抗い模索した若者らの姿に触れて、観客の多くは沖縄をより身近に感じられたのではないか。
原作は原田マハの小説で、実話に基づく。那覇で暮らす若い女性会社員・まじむ(伊藤沙莉)が、サトウキビを原料とするラム酒の美味しさと、沖縄県産サトウキビで作るラム酒がないことを知り、社内ベンチャー企画公募を機に「南大東島産ラム酒造り」プロジェクトを立案、さまざまな困難を乗り越えながら実現に向けて奮闘する姿を描く。ちなみに、もともと沖縄電力傘下の通信会社社員だった金城祐子さんが企画を実現させ、南大東島産ラム「CORCOR(コルコル)」を生み出した話がベースになっている。
女性主人公が興味を持った未知の分野に根気強く挑み、前例のない挑戦に消極的な周囲の人々をも巻き込んで、大きな夢や目標を実現していくという大筋は、伊藤沙莉の代表作になった2024年のNHK朝ドラ「虎に翼」に通じる。小柄ながらエネルギッシュで明るくポジティブな伊藤のイメージが「虎に翼」と同様、まじむのキャラクターにも活きている。
ただし、酒好きの一人として残念なところもある。まず、ラム酒自体の魅力を伝える描写が少ないこと。砂糖精製時に出る廃糖蜜を原料とする伝統的なラムに対し、サトウキビ汁で作る貴重なアグリコールラムの味がどう違ってどれくらい美味しいのかを、もちろん味そのものを伝えるのは不可能ながら、香りや味わいを体験したときの表情や言葉に、照明や音響効果もあわせた映像でもっと印象的に表現することはできなかったか。また、ラム酒造りの工程を映像で描くこともなく、醸造家・瀬名覇(滝藤賢一)の参加が決まったあとの蒸留所での描写もごくわずか。ラム酒造り未経験のチームが新商品を開発するのだから、理想の味に近づけるための試行錯誤も相当あったはずで、それも興味深い見所の一つになり得たのでは。映画の作り手がラム酒と酒造りにも愛と真心をもっと注いでくれたらよかったのにと思う。
爽やかな風が吹き抜ける・・・けど
「真心」をもって、初心貫徹。
ストーリーも登場人物もわかりやすく、立ちはだかる苦難も、それを乗り越える主人公にも、悲壮感はない。清々しささえ感じる。
万人受けする映画という感じだ。
こういう映画は嫌いじゃない。安心して観ていられるし、鑑賞後の気分も良い。
こういう作品だと割り切ってしまえば、レビューはここで終わりなのだが・・・
もう少し、こうして欲しい、というところが2つ気になった。
1つめは、島民や醸造家の説得は実際は乗り越えるのに非常に苦労した壁だったはずだが、主人公があまりにすんなり乗り越えてしまったこと。悩み、苦しみはもっとなかったのだろうか?そこをもう少し、5分でもよいから描いて欲しかった。
2つめは、社内ベンチャー事業、営利目的の新規開発事業なのに、「数字」の話が全く出てこなかったこと。主人公の「想い」とそれに共感する人の力だけで事業は成功したかのような描き方だったが、少しはリアリティが欲しかったな。
「わかりやすさ」を重視して「想い」の焦点を当てたのだとは理解するが、そこを突っ込む課長役が突っ込まないのか・・・と思ってしまった。
とはいえ、主役の伊藤沙莉、母親役の富田靖子、祖母役の高畑淳子の3人家族の演技は本当の家族のようで見事だった。特に祖母役の高畑淳子は、豆腐作り、バーでの酒飲み、体調を崩してからの目線の演技などが自然体なのに情感が感じられてとても良かった。
個人的にはもう少し深掘りを・・・というやや薄味な印象だったが、欲張りすぎかもしれない。
一歩踏み出す勇気をくれる
娘の影響でラム酒に興味がわき、その流れで鑑賞。
その他の事前情報ナシで行ったので、キャストの豪華さに驚きました。
主演の伊藤沙莉さんはもちろん、おばあの高畑淳子さんの力強い存在感!言葉の一つ一つに説得力ありました。
そして、母親役の富田靖子さんには泣かされました〜!
ものづくりの物語であり、女三代の物語でもある。
おばあとは対照的に、言葉に出来ずに歌に心をのせる母親。
森山直太朗さんの主題歌ともリンクする素晴らしいシーンで、少し丸まった背中が泣けました。
言葉に出来ないこの胸の内を伝えたくて、私たちはいろんな手段を尽くす。
歌や映画も同じ。
想いを込めて伝わりますように。どうぞ届きますように。
きっとそれは、いま目の前にいない人、更には二度と会えない人にまで届いてほしいという祈りにも似た思い。
パンフレットには二つの歌の歌詞が載っているので、何度も映画の余韻を噛み締められました。
あと、パンフレットにはラム酒についてすごくわかりやすく解説されているので、これもオススメ!
単なる思いつきが、どんどん形になって行く面白さ。
マジムは決して夢に向かってグイグイみんなを引っ張っていくリーダー的な存在ではなく、いろんな人の助言や苦言に真摯に耳を傾ける。
そんな真っ直ぐなマジムを思わず応援したくたります。
様々な問題を対話をもって解決していくところにも感動しました。
目の前に居ない人に思いを届ける為には、それを作る側はきちんと対話を持って同じ方向を見なければ。
紛争や差別にも繋がる、相互理解の根本が描かれていると感じました。
実は私も思いついている事があり。。。ちょっとチャレンジしたくなっちゃいました。
「思いついてしまった人には責任がある」
「諦めたらそこで終わり」
一歩踏み出す勇気を後押ししてくれる映画でした。
初志貫徹
沖縄のさとうきびでラム酒をつくるという初志貫徹のマジム。
祖母と母からの育てられ方も良かったのだろうな。
伊波とうふ店で、職人である祖母を目の当たりにしていたことが、
このサクセスストーリーにつながったのだろうと思う。
伊藤沙莉演じるまじむをとりまく人々で、
まじむに差別的な扱いを露骨にやってくるヤツって、いまどきいるのか!?と思う。
時代錯誤も甚だしいし、いかにも昭和的なドラマな感じがして
私は気持ちが萎えてしまった。
とはいえ、まじむの真摯さがフォロワーをつくり、成功していくストーリーは
見ていて気持ちがいいし、沖縄産のラムが飲んでみたいと思い、
早速通販で注文してしまった。
私個人としては、染谷将太演じる吾郎の存在がまじむを支えていると感じたし、
良い役どころだったと思う。
それにしても伊藤沙莉は笑顔がステキですね。
前向きで真摯なまじむに元気をもらいました。
沖縄方言
キャストも凄く良くて秀悦な作品。
全体的に沖縄の爽快な風をあびながら
観ている感覚。
対立構造の作り方も善し。
正社員と派遣社員。
沖縄の方と本土の方。
新しいビジネスと島の伝統。
島民と島民以外の人。
ラム酒作りに挑むマジムの気持ちと
真っ直ぐな姿。
周りの温かい家族と友人のサポートを
受けて情熱と信念で前に進む。
元気を沢山頂き、ラム酒を飲みたくなりました。
こういう映画はこれで良い。
「悪者」が出てこない良作の反面、非誠実性があるかも。
原作は原田マハの小説によるものだが元々は実話からインスパイアされたものらしい。最後までハラハラドキドキする箇所もなく、悪者や敵役も完全に不在とは言えないが目立たない。むろん最近の映画には必ずあるバトルもない。ゆえに「映画らしくない」と見る向きもあるだろう(特に若い幼い観客には)。唯一画角がスコープだったが、それすらも沖縄の自然にフォーカスしたものは少ない(この点は後述)。ほとんど唯一島豆腐の製法シーンでのみ表現されているようだ。
時代設定とその描写にも苦慮したのかなと感じた。2025年現在、シュレッダーとお菓子補充を主業務にする契約社員がどれほどいるのかな?と感じてしまう(事実あるのなら失礼)。これは原作の発表が2010年であり、後に登場する東京の醸造プロューサー(演・眞島秀和)という仕事が恐らく時代の先端あたりを進むポジションであるがゆえ、沖縄と東京との間に依然として残されている「空気感の時差」を狙ったものであるのならば、まぁ納得できる。
主演の伊波まじむはみんな大好き伊藤沙莉。小さな身体で作品のすべてを背負う。染谷将太が専門性の高い説明役になって物語を押し進める。他の出演陣に一部芝居がしんどいかなと感じる人もいたのだが、作品全体の印象からすると気にならない。ただひとり惜しかったのが滝藤賢一演じる瀬那覇仁裕。物語全般の最後のキーを回す役目なのにいまいち演出面でも作劇面でも薄い。もうひとつふたつエピソードをぶち込むべきではなかっただろうか。演じた方が悪いと言っているわけではない。
先日の「宝島」では理解に苦しんだ沖縄方言=うちなーぐちはこの作品でもけっこうキツい。しかし…なんとなくわかるんだよね。作品カラーが異なるから当たり前と言われればそうかも知れないが。
全体の印象は星3.5。誰からも好かれる要素を持った作品だとは思う。公開館数は少ないながら、今後はサブスクでも見られるだろう。お勧めしたい。なお採点には以下の内容は加味していない。
<気になった点>
メインの舞台は沖縄本島。サブの舞台である「南大東島で本当にロケをやったのかな?」ということ。エンドロールを見ると村か観光協会が協力はしていたようだが詳細までは調べていない。自分自身は昨年の2月に1日だけ本当に南大東島を訪れている。特に中心部である在所の記憶は鮮明だ。2013年の「旅立ちの島唄〜十五の春〜」(監督:吉田康弘、主演:三吉彩花)という秀作を見たことが影響してのことゆえ、あのつき抜けるような空と海、風に揺らめくサトウキビ畑といった自然そのものの島をスクリーンで見るのを楽しみとしていた。が、ぶっちゃけサトウキビ畑、製糖工場、大東そば屋、村役場だけで終わってしまう。うち、製糖工場は「あの文言」が書かれていなかったがゆえ違うんでね?であり、村役場は明確に実物とは異なっていた。サトウキビ畑は沖縄県内ならちょっと田舎に行けばどこでもある光景。そば屋はなんならセットでも撮れる。他にも沖縄映画なのに沖縄らしい自然の描写が少なかった。そこは内地の人間としてちょっと残念。蛇足だが実際に南大東空港から在所までならどうにかこうにか歩いて行ける距離ではあるけれど、歩く人などいないw。曲がる交差点を一か所間違えなければいいだけだ。ただし起伏は大きい。
モノホンの南大東島でのロケは大変ゆえ、本島内で済ませても仕方がないと思うが、真相をご存知の方がいらしたら教えてほしい。
何だかその日はのんびり愉しく過ごせた。
『風のマジム』を観にCINEMA IKSPIARIに行きました。 舞浜駅前は世界名作劇場やSnoopyが好きな人からすると異国な雰囲気だと感じるかも知れません🤔 あの人もこの人も大きな耳の被り物をしている。😅 でも、そこは夢の国だけあって御手洗がとても清潔なのは感心した。 映画『風のマジム』は良かったです。 物語もさることながら出演者が役にぴったり合っていて自然でした。 映画の中にいる伊藤沙莉さん,富田靖子さん,高畑淳子さん,他 出演者の皆さん魅力的です。 ドラマ『しあわせを食べて寝て待て』が好きな人はこの作品を評価するのではないのかという意見もあります。自分も至極同意😄 「話を聞く側をきちんと撮ることは常に意識していました。」 制作陣の意図は老若男女を問わず多くの観客に伝わったと思います。 鑑賞後、この施設の一角に麦酒の工房を店内に設置している洋風居酒屋で 映画のProgramを読みながらpale aleとpilsnerを呑みました。 ビール党なので😆
登場人物の表情に心を持っていかれました&ラム酒オススメです
実話ベースのお仕事奮闘ストーリー。
お話はパタパタと進んで何かを深掘るシーンはあまりないんだけど、逆にそれが登場人物のふとした表情をきっかけにいろんな想像を膨らませることとなり、こっちが自然と心動かされるという場面が多かったです。
内容についてあれこれ説明しませんが、見てよかった、自分も明日からまた頑張ろう!と思える良い映画でした。
南大東島を舞台とした映画といえば、私的に名作は「旅立ちの島唄」です。
実は、旅立ちの島唄を観て、鍾乳洞や気象台をこの目で見てみたいと思って、北大東島と南大東島へ旅行に行きました。
その時に、自分用のお土産でラム酒COR CORのグリーンラベル、アグリコールを買って美味しくいただきました。もうその味を忘れかけてますので、この週末にポチッと購入しないといけません(笑
風のナジムは大東島と沖縄が同じ文化圏として扱われている感じでしたが、いろいろと文化的背景に違いもありますので、まだ見てない方は、ぜひ旅立ちの島唄もオススメです。
久しぶりに。
私も独自プロダクトやりたい
沖縄産の原料で生産するラム酒。夢がありますよね。私はずっとメーカー勤務なので、沖縄でのものづくりが流通や運送費含めて難しいのは分かっていましたが、付加価値を付けた高粗利なお酒だったら内地のマーケットでも勝負できるかもしれないです。具体化するには保守的な田舎の人達を動かすのが大変&ある程度似た様な業界がやる方が上手くいきそうです。
おばあ、おかあ、マジムと女性がものづくりで活躍するのも沖縄らしさが溢れていて良かったなあ。おばあのゆし豆腐は食べたくなるに決まってます。余談になりますが、秩父郡小鹿野町の女性醸造家エレナさんが作る国産蜂蜜を使った蜂蜜酒も凄く美味しくてオススメです。私も独自のプロダクト作りたくなるくらい夢がありました。
全136件中、1~20件目を表示











