ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニングのレビュー・感想・評価
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ウィリアム・ダンロー
長かった。この作品の上映時間もそうだが、ここに辿り着くまでの期間。ファーストを映画館で観た時私は何歳だったのだろう?というかトム62歳っておそろしいな。トップ・ガンは次を狙っているらしいけれども一先ずはお疲れさま、という事で。それとダンローさんの件で4点。そうじゃなきゃひとつ削っても良いかな。
やりたい事ありきの映画なのだからと言われればそれまでだし納得だが、一応スパイアクションであるからして。ずっとピンチってどないやねん。 前作からの期間も開いたので記憶も定かじゃないから、思いの外気持ちの寄せどころにも困ってしまった。但し"それありき"なリアルアクションに関してはもう感服だし酸欠でした。潜水艦に関しては「あれ?ステイサムに対抗心??」なんて思ったりもしましたが笑
次はハリソンに対抗して"大統領キャラ"でいきましょかね。
ミッション・インポッシブル座これにて千秋楽
実に30年に亘る大ヒットシリーズの集大成で、相変わらずトム・クルーズの骨身を惜しまない壮絶アクションには拍手しかありません。映画ファンを配信でなく映画館に足を運ばせるために、観客を喜ばせる一点に集中している彼のスターとしての姿勢は素晴らしいです。一方で、脚本のできが良くなくて、ストーリーは正直言って分かりにくいし展開も間延び勝ちなのが残念。真の敵の実体(entity)がないだけに明確な敵のイメージが持てないし、その目的や登場人物の思惑が入り組んでいるのを、全て膨大なセリフで説明するのは、アクション映画の脚本としては大マイナスです。後はトムの壮絶アクションを楽しむだけなんだけど、減圧が必要な極寒の深海から裸同然で泳いできたり、いつの間にか予備のパラシュートを持っていたり、せっかくのアクションを台無しにするようなご都合主義もガッカリでした。脚本のマッカリー監督どうしちゃったのかな?役者では、トムのMI座の座長振りがあっぱれです。他のレギュラー陣の皆さんもお疲れ様でした。
M:I-memories
思い出振り返り編?
ベンジーのウールネクタイかわいいなーとか、今回トムはパンイチがちだなーとか、プロペラ機の足操作ってどっかでみた…どこで観たんだっけ…とか、自分の雑念とともに過去作の思い出をプレイバック。
最終的にあれはさ、トムが持っててどうすんのさ。
近年のスパイ映画のドラゴンボール化
007しかりMIしかり、スパイ映画といえばスリルの中での「まんまとしてやったぜ」を楽しみつつ、終盤は筋肉100%バトル。というのが定番でしたが、2000年代後半にかけ地球を股にかける危機とド派手アクションが主流になりました(この流れにワイルドスピードも途中から合流)。
MIは5作目ローグネイションがわりと原点回帰だったフシはあるものの、6作目及び前作は再び路線を戻した印象で、今作も例に漏れず諜報より戦闘が目立つスパイ映画でした。トムクルーズも人間なので歳をとりますが、一方で求められるアクションは回を重ねるごとに無茶になっておりここらが潮時だったかなと思います。
今作は(今作も?)イーサン達並びに敵達の行動に必然性・合理性があるのか疑問符が付く場面がしばしばありました。そして大衆向けアクション映画としては流石に長すぎです。20分くらい経ってからメインテーマが流れたときは「インド映画かよ!」と思わず心の中でツッコミました。冗長な場面も多く、もう少しコンパクトにしてくれた方が良かったと思います。
ですが、要所要所のアクションシーンはやっぱり見応えがあり、シリーズ集大成を飾るのにふさわしい作品だったのではないでしょうか。
文字通り骨を折ったりしながらも30年シリーズを引っ張ってきたトムに拍手を贈りたい、そういう点数です。
映画終了した後、拍手が起こった。
映画館で観終わった後、拍手があったのですが、今までで初めての経験でした。
大きいスクリーンで観たせいか、過去最高のど迫力のアクションと物語のスケールの大きさに圧倒されっぱなしで、鑑賞している側の方が疲れたというか終始トムクルーズと同じような体験をしているかのようでした。
たぶん、映画を観たほとんどの方が思うと思うのですが、本当に還暦なのか⁈嘘でしょ!!というようなシーンの連続で、トムクルーズに生きる力を貰ったというか…還暦でもここまで頑張れるんだというトムクルーズの凄みを感じざるをえませんでした。
集大成なので、伏線いっぱいありのファンへの愛とメッセージありいの、これぞアメリカ映画を存分に感じれます。
ミッション・インポッシブル ファイナルレコニング、最高でした。ありがとうございました。
ミッション:インポッシブルは荒唐無稽で問題なし!
この作品に何を期待するか?
もはや、スパイアクションというよりもパニック映画の様相ですが、私は十分に満足しましたよ。イーサンは相変わらずのナイスガイで、格闘シーンはハラハラ、空中アクションはお尻がムズムズしっ放しでした。
人生観、哲学を語ったり、ホロリとさせるシリアスなシーンもありましたね。アップル社創業者である故スティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学での卒業式スピーチを想起しました。
トム・クルーズはクリストファー・マッカリー監督との相性が抜群なのでしょう。マッカリー監督シリーズではフォールアウトが一番好きです。
本作の収穫はポム・クレメンティエフ。前作同様の暴れっぷりに加え、そのキュートさに常に目線は彼女を追っていました(笑)。本シリーズとともにポムの次回作に期待したいと思います。
シリーズで一番地味に
M:Iシリーズと言えば、トムのアクションの見せ場を先に作り、後からストーリーを付け足したような作品がこれまでのシリーズだったが、意外にアクションシーンが少なくシリーズで一番地味な作品と言っても良いだろう。
また、これまでのシリーズと違って前作から継続しての続編なので前作を知らない観客に対する救済処置として過去の出来事の説明やフラッシュバックを取り入れている為、169分という長尺になっている。
アクションよりストーリーを重視したのだろうかそのストーリーもテンポが悪く、暗いトーンでイマイチ盛り上がりに欠ける。
長尺になった分、アクションシーンが増えていればいいのだが、見所と言える部分はセスナのシーンぐらいだろう。
潜水艦内部のシーンなどもあるのだが合成カットなどがある為、トムがいくら過激なスタントをしていてもその恩恵が薄れてしまう。
フォールアウトまでは比較的スタントシーンは長尺で見せていただけに緊張感があったのだが、前作からカットが多くなっているように思える。
ジェレミー・レナーはシリーズを離脱する際に監督から彼の役の死を提案されたそうだが、ジェレミーは断ったそうだ。この話を聞いてから本作でのルーサーの死は必要はあったのだろうか?と思う。
理由はどうあれ、役者が離脱する際にその役を死に追いやるというのはとても想像力に欠ける。
マッカリーが監督するようになってからはストーリーは薄くなったがその分アクションが過激になっていた。
何故か本作ではその逆をやる事により、アクションもストーリーも中途半端なものになってしまった。
とは言えトムももう歳なのでこの程度に落ち着く事にしたのかもしれない。
いつからかアクション俳優になってしまっているが、
アクションをしないトムの方がむしろ好きなので今後の演技派な彼の作品に期待したいと思う。
愛戦士
お約束感が強くなっていたシリーズの最後で、それを退ける撲殺。ポップなアクションには移らず、スパイ映画らしく外交的駆け引きや政治的な緊張感を伝えてくる。今回は政治とも軍とも協調する。こきおろされる対象ではなくリスペクトされる。各所で確認される女性や多様性の存在。非常に丁寧で製作意欲を感じる。
過去作に捧げる逸話やセルフオマージュ。記憶を呼び起こされ、この作品と同時代に共に生きた自身まで映り込むようである。この人だれ?その地味なキャラクターをここで埋め込む。すばらしいプレゼント。語るセリフの美しさ。全ての陰に生きる人への賞賛。
そしてシリーズお得意のアクションへと加速していく。口あんぐりの連続。胎盤のような氷板に浮かびあがる胎児のようなハント。美しい絵作り。飛行機上での格闘戦。やぶれかぶれ。殴ってるけど、それってあなたは大丈夫。公正さを強く説くラスト。映像も美しいが台詞もすばらしい。知らぬ人も愛せよ。長いシリーズを締めるにふさわしい。
ただし、AIが暴走して社会を混乱させるといった論は正直好みではない。現状見ていても、AIは人間の写し鏡でしかない。憂慮するのであれば、増幅される人間自身の醜さの方かと思う。
息の詰まるアクションとはこの事!!
病的ギャンブラー・イーサン?
人生は選択の連続です。
今日のご飯は何にするかに始まり、その後の人生を大きく変える選択もあります。また、自分の選択が他人に大きく影響することもあります。
イーサンは「選択」をします。初期の頃は組織の無茶な指示に強制的に従わざるを得ませんでしたが、このところそれは組織の指示を離れて、自分でどうするかを選択するようになりました。そしてイーサンの選択の指針は、「見知らぬ人を守るため」であり、それはイーサン自身は決して表に出ることなく自己犠牲的に成されるものでもあります。
しかしイーサンの「見知らぬ人を守る」という選択は、極めて「impossible(不可能)」な「mission(任務)」でありました。時には仲間の犠牲という苦い実も味わいます。
もちろんこの映画はいわゆる「ヒーローもの」ですから、結末的にはできそうもないことをスーパーマン的にやり遂げて人々を救う、という筋だてに決まっているわけです。爆弾の赤白のワイヤーのどっちを切ったら良いかわからないけど、時間ギリギリで勘で切ると切ったほうが正解で助かった・・・みたいな「お約束」です。
「ヒーローもの」のストーリーを続けていくと、段々その危険度・ギリギリ度が先鋭化してしまって、ついには「そりゃ、あり得ないだろう!」という具合に、あまりにも非現実的になってしまいがちです。バトル漫画の「力のインフレ現象」みたいなことがどうしても起きてしまうことが避けれられなくなります。この映画も「先鋭化」からは免れず、設定的に無理がある場面は多々あります。
もはやこれだけストーリーがimpossibleだと、イーサンは大義名分よりも危険そのものを生きがいとしている「病的なギャンブラー」なのではないかと疑ってしまいます。まあ、イーサンはヒーローなわけですからそう見えるのも仕方ないとしか言いようがないのですが、現実的には責任ある立場の人の「選択」は「ギャンブル」であってはならないはずです・・・例え大義名分があろうとも。
その点でいい失敗例が、この映画の中に出てきます。女性の大統領です。女性の大統領も「見知らぬ人を守る」という信条はイーサンと同じです。そこに責めを負わせるべきではないでしょう。でも、大統領の選択は明らかに間違いだったと僕は思う。
大統領は2つの選択を迫られていました。①アメリカの核兵器発射システムがハッキングされる前に他の国の核兵器を攻撃して核兵器を無力化するということ・・・ただ人的被害は甚大です。②はAIにアメリカの核兵器がハッキングされないように核兵器発射システムの電源を落とすというもの。・・・ただイーサンがAIをなんとかしてくれない限り、AIが他の国の核兵器を操作して人類大虐殺の危険は回避できない。
まあどちらもリスクがありますし、①も②もアメリカの優位を損なわない為という理由もありますが、どっちを選択するか、苦渋の決断です。大統領は「見知らぬ人を守る」ために(ついでに自分の息子も守るために)、②を選択します。もしイーサンがAIをなんとしてくれたら多くの「見知らぬ人を守る」最善の結果を得ることができます。
ところがどうなったかというと「手遅れ」になりました。アメリカの核兵器発射システムもAIがハッキングします。つまり、もはやイーサンがAIをなんとかしてくれる以外に人類大虐殺を止める手段がなくなったということです。
大統領はどうすれば良かったのでしょうか。たまたま結果的にイーサンがAIをギリギリなんとかしてくれたので一番良い結果になりましたが、成功する確率が極めて少ない「イーサンの働きに賭ける」というのは、これはギャンブルに他ならないでしょう。
責任ある大統領の立場としては、最善の結果をとりたくて「ギャンブル」をするのではなくて、手遅れになる前に例え犠牲が大きくとも「大を取って・小を捨てる」選択を責任を持ってしなければならないのではないでしょうか。あえて大きな犠牲を払った結果についての責任は、一人の政治家に負いきれるものではありませんが、あえて「泥をかぶる」矜持が政治家には必要と思う。
倫理の問題で「トロッコ問題」という思考実験があります。
詳細は避けますが、要は「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?」ということです。僕は、もし「自分が責任のある立場でありその選択を行わなければならない状況である」と仮定した場合は「手遅れになる前に犠牲がより少ない方を選ぶ行動をするべき」と考えます。しかし「いかに善意であるとしても、倫理的・道徳責任及びその選択によって生じる結果の責任から免れない」とも付け加えます。
イーサンにも大統領と似たような傾向が見られなくもない。イーサンは、正義漢であり、博愛主義であり、常に最善の結果を病的に思えるほど選択し・挑戦し・行動します。結果的には、映画・物語ですから良い結果になるわけですけれども、そのために危険な賭けをいつもします。
イーサンは「病的なギャンブラー」?・・・あなたはどう思いますか。
人間は、人生において様々な選択をします。
しかし、例え善意であるにせよその選択の結果については責任を負わなければなりません。
・・・とまあ色々書きましたが、映画としては理屈抜きで(散々理屈を捏ねた後になんですが(笑))誰が見ても楽しめると思います。今後このようなスケールの、お金と時間をかけた大作はなかなか・・・もしかしたら最後?かもしれないとも思いますので、ぜひ映画館で!全ての人に見て理屈抜きに楽しんでいただきたいと思います。
Thank's, all Cast and Staff ! :‑D
イーさんありがとな🔥見届けたぜ〜🥺👍🫡👋🔥🙆👑
1からリアルタイムで追ってる人と
ほぼ初見で思い入れが全く無くて今回トムクルーズを初めて知ったと言う人だと評価が全く変わるやつです!
上映時間は169分なので映画料金払ってこの時間を満喫できたからコスパが良いって思えました💰
85分とかの作品の倍得した気分⤴️🔥👍
最初から追っていると期間も長くてシンエバンゲリオン を見た時みたいに🥹ついに終わってしまうのかよ😭つう感動を感じながらずーっと観てる状態で内容がどうとかを超越する無限感動状態で🥹イーさんありがとう😭つうかトムクルーズオッサンなのによくここまでやったよな😭今だに走るのめちゃくちゃ早いやん🐿️💨なんなん❓ってなりながらの鑑賞でしたよ🥺🥺🥺🥺
内容は超絶親切メチャクチャシンプルで○○でも分かるし前作観る必要ゼロでむしろシリーズ全く見てなくても影響がほぼ無いです😌(前作のおさらいは鍵🔑😂ただそれだけ😂🤣😆)
ちなみに前日から一睡もせずにランニングを2時間近く走ったりしてから劇場に行きましたが1️⃣ミクロン足りとも眠くならなかったです👀🔥
潜水艦のセットに水入れてぐるぐる🌀とか
飛行機✈️アクロバットとか過去最強クラスの閉所恐怖症と高所恐怖症の人をゲボ🤮らせるヤベェ事イーさんやってましたね🥹(フォールっていう高所ホラーより飛行機シーンは手汗かいたし🤮🤮🤮🤮)
ガブリエルの○ぬシーンは今週で1番の爆笑といえるくらいバカな○にかただったのがナイス😆🤣😂😇
自分はスターって言葉があるけど所詮ただの人間だよな🙁くらいの感覚ありますがトムクルーズに完しては本当のスターだよなって人間性やらファンサービスやら映画に対する姿勢とか見て本当に思ってますよ🫡🫡🫡🫡🫡🫡🫡🫡(こんな狂ったスタントを自らやってるんだから後継者なんている訳無いんだよイーさん🥹)
世界は滅亡する!
もう一度!
この作品、最後かなあ〜。
今回も最初から最後までハラハラドキドキ
イーサンはもちろんカッコ良かったけど、
ベンジーも今回は沢山活躍していて、ステキでした。
でも、ルーサーが死んでしまったのはとても悲しい…
ずっと一緒だったのに…
ところで、イーサン
パラシュートいつの間に2つ持ってたの〜?
もう一度、吹き替えで観に行こうっと。
イーサン・ハント/ノー・タイム・トゥ・ダイ。 トムちゃんはアクションをやめへんでーー!!!
IMFエージェント、イーサン・ハントの活躍を描くスパイアクション映画『ミッション:インポッシブル』シリーズの第8作。
前作から2ヶ月、世界は暴走したAI“エンティティ“により分断と混乱に満ちたものになってしまっていた。エンティティを制御する鍵を手に入れたイーサンは、それを消滅させる為に仲間たちと共に宿敵ガブリエルの行方を追うのだが、隙を突かれた彼とグレースは逆にガブリエルに捕えられてしまう…。
監督/脚本…クリストファー・マッカリー。
○キャスト
イーサン・ハント…トム・クルーズ(兼製作)。
ベンジー・ダン…サイモン・ペッグ。
ホワイト・ウィドウ…ヴァネッサ・カービー(アーカイブ出演)。
グレース…ヘイリー・アトウェル。
1996年から続いてきた『M:I』シリーズも遂にファイナル。トム・クルーズさん、お疲れ様でした〜🎉
思えばシリーズ1作目から約30年。同じ俳優が主人公を演じ続けたシリーズでここまで長く続いたものは、これ以外には『男はつらいよ』(1969〜2019、渥美清が主人公を務めたのは実質1995年まで)くらいしかないんじゃないでしょうか。これからはトム・クルーズの事を“USの寅次郎“と呼ぶでっ!
全作鑑賞済みとは言え、正直言って『M:I』シリーズの事は殆ど覚えていない。どれがどれやら、マジで全部ごっちゃ混ぜになってしまっている。直接の前編である『デッドレコニング』(2023)についても、もの凄いふわっふわした記憶のまま本作に挑みました。
予習無しで大丈夫かっ!?と少々心配していましたが、結論から言えば全く問題無し。『1』から今に至るまでの総決算的な内容なのですが、「お前はあの時の○○!」や「実はあの時の○○は…」など、これまでの登場人物や出来事とリンクする様な時には過去のアーカイブ映像が流れるという親切設計で、自分の様なライト層でも安心して観ていられる。
そもそも、作中でセルフツッコミが入っていたように、『M:I』シリーズの基本構造は「仲間の命を人質に取られたイーサンがなんやかんやで世界を救う」というパターンで統一されており、ぶっちゃけストーリーとか有って無い様なもの。トムの「俺のやりたいスタントベスト10」を描くための装置としてこのシリーズは機能しており、それはこの最終作でも何ら変わっていない…どころか、それがちょっとどうかしちゃってるレベルにまで先鋭化されてしまっている。
“トム・クルーズとは一体何者なのか“。
全ての映画ファンが、この問いに頭を悩ませてきた事だろう。キャリアの初期はヤングアダルト・スター、いわゆる「ブラット・パック」の1人としてみなされてきたが、『レインマン』(1988)や『7月4日に生まれて』(1989)で演技派としての地位を確立。その後、『ミッション:インポッシブル』シリーズが始まると共に徐々にアクションスターへとシフトしてゆき、シリーズ4作目『ゴースト・プロトコル』(2011)辺りで完全に今のトムの雛形が完成。その後は「アクションバカ一代」として映画界の果てしなく遠い男坂を1人爆走している。
過激なスタントを生身で熟す、という近年の傾向から“USのジャッキー・チェン“とも称されて(揶揄されて?)きたトム。
自分も「トムはジャッキーに憧れているのだろう」などと思っていたのだが、今作を観てしまったからにはその認識を改めなくてはならない。
この映画でのトムの振る舞いを見てもらいたい。やたらとパンツ一丁になり、裸一貫で北極海にダイブ。空中では飛行機にしがみつきながら、猛風で変顔。なんやかんやあって最後にはスカイダイビング。これはもう映画スターというより、リアクション芸人の領域ではないのか?
そう、何を隠そうトム・クルーズはジャッキー・チェンではなく、“USのダチョウ倶楽部“を目指していたのだ!!
親日家のトムの事、きっと日本のバラエティ番組「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ‼︎」(1989-1996)を観ていたのだろう。そこで芸人たちがロケバスごと海に沈められたりロケットランチャーで爆撃されたりスカイダイビングされられたりする姿を見て「This is it ‼︎」と叫んだに違いない。
「俺もこの番組に出ているダチョウ倶楽部さんみたいになりたい…」。そう思ったトムは研鑽を重ね、遂には裸芸に氷風呂、そして変顔までも習得。上島竜兵亡き今、その後任者として名乗りをあげる。
リアクション芸を手にしたトム、今後はお茶の間で「Monsieur Muramura」や「Kiite naiyo〜」と言った往年のギャグを披露してくれる事だろう。きっとそうに違いないんだ…。
…一体俺は何の話をしているんだ…?
何が言いたいのかと言うと、とにかく今回のスタントは凄いッ!あまりにも凄すぎて殆どコメディ映画…というかギャグ漫画の世界に足を突っ込んでしまっている。
格闘漫画「刃牙」の作者、板垣恵介はインタビューで「『こんなの笑うしかないだろ!?』というのを表現したい」と述べていたが、トム・クルーズもまたマジなのかギャグなのかわからないという「シリアスな笑い」を体現した存在へと昇華してしまった。
笑わそうとしているのかしていないのか、それすらハッキリとはわからないところに彼の得体の知れなさを感じずにはいられない。
はっきり言って、本作の旨みは中盤の潜水艦パートとクライマックスの空中パート、この2つのスーパースタントのみ。そのために169分というクソ長いランタイムが費やされており、冷静に考えると「ふざけんなっ!!」と一喝したくもなるのだが、観ている間は全く退屈しないのが不思議。中身がスカスカなのは認めざるを得ないが、だからこそ味わう事が出来るゴージャスでリッチな映画体験もあるのだと、この映画は教えてくれる。
「IMFには他にエージェントがいないのか…?」とか「作戦の意味がサッパリわからんのですが…」とか「水圧舐めんなっ!」とか、ツッコミどころは死ぬほどある訳だが、そういう雑念は一旦脇に置いておいて、トム様の命懸けのスタントに胸を踊らせたい。
コロナ禍やハリウッドストライキの影響を受け、完成が伸びに伸びてしまった本作。そのせいもあり、製作費が4億ドルというちょっと考えられない数字になってしまった。これをペイするためには興行収入10億ドル以上出さないといけないんだって。…そんなもん無理に決まってるだろっ!!いい加減にしろっ!!
ただ、公開が遅れてしまったのはなにも悪い事ばかりではない。フェイクニュースと陰謀論によりインターネットをカルト化し、猜疑心により人々を分断させるというエンティティのやり口は、たった今我々が直面している世界的な問題の合わせ鏡となっている。当初は2022年に公開する予定だったというが、もし予定通りに事が進んでいたら、本作の内容はただのSFとして一笑に付されていたかも知れない。公開が遅れたからこそ、この物語の風刺性はより鋭さを増したと言えるだろう。
だからこそ、エンティティの扱いの雑さには正直ガッカリ。タイムリミット以上の役割を果たしていないじゃないか…😮💨
ぼんやりとしか描かれていないが、どうやらエンティティを信奉するQアノンの様なカルト信者が世界中にいるらしい。じゃあ今回の敵はどう考えてもそいつらにすべきだっただろう。そうすれば今回の名言「お前はSNSの見過ぎなんだよっ!」がもっと活きたものになったはず。
また、激ヤバAIだというエンティティが全くそのヤバさを発揮していない点もよろしくない。意思を持ったAIだからこその嫌らしさ、例えば悪意のあるウソや陰謀論で世界を掻き乱し、各国の代表が自らの手で核のスイッチを押す様に仕向けるとか、そういうものを描いて欲しかった。
もう一点苦言を呈するなら、チームのメンバーが微妙すぎる。ルーサーが早々に退場してしまった事もあり、見知った人はベンジーだけ。後はほぼ全員が前作で初登場した新メンバーじゃん!ダンローなんてレアキャラを今更引っ張り出す必要あった!?
元々『M:I』シリーズはメンバーの入れ替わりが激しいのでこれがデフォルトといえばそうなのだが、最終決戦くらいはバチッとしたオールスターキャストを見たかった。メンバー間のケミストリーという意味では、やはりシリーズが進むごとに敵すらも味方に取り込んでどんどんファミリーが増殖してゆく『ワイルド・スピード』シリーズ(2001-)の方に軍配が上がるか。
結局、『ローグ・ネイション』(2015)のハント/ブラント/ベンジー/イルサ/ルーサーの5人体制がベストだった。ジェレミー・レナーとレベッカ・ファーガソンがシリーズに復帰してくれれば、今回の盛り上がりも5割増しくらいにはなっていただろうけど、まぁ色々と難しいんだろうね。
何処に評価軸を置くかで賛否が分かれそうな本作。ウェルメイドなスパイ物語を期待している人にとってはダボハゼみたいな映画だろうが、「トム・クルーズによるビックリスタント見本市」を求めている人にとっては十分に満足がゆく出来栄えなのではないでしょうか。
『M:I』シリーズも完結したし、これでトム・クルーズもアクションスターからは引退…しそうにないなこれは。
「トムちゃんは100歳になってもアクションをやめへんでー!!!」と、インタビューで高らかに宣言したトム。『トップ・ガン3』や『デイズ・オブ・サンダー2』、更には宇宙ステーションで映画を撮るという野望まであるという事だが、トムには“USの寅さん“、そして“USのダチョウ倶楽部“として、渥美清や上島竜兵の分まで精一杯活躍して頂きたい。陰ながら応援してますっ!!
※『デッド・レコニング』では『カリオストロの城』(1979)を髣髴とさせるフィアットでのカーチェイスが描かれていた。マッカリー監督はインタビューで「『ルパン』なんて知らん」とキッパリ言い切り、その影響下にはない事をアピールしていたが、今回の水中スタントもちょっと『カリ城』っぽかった様な…。複葉機でのチェイスシーンは『紅の豚』(1992)っぽかった様な…。飛行機のカラーリングとか風圧で顔がベロベロになるとことかそのまんま。
今回、映画のプロモーションで25回目の来日を果たしたトム。その合間にマッカリー監督と共に「ジブリ美術館」を訪れた事が明かされた。
…トム&マッカリー!きさま!(やっぱりジブリを)見ているなッ!
※※『M:I』シリーズ超私的ランキング!
🥇『フォールアウト』(ヘンリー・カヴィルも頑張りました)
🥈『ファイナル・レコニング』(評価が高すぎる気もするが、餞別の意を込めて)
🥉『ローグ・ネイション』(飛行機はへばりつくもの)
④『ゴースト・プロトコル』(高層ビルの清掃員さんは凄い)
⑤『デッド・レコニング』(戸田奈津子よ、固有名詞の「それ」なのか代名詞の「それ」なのか分かりづらいぞ)
⑥『3』(悪役はこれが1番)
⑦『1』(当時SNSがあったら大炎上していた事だろう)
⑧『2』(ハト!ロン毛!クライミング!)
まさにチームワーク
ストーリーは追いかけないで観る
4DX、椅子から放り出されそうな動き。 前作の直接的な続編であり、...
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