「これにて見納め?」ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
これにて見納め?
前作『デッドレコニング』の続編だが、正直言って劇場公開時に観た時には前作の内容はだいぶ忘れてしまっていた。だが親切にも映画の中に前作の内容を散りばめて上手く説明してくれていた。あと人物に続投組が多すぎて、中には、えーと、この人誰だっけ?という人も。2時間50分も長いなと思ったんだが、それでも前作同様に見始めれば面白くて長さを感じさせない。脚本が本当によく練られているし、演出も素晴らしく、主人公は絶対助かるとわかっていてもハラハラさせられてしまう。
ジャッキー・チェンを敬愛する15歳年下のトムは今回もむちゃくちゃなスタントをやっているが(ハリウッドなので特殊効果の助けを借りてるシーンも少しはあるだろうけど)、今回はトム1人が大活躍するのではなくて意外にチームプレイのシーンも多く、元祖『スパイ大作戦』に寄ってきたような雰囲気も(観たことはないんだけど)。また今回は過去作からの再登場で、ええ!あの人が!?という驚きもあったりなんかして、いやほんとによく出来ている。しかも今回は前作と違ってちゃんと完結してるし(笑)。
ただちょっとだけ、うーんと思ったのは、映画の出来そのものとは直接には関係ないんだけど、合衆国大統領役がアンジェラ・バセットなんだよなあ。しかし現実の大統領はあの人なわけで、あの人に劇中のバセット大統領のような理性的な判断ができるのか?とどうしても思ってしまった。また劇中の米軍は偉い人から兵士に至るまで女性や有色人種だらけの多様性なんだけど、現実のヘグセス国防長官はそういうのを否定しようとしてるわけで、どうも現実と上手く合ってない。前作から連続で製作してる数年のうちに現実のほうが変わっちゃったわけで、映画の中が理想だけど現実は……みたいなことになっちゃってる。こういうところが前後編という長いスパンで作るリスクなんだろう。この手の作品の宿命なのかシリーズが進むごとにやたら話が大きくなって、今回は世界滅亡の危機になってしまってるからそういう偉い人たちも映画に出てこざるを得ないわけで。それからネタバレなんでくわしくは言わんが、最後トムなんで助かった?という疑問も若干(笑)。
ただまあ全体的には大満足の出来でした。間違いなく面白かった。1作目からの過去作のシーンを散りばめたりして、これで集大成のラスト感もほのめかされているような。とか言って大ヒットしたらハリウッドのことだからまた作りそうだけど。