「思えば遠くへ来たもんだ リアルな悪役キャラがフィクションのそれを凌駕している時代」ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング Freddie3vさんの映画レビュー(感想・評価)
思えば遠くへ来たもんだ リアルな悪役キャラがフィクションのそれを凌駕している時代
私はこういった集客力が高くて恐らくはロングランになるであろう作品の鑑賞を後廻しにする傾向があります。いつ上映終了になってもおかしくない 人気薄で小規模公開の気になる作品の鑑賞を優先させるためです。でも今週はたまたま前日に観たのが『国宝』だったので、全国350館以上の大規模公開されている映画を邦画洋画の順でたて続けに観ることになりました。これ、封切りから約1ヶ月たってるんですね。思ってたより早く観る巡り合わせになりました。『ウィキッド』なんて2ヶ月半後でしたから。
そんな、英語なら “So what?” 日本語なら「だから何なの?」と返されそうな無駄話を切り上げて話を続けると、私はこのM:Iシリーズとあまり相性がよくありません。このシリーズは1996年に始まったのですが、当時の私は、テーマ曲を聴いた瞬間、「え、これってスパイ大作戦じゃん。イーサン•ハントって誰? フェルプス君(なぜ君付けになっているかは後述)やバーニーはどこに行ったの?」とショックを受けました。そう、私は中学生くらいの頃、『スパイ大作戦』のタイトルで日本のTVで放映されていたオリジナルのTVシリーズのファンで、変わり果てた(?)内容を見て、少年の頃の夢を壊された哀れな中年のおじさんなったのでありました。
思い起こせば、50年以上前、ブラウン管のTVに映るのは、リールに巻かれたテープ(カセットですらない)、ちゃちなテープレコーダーにかけると、当時の声優界の大御所 大平透さん(Wiki で調べたら2016年に86歳で亡くなられておりました。合掌)の渋い声で「おはようフェルプス君(そう君付けなんです)……」の呼びかけ、そしてミッションの内容を告げ、フェルプス君とその仲間の工作員たちにどんな危険や不利益があろうとも当局は一切関知しない旨も告げ、そして、ちょっともったいぶった大平さんの「なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る」が終わると同時にテープから白い煙がもわー、で 🎵ちゃんちゃっちゃ……とテーマ曲が流れ出す(まあこの流れは現シリーズでも踏襲してるんですけどね。さすがにいつ壊れてもおかしくないテープレコーダーは使ってませんけど)。
オリジナルのTVシリーズのメンバーはもっと地味で、細かなガジェットを組み合わせたりして淡々とミッションを完遂してゆく感じだったと記憶しています。まあでも今回のを見てて、このメンバーからイーサン・ハントを抜くとオリジナルに近いのかな、伝統は生きてるんだとも感じました。
で、相性がよくない件。とにかく、ストーリーがよくわからんのです。まあ私も映画鑑賞者のはしくれ、例えばアート寄りの映画ではそのわけのわからなさを楽しむぐらいの心の余裕はあるつもりです。でも、こういったエンタメ映画でわからないとなると観てるのが苦痛になってきます。今回のは前後篇の後篇で前篇を観たのが2年前でよく憶えてないこともあり、最初の1時間くらいは苦痛の連続で、ストーリーどうこう言う前にスクリーン上で展開されていることの “5W1H” (報告書の書き方で習う、いつ、どこで、誰が……というあれですね)がよくわからない。when や where は置いとくとしても、わらわらとたくさん人が出てきて、え、CIA? え、ロシア? と who があやふやになる始末。いちばん困ったのは why で、この人たちいったい何故どんぱちやってんだろとお手上げ状態になりました。まあでも、そう言えば前篇では潜水艦が沈められたんだよな(あ、潜水艦は最初から沈んでるか)とか、いろいろ思い出してきて真ん中あたりからなんとかついてゆけるようにはなりました。
トム•クルーズのアクションの件。走る姿がかっこいいのから始まって、あれやこれや、尊敬に値するとは思うのですが、アクション•シーンがストーリーより大きくなってしまっている感があり、映画ではなくてサーカスの空中ブランコを見ているような気分になりました(どっちにしろ入場料分は楽しめてるからいいんですけどね)。
ストーリーで特筆すべきはアメリカ合衆国大統領の選択が大きなカギとなっていたことです。ここだけで、なんだかよくわからなかったストーリーを救った感じです。彼女が別の選択をしてしまったら、警視庁特命係の杉下右京警部を呼んで「人の命を奪ってまでして成り立つ正義など、この世にはありませんよっ」と叱ってもらおうと考えていたのですが、その心配は無用でした。本当に立派な大統領でリアルの現職の大統領も見習ってほしいものです。
あと、悪役の件。昔の西部劇なら、今で言うところのネイティブ・アメリカンの皆さんを主人公のカタキ役にしておけばよかったのですが、今じゃ、そんな単純な話ではありません。今回は悪役という言い方が適当がどうかわかりませんが、Entity (戸田奈津子さんの名訳だと「それ」)が人類を未曾有の危機に陥れたのでした。でもまあ、分かりにくいですよね。悪役としての分かりやすさという点では米国の現職の大統領のほうがよほど分かりやすそうです。フィクションの世界では多様性に配慮して分かりやすい悪役が作りにくくなったのに、現実の世界では典型的な悪役キャラがこともあろうにアメリカの大統領をやってる…… この件と合わせて、1960年代にオリジナルのTVシリーズが始まったM:Iシリーズが今じゃサーカスの空中ブランコみたいなことまでやってることも考えると、思えば遠くに来たもんだと感慨にふける今日この頃でございます。
共感ありがとうございました。
このシリーズは、難しいですよね。私は字幕がないので、時々ついていけませんw
YouTube動画のシリーズ全作品解説動画にお世話になりましたwww
Freddie3v様
お初にお目にかかります。
>いつ上映終了になってもおかしくない 人気薄で小規模公開の
気になる作品の鑑賞を優先させるため
わかります!
ワタシも全く同じ行動でして
大作は初日にIMAXをルーティンにしている友人の映画通からは
「なんでトムみいへんねん?」
と言われてます。
ワタシはさらに月4回(だけかよ)のノルマをこなすため
しかし好き嫌いが激しくロングラン公開間違いナシは
コントロールしながら鑑賞計画しております。
まさに「で?!」なんですが
地場の劇場が先週よりMI8は字幕が日に一回しかなく
「まさか、終わる?」とようやく鑑賞にこぎつけました!
なので平日にもかかわらず場内は7割の入り。
地方はこれやからしんどい、と「だから?」状態でした。(笑)
Freddie3vさま
共感ありがとうございます🙂
>私はこういった集客力が高くて恐らくはロングランになるであろう作品の鑑賞を後廻しにする傾向があります。
>いつ上映終了になってもおかしくない 人気薄で小規模公開の気になる作品の鑑賞を優先させるためです。
私は全国350館以上の公開規模で大ヒット予想の作品は、初日かその週末に行くことにしています。
公開を楽しみにしていた人で満席のスクリーンは、その熱で満足度が何倍にもなるからです。
公開規模が小さいミニシアター系の作品は、むしろ落ち着いて観られる日時を選んで行きます。
映画鑑賞のスタイルは、人それぞれですね😗
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