「人類を救って一つの「区切り」。」ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人類を救って一つの「区切り」。

2025年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

様々なミッションで「不可能」を「可能」にしてきたイーサン・ハントだが、今回のミッションはある意味究極である。米大統領かららしきメッセージがイーサンに届き、いきなり核兵器で人類が絶滅するカウントダウンに入っていて、この危機を救えるのはあなたしかいないという無茶ぶりである。これ以上のミッションはまず考えられないので、シリーズのファイナルにふさわしいテーマであるとは言える。3時間弱の上映時間にも関わらず、どのシーンも緊迫感に満ちていて、時間の長さを全く感じさせなかった。作品の完成度は高い。
過去作を良く知らないので、米大統領がなぜ直接イーサンハントに依頼してきたのか分からない。しかし、そのおかげで米軍の兵器や施設を活用できたのは大きい。空母やオスプレイ、潜水艦、前線の偵察基地などは、今回のミッションに不可欠であった。話のスケール感があり、人類の一大事であるという効果もあった。軍施設の内部の様子などとてもリアリティがあり、トップガン同様に軍の全面的な協力をうかがわせる。米軍の活動の実態を垣間見れただけでもお得感がある。
トム・クルーズのアクションシーンは単純にすごいと思わせるが、それだけでは映画は成り立たない。人間の営みや思いが背景としてしっかり感じられなければアクションは意味を持たない。その点、今作では人間的なドラマが割と良く描かれていたのではないか。中心人物の一人となっている米大統領については、空母司令官に送った謎のメッセージに込めた思いに始まり、1億人を犠牲にして他の人々を救う選択の是非に揺れる姿も面白かった。母としての姿にも心打たれる。そして何より、イーサンの仲間たちの強い結びつきがしっかり描かれていたのはとても良かったと思う。何も言わなくてもメンバー個々の思いが伝わるラストシーンであった。
設定が複雑で分かりにくいという難点はある。ストーリーはどうやら後付けらしいので仕方がない。メインテーマである、AIに支配され滅亡されそうになる人類という設定は、ありそうで笑えない。ひとまず決着はついたが、試練が終わることはない。新たな「ミッションインポッシブル」シリーズが始まるだろうか。

ガバチョ
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