「劇中で繰り返される「また会える」のフレーズ」ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
劇中で繰り返される「また会える」のフレーズ
『デッド・レコニングPART ONE』の後編。封切前から最後だと強調しながら始まった2部作も、1作目のプロモーションが始まれば最終作かどうかはぼかされるようになり、何かしらの区切りがあるらしい、とのニュアンスに変わった。
個人的に本シリーズは「ミッションやメンバーに裏があって当初の予定から逸脱させられながらもチームが頑張って結果オーライにするおつかい」がテンプレだと思っていて、現実離れした部分もハッタリとして面白味を感じてきた。1作目は謎に謎が絡まり、実体のない敵や手段を択ばない刺客等、ミステリアスさとスリリングさとアクションがてんこ盛りで、スパイ設定が有名無実になっている点以外は楽しんだ。
そこから今作はストーリーがシンプルかつアクションの舞台を繋ぐための筋道になり、敵も小物感マシマシになり、危機の規模もスパイミッション作品から離れ、ハッタリもツッコミどころになったと感じた。
『イーサン・ハントの物語』になった本作への自分の評価は、シリーズ内の作品としては低い。ただ、未踏のアクションシチュエーションへの挑戦はもちろん、コロナ禍後の社会や終わらない戦争・技術の濫用に対する危機感を伝えるメッセージ、映画産業へのエールを堂々と込めた点は目を惹いた。詳しい説明を伏せていても「今言わなくていつ言うんだ」という切迫した感覚が伝わってくるのは、リアタイで観るからこその経験だった。題材が先か現実の出来事が先かはわからないが、それらの不安がなければ本作がどんな物語になっていたか興味深い。
近年、トム・クルーズ氏がヨーロッパで様々な賞を受賞しているのは、本シリーズを含め長年イギリスを拠点にヨーロッパで制作を続け、映画産業への貢献が認められているからなのだろう。多くの役割を果たすエネルギーには感服する。
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