「駆けて、潜って、飛んで、イーサン・ハントの集大成」ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
駆けて、潜って、飛んで、イーサン・ハントの集大成
★は5つでは足りなくて、個人的には★★★★★★★★★★の本シリーズ最高傑作の「すげー‼」アクション大作。
これまでの、『ミッションイン・ポッシブル』の数々の名場面や登場人物との関係も織り込みながら、最初から最後までずっと、イーサンと同化してのハラハラ、ドキドキの緊張感と緊迫感。3時間近い上映時間もあっという間にエンドロールを迎えた。スパイ・アクション作品の金字塔として、語り継がれる作品になったと思う。
本シリーズの面白さは、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントが、様々なスパイアイテムを使い、敵だけでなく、観る者も欺き「エーッ」と驚かせる体を張ったアクションにある。前作でも、もう人間の限界を超えたアクションに衝撃を受けたが、本作では、それをも上回る度肝を抜く驚愕のアクションに釘付けとなった。62歳とはとても思えないトムのアクションに、いつしか自分も掌を強く握り締め、体も硬直させて、魅入っていた。
CG全盛期の映画界で、トム自身が、実際に街を猛ダッシで駆け回って、冷たい氷の海底深く潜ってのミッション、アクロバティックな飛行機に飛び移っての格闘アクションに取り組み、CGには生み出せない、アナログだからこそ伝わって来る真の迫力映像に、心が鷲掴みにされた。本作のインタビューで、トム自身が、「どうすれば、観客が喜ぶシーンを撮ることができるかを考えて、常に体を鍛えて、様々な事を学ぶことを大切にしている」と語っていた。本作は、そういう意味でも、彼の役者としてのモットーの、集大成の作品だったのではないだろうか。
物語は、前作『デッド・レコニング』からの続きで、世界の危機を救う鍵を持ったイーサンが、仲間と共に、核保有国の軍事システムを制圧して地球滅亡のカウントダウンを始めた意志を持つコンピューター『エンティティ』と、『エンティティ』を操って、世界征服を企むガブリエルとの両者を敵に回しての命がけのミッションに挑むもの。そのタイムリミットは、僅か。米大統領が、核ボタンに手をかけるか、かけないかの、時間的、心理的な展開も織り込むことで、更に緊迫感も高まっていく。(トランプなら確実にボタンを押していただろう…。)
「これでもイーサンは死なないの?」というシーンはあったものの、そこは不死身の男・イーサン・ハントだからこそ許される演出として、結果オーライ。また、これまでも大切な仲間を失うシーンはあったが、本作でも無情で悲しいシーンは盛り込まれていた。しかし、ラストシーンの語りの中で、その死の意味も回収され、改めて本シリーズへの素晴らしさと感謝を、感動と共に味わえた。
出演者は、ベンジー役のサイモン・ベックやルーサー役のビング・レイムスのお馴染みの登場人物の他に、前作からの流れでは、グレース役にヘンリー・アトウェル、パリス役のポム・クレメンティフが、イーサンの仲間として登場して大活躍。敵大将ガブリエルには、イーサン・モライスが演じていた。配役において目についたのが、米大統領に黒人女性のアンジェラ・バセットが務め、空母の女性艦長にはハンナ・ワデイガン、ハントを助けるイヌイット人に、ルーシー・トゥルガグユクと、多様性と女性の社会進出も大切にされた作品であるとも感じた。
これで、本当にシリーズは終わるのか…?トムの年齢から鑑みると確かに、これ以上のアクションは大変であろうが、いつかまた、イーサン・ハントが復活する日を待ち望みたい。
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