異端者の家のレビュー・感想・評価
全207件中、1~20件目を表示
宗教マニアをぢ vs モルモン布教女子のアンフェアファイト
すっかり性格俳優にシフトしたヒュー・グラントを楽しめる映画。「ジェントルメン」での癖つよ探偵役を見たあたりから、もっとそっち方面を演ってほしいと思っていた私はそれだけでプラス評価。
彼のキラースマイルの威力はまだ健在で、玄関のドアを開けた時に彼が見せた微笑みには、悪役だとわかって見ているこちらの気持ちさえ一瞬油断させる力があった。話が進むにつれ、その笑顔や愛嬌ある笑い皺がリードの不気味さに似合って見えてくるところはさすがだ。
サイコスリラー映画としては、うーんどうだろう。怖い映画苦手の私でもあまり怖くなかったから、このジャンルが好きな人には物足りないかも。
(二の腕の傷をほじくるシーンだけはギエエエエとなった、怖いというより痛そうで)
前半、リードが宗教や信仰心の本質(彼の持論)についてシスターたちに滔々と語るくだりは興味深かった。(「ボブの絵画教室」バージョンモノポリーには笑ってしまった)
八百万の神の国に生まれ育った消極的無宗教の私にとっては、正直なところ物語の前半においてはリードの主張の方が、モルモン教より首肯できる部分が多かった(ただし、パンフレット掲載の寄稿によると各宗教についてのリードの説明は所々嘘を含んでいるそうなので、鵜呑みにするわけにもいかないが)。
アメリカ国民にはキリスト教信者(もちろん宗派は分かれているが)が多いというイメージがあるが、イエス・キリストの逸話への冒涜とも取れそうなリードの主張は批判を招かないのだろうか。Rotten Tomatoesでの評価は比較的高く、社会問題化するほどの反発を受けてはいないように見える。
末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教の教団)は本作を非難する声明を出しているそうだが、作品を鑑賞したモルモン教徒当事者にとって、序盤に描写された宣教師の日常は結構リアルなものだったようだ(The Guardian、2024年11月の記事より)。
本作の2人の監督、スコット・ベックとブライアン・ウッズはモルモン教徒の友人らに脚本について相談し、彼らの日常会話をもとに台詞を創造したという。
そのリアリティと、キリスト神話説的な主張をしているのがサイコパスな悪役、という設定であること、そして最後には「誰かのために祈ることは素晴らしい」と信仰を肯定するパクストンがリードを倒す展開。これらがあるから、前半のキリストに対する冒涜的なリードの主張も、キリスト教徒から見れば「迫害者の間違った考えの描写」として消化されているのかもしれない。
前半のマンスプレイニング的宗教論破がそのまま続くのもまた一興だが、それではスリラーというよりめんどくさいおじさんの話だ。ここからどうサイコスリラーに持っていくのか、と思っていたら、後半での怖がらせ方自体は結構ありきたりな感じでちょっと気分が盛り下がった。暗い地下、唐突に出現する貞子みたいな女。ジャンプスケアと流血。
宗教マニアを極めた結果無神論者になったのかと思いきや、宗教の本質は支配であるという結論に至りそれを実践したリード。結局、支配行為という邪教の信者になったということか。
悪役の背景をどこまで描くべきかは作風や好みによって分かれるだろうが、リードについては個人的には、あのような考えに至った理由や彼のヒストリーが見えた方が面白くなりそうな気がした。パクストンが地下でいくつかの部屋を通った時、そこに雑然と置いてあった色々なグッズにヒントがあるのかなと思ったが残念ながら分からず。キリスト教圏の人が見たらピンとくるのだろうか。
「胡蝶の夢」の話をどう効かせたいのかよく分からなかった。脱出後のパクストンの手に蝶がとまった時、まさか夢オチなのか?という安直な不安がよぎったが、さすがにそれはなかった(笑)。
ところで、合言葉として出てきた「魔法の下着」だが、モルモン教に入信した人が一生身に着ける、上は半袖アンダーシャツ下は膝丈ステテコみたいな衣服のことだそうだ。神との聖約の象徴であり、下着の上から着る服で完全に覆わないといけないので、自然と露出の少ない服装になるという。その名称を合言葉として使うのは、魔除け的なニュアンスがあったのかもしれない。
ヒュー・グラントの妙味を研究し尽くした唯一無二のホラー
かつてヒュー・グラントがロマコメ帝王だったことが都市伝説に思えるほど、ここ最近の彼は変幻自在だ。たとえ陰湿でナルシストな”嫌な奴”に振り切れたとしても、観客は苦笑いしながら、でもやっぱり彼の個性に魅了されてしまう。そんな彼が行きついたホラーの新境地。今回のキャラを構成するのはやはり”喋り”だ。ほぼ全編が彼のセリフ回しで占められていると言っていい。通常なら一人の俳優がこれほど喋り続けると観客も早々に飽きるものだが、相変わらずの甘いマスクで、まるで歌うように知的で優雅で緩急タイミングの絶妙な演技をやられると、この出口なき家さながらにもう止められないし、出られない。私自身、鑑賞中の自分が果たして恐怖しているのか、それとも魅了されているのか、最後まで分からなかったほど。どんな役でもグラントはグラント。これは他のキャストでは置き換え不可能な、もはや彼のために仕立てられたホラー。だからこそ最高なのだ。
サイコパスなのにいつものヒュー・グラント!?
宗教の布教活動をしている2人の若い女性がドアをノックすると、目の前にリードと名乗る気さくな中年男性が現れて、家の裏で妻がブルーベリーパイを焼いているから一休みして行かないかと提案する。女性たちはその誘いを受け入れる。
しかし、男は2人の話に耳を傾ける気などさらさらなく、宗教に関する持論を展開し始める。同時に、その家は脱出不可能な設えになっていて。という密室サイコパスホラー。
これまでも、入ってはいけない家に入ってしまった訪問者たちが死ぬほど怖い思いをする同じジャンルに属する傑作が何本かあった。しかし本作の場合、宗教にまつわる(まつわらなくても)持論というものが他者にとっていかに不快か!?というテーマが観客を苛立たせるところが異色と言える。そして、この世界のどこかでは閉ざされた家の中であらゆる異端者が息を殺して獲物が引っ掛かるのを待っているというリアリティが、異色に拍車をかける。
最大の見どころは多少既視感がある物語を独特の個性で牽引していくリード役のヒュー・グラントだと言って過言ではない。英国が生んだ世紀のチャラ男から、最近は軽妙や悪役までカバーするグラントが、ここではなんと、いつも通りのグラントを演じることで恐ろしいサイコパスになりきっていることに驚く。いう言われれば、グラントの目はいつも危険な光を放っていたことに気づく人は多いかも知れない。異なる役に挑戦し、都度変身するのではなく、役を自分に引き寄せてきたということに。改めてヒュー・グラント、凄い俳優である。
思ってたのと違った!
家の中にいくつものトラップがあり命がけで脱出する類の映画かと思っていたけど全然違った
ホラー映画は好きだけどスプラッタ描写はそれほど好きじゃない私にはいい塩梅の映画だったけどとにかく長すぎた
90分でいい
死体が生き返るネタバラシの辺りが一番面白くてあとは下り坂だった
あの家には布教に行きたくありません。
家の外観がスクリーンに映し出されると、もう定番のような
雰囲気なので、それでグッとストーリー展開に対して期待値が
上がった。
最近いろいろな役を演じているヒュー・グラントが刃物を持って
襲ってくる殺人鬼でもなく、理路整然と自分の考えを述べるだけで、
部屋の内装と相まって、漂う空気や雰囲気が怖い。
アメリカだと本当にこういう内装の家がありそう。
ストーリー展開はタイトルの「異端者の家」というところから、
宗教絡みかなと想像していたけど、それ以上でした。
シスターを演じた二人の女優さんが役の入り込み具合がすごくて、
特にパクストン役のクロエ・リードが素晴らしくて、
今後確実に伸びてくると思います。
それにしてもA24って作品を見つける嗅覚が鋭いと思う。
ハズレもあるけど。
「脱出系オバケ屋敷を期待して入ったらすぐに出口だったけど、途中の展示はけっこう良かった」
劇場予告を見て「仕掛け満載の迷路みたいな家から脱出する話なのかな?」と思ってたら全然違いましたわい。
(YouTubeのCMは、その勘違いを更に加速させる作りになってて、なんともかんとも)
ヒュー・グラントん家にモルモン教の宣教にやって来たシスター二人は快く招き入れられるが、実はヒュー・グラントは、あらゆる宗教を研究した既存の宗教を論破したいオジサンでした。しかも、内面は非常に邪悪なクソ野郎で、二人を招き入れた目的は…。
ホラーと言うより、会話がメインのサスペンス。2つの扉を選んでから脱出までのハラハラを期待すると肩透かしを食らう。実は2つの扉に行く前がサスペンスの山場だったんだよなぁ。
家に入って、にこやかに対応してくれるヒュー・グラントだけど、「あれ、なんかこの状況、ヤバくない?」「でも相手は常識の範疇の振る舞いだし、ここで帰りますって言うのも失礼になるし…」「何とか退室する口実を見つけないと」と、モタモタしている内にどんどん状況が悪化して行く感じは、キャッチセールスや、まさに宗教の勧誘に引っ掛かった時に似ていて、他人事なら無茶苦茶面白いサスペンス。
しかも、ヒュー・グラントの話すモルモン教(他の既存の宗教も)の教義の矛盾点や、バーガーチェーンやモノポリーの普及発展に例えた宗教の話が、「こんな講義授業があるなら聞いてみたいな」と思えるくらいに結構面白くて、聞き入ってしまいましたよ。
「宗教の教え」と「システム」の問題など、観賞後、家に持ち帰って色々考えたりも出来る、小ぶりながらも中々の良作。
例えるなら「脱出系オバケ屋敷を期待して入ったらすぐに出口だったけど、途中の展示はけっこう良かった」という印象でした。
ヒュー・グラントぴったりの好演、宗教論が興味深く、ラストの畳みかける展開がいい
観る前は予告編から、脱出ゲーム物の一種かと思ってましたが、なんと宗教映画でした。
宗教色を出したら日本でヒットは難しいでしょうから。
主演のヒュー・グラントの、いかにも軽薄で感じがいい人当たりの良いのに実は裏がある男がぴったり。
饒舌なうさん臭さ満載で、宗教について語る語る。
モノポリーや流行歌を例にしてわかりやすく説明してると思うのですが、自分はそっち方面は特にうといので、ちゃんとは理解できてない。
きっとキリスト教圏の英米欧各国では、全国民にある程度の共通の知識があるから、わかるのでしょうねぇ。
それでも前半はひりひりした緊張感も相まって、ヒュー・グラントの説明は面白く聞いてました。
しかし、これに対抗する2人が若いせいもあって言われっぱなし。
もう少し反論してもイイと思うのですが、あの状況では難しいでしょうね。
そして、後半からは徐々にB級ホラー要素が増えてくる。
この既視感満載の要素が凡庸で邪魔。
せっかくの宗教論、理詰めで、興味深い展開が、仕方ないのかもしれないけれどだんだんとありがちホラーっぽくなってくるのが少し残念。
と、クライマックスで一気に反撃。
大人しかったほうの女性が巻き返すのが溜飲が下がる想い。
あの合図のキーワードを本人が言っちゃったり、蝶々が見えるところが本当に良かったです。
グダグダせず、さっと終わるのもグッド。
単にB級ホラーでは片づけられない余韻を感じました。
丸の内ピカデリー・ドルビーシネマでの鑑賞で、映像・音響が最強!
毎回、ここのスタッフによる独自のエレベーターの飾り付けが有名ですが、今回は劇中の「地下へ通じる2つの扉」を、劇場の2つのエレベーターに見立てて、エレベーターのスイッチ付近にはメッセージカードが。
「エレベーターが開いたら、最後。あなたは、どちらを選ぶ?」の言葉が気が利いてるぅ。
自称クリティック派から、あれは奇妙な隣人程度ですな。
微妙だけど楽しかった
祈りの捉え方は良い。
モノポリー、昔遊んだけどルール覚えてません
評価不能なれどスリラー最高潮
もっとソウ的なエグイの期待してたんですけど・・・
日々モルモン教の布教に勤しむ、しっかり者のシスターバーンズ(ブギーマンの子!)と若干おっとりさんのシスターパクストンは吹雪の日に胡散臭い説教爺の家を訪問しーのあーだこーだ宗教問答した挙句に地下室に閉じ込められてしまう。
真実の宗教を教えたるわいと息巻く爺に敢え無くシスターバーンズが惨殺された後、おっとりシスターパクストンが覚醒し脱出って・・・単なる監禁壁のある変態爺の屋敷からの脱出劇でした。。。特に何の捻り無し。
脱出モノではない
開始から衒学的な会話が小一時間ほど続き、やっと場面は動く。宗教談義に興味ないので最後まで集中力が持たなく、飽き飽きする。脱出モノの映画かと思いきや実はそうではないので、結局、家の構造も視聴者には最後までよく分からない。終盤、なんでシスター・パクストンは地下に引き返したのだろう。プロットはかなりイマイチだった。
70点ぐらい。2回観たけど同じとこから眠くなる…
居心地悪い…薄気味悪い…ヤバい、この人!
恐ろしい仕掛けのカラクリ屋敷に閉じ込められる話かと思ったら、恐ろしいのは人間でした。
信じる事の怖さや強さ。また、基本的な考え方が自分とは全く違う相手には嫌悪感を抱いてしまったりするのだなと思いました。
若い女性が、女性のスカートを"公衆の面前で"下ろすなんて酷い事を、どうして出来るんだろう。やられた相手の気持ちもだけど、自分が軽蔑されるかもという思考は無いんだろうか。その感覚が気持ち悪いです。
そのショックから立ち直れぬまま、布教活動に向かったシスターパクストンとバーンズ。正反対のキャラクターでどちらもキュートです。が、バーンズが布教の話を始めると、宗教に疎い私は奇妙に感じてしまいました。むしろ、すべての宗教を否定して持論を展開するリード氏の例え話の方が受け入れられます。しかしリードも、一方的に話題を変えたり、大声は出さないものの、時に強い口調になったり、急にキャンドルを吹き消したり、次第に不気味に見えて来ます。そして、2人を帰す気が無いと分かった時の恐怖。
「君たち2人のうちどちらかが嘘をついている」と言いながら、騙していたのはリードの方で、2人の反応を見て楽しんでいたのでした。
R15ですがホラーとしてはそれ程怖くはなく、それより、話が全く通じない気持ち悪さがあります。
ここからネタバレです。
屋敷には玄関以外に出口は無く、どちらのドアを選んでも地下室行きでした。正しい選択をすれば出られるのに、リードのミスリードによって間違った方を選ばされてしまう、という方がお話的には面白いのにな、と思います。
地下に閉じ込められていた女性たちの檻は動物用で、長く生かす気は無さそう、それなのに何人も居るからこれまでにかなりの犠牲者がいたと想像できます。バレないの?
リードの狂気は恐ろしいですが、彼の言う「支配」は心の支配ではなく物質的な支配でした。
自ら毒を食べた女性は、洗脳されたというより、解放されたくて自殺したのでは?と思いました。
玄関のドアのロックのタイマーも解除不可能も噓だから、脱出劇としては、見事解除する方向が望ましかったですし、リードがこっそり抜け出した出入り口も実はあったはずなので、その辺の種明かしは欲しかったです。
トリックにはちょっと無理があったので、脱出劇には重きを置いていないです。3人の演技はとても良かったです。
老害と若者
全207件中、1~20件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。