「ちゃんと微妙な心持ちになれることにも意義がある」今すぐ購入 購買意欲はこうして操られる 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ちゃんと微妙な心持ちになれることにも意義がある
なんとなく便利なものに流されてしまう怠惰な庶民として、ネット通販が促進する大量消費社会に警鐘を鳴らすドキュメンタリーの存在はありがたい。見過ごしがち、というより、考えれば考えるほど面倒なので考えずにスルーしてしまう諸問題を、ズラズラっとわかりやすく並べて突きつけてくれるから。
もちろん「わかりやすさ」にはこぼれ落ちるものがたくさんあるわけで、告発ものとしてはもっと具体的な取材でエビデンスを並べるべきだと思うし、「リサイクルの大半は破棄」という話も、ちゃんと検証して見せてくれないと陰謀論扱いされてしまう危惧もある。
ただ、作品全体をプロパガンダ映像のパロディにするなど、あえてひねりまくった挑戦的なアプローチは、二重三重に皮肉が効いていて、扱っているトピックとも合致しているし、過剰に利潤追求するeコマースを揶揄する作品はNetflixならではというか、当然アマプラでは配信できなかっただろう。
ただNetflixもエンドクレジットを飛ばして別の作品に誘導しようとしたりするわけで、その手口自体を批判していることで皮肉がさらに効いてくるような、なにか本末転倒なような、よくも悪くも微妙な心持ちになれました。
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