「思いがけない冒険」ロード・オブ・ザ・リング スペシャル・エクステンデッド・エディション ストレンジラヴさんの映画レビュー(感想・評価)
思いがけない冒険
「あの時指輪を手に入れなければ...旅に出ることもなかった...」
「つらい目に遭った者は誰しもそう考えるものだ。だが大切なのは、今どうすべきかを考えることだ」
J.R.R.トールキン原作の長編小説「指輪物語」をピーター・ジャクソン監督が映像化した三部作の第一作。冥王サウロンが生み出した"滅びの指輪"、それを数奇な運命から手にしたホビット族の青年フロド・バギンズ(演:イライジャ・ウッド)を主人公に、世界を闇の支配から救うべく集まった仲間達の旅を描く。
とりあえず説明したが、「いや知っとるわ!」という反応がほとんどだろうし、今日の世界では「指輪物語」よりも「ロード・オブ・ザ・リング」そのものとして認知されているくらいの大傑作。
また例によって最後まで観ておらず、「旅の仲間」ですらながら見だったのでちゃんと劇場で観ることにしたが、上映時間3時間超というエクステンデッドに加え途中休憩なし、しかも4DXということで勇気が必要だった。
冒頭のサウロンとの戦いのシーンで予想以上に座席が揺れたが、慣れてからは中つ国の世界に没頭できたため、3時間超という時間の長さをあまり感じなかった(ただし、ポップコーンは飛び散った)。
少しこの後の話をすると、最終作「王の帰還」(2003)でアカデミー賞11部門総ナメという歴代最多タイ記録を打ち出すわけだが、本三部作は「ここしかないタイミングで・この人しかいない役者と製作陣が・この時だから映像化できた」奇跡の三位一体に恵まれた作品だったように思える。公開から四半世紀近く経過しているが、現在の技術で映像化しようとしたらむしろ安っぽく出来上がってしまったのではないか。
イライジャ・ウッドという「フロド・バギンズを演じるために役者になったような人間」の到来をまるで作品が待っていたかのような感さえする。いるんだよね、何年かに一度「この役を演じるために役者になったのでは」と思わせる人物が(ちなみにもし何かの悪戯で映像化が20年遅れていたら誰がフロドを演じていたのだろうか?ティモシー・シャラメか?)。その点では彼もまた、目に見えない指輪を握っていたのかもしれない。
個人的にはピピンとメリーがお気に入りなのだが、本作の終盤でピンチに陥ってしまう。前途多難な旅の仲間たち、彼らの指輪をめぐる旅は第二章「二つの塔」へと続く。