劇場公開日 2025年9月26日

「ドラマ仕立てのドキュメンタリー」ピアノフォルテ mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 ドラマ仕立てのドキュメンタリー

2025年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

ドキドキ

不思議な感じはあったがドキュメンタリーでありながらカメラアングル、ショット、インサート、BGMなどはとても映画的。ドラマ的と言っても良い。友人が言っていたが緊張感を撮っているが緊張感は伝わって来ない・・そう言う撮り方なんだと。本来は観客に緊張感を伝えるように撮るのがドキュメンタリーなのだが、本作品は敢えてそうしたのか、意図せずそうなったのか、その本質は不明のままだが、良くも悪くもエンターテイメントになっている。きっと作者(監督)は映画として見られることを望んだのではないか?作者はキッと記録映画にはしたくなかったのであろう。それゆえ見せられるのは演奏の迫力(余り記憶に残らない・・キッとプロが見たらすごく印象に残るかもなのだが)ではなく、どろどろした師弟関係や、演者の天才せいではなくプレッシャーに押しつぶされそうな人間性など、音楽ドキュメンタリーとは違う方向にベクトルが持って行かれている。ちょっとフィギアスケートのリンクサイドを思い出してしまった。フォーカスされた6人にも何らかの意図が感じられたし、それによってこの『ショパンコンクール』なるものがある程度定義づけられた。楽器を生業とするもの、音楽を聴くだけのもの、この狭間にこの作品を成立させんとする意欲は強く感じた作品であった。

mark108hello