劇場公開日 2025年9月26日

「知らない世界を知れたのは良かったが」ピアノフォルテ りあのさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 知らない世界を知れたのは良かったが

2025年10月6日
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鑑賞方法:映画館

知的

ショパンの出身国ポーランドの首都ワルシャワで、5年に1度開催されてるショパン国際ピアノコンクールは、出場するだけで名誉なことで、入賞すればその後の成功が約束されるため、世界中の若きピアニストたちがその頂点を目指している。
本作では、反田恭平さんと小林愛実さんという2人の日本人が入賞を果たした2021年・第18回大会の一次予選、二次予選、三次予選、本線の全4回、21日間の舞台裏を追い、コロナ禍で1年延期となった大会に臨む6人の出場者を取材。ポーランドのマルチン、ロシアのエヴァ、中国のハオ、イタリアのアレックス、レオノーラ、ミシェルなど6人が、それぞれ葛藤や苦悩を抱えながら競技に挑む姿を、映し出したドキュメンタリー。

予備審査を通過した87人が一次予選に挑み、46人が二次予選に進み、23人が三次予選へ、そして12人が本線へと、予選の都度約半分が振り落とされる過酷な大会だったことがわかった。
なぜ87人の中からこの6人が選ばれたのかはわからないが、取材拒否した人ももちろん居たのだろうと思う。
現に、反田恭平さんや小林愛実さんの取材は行われてないし、演奏風景さえ映らなかった。
本戦の結果発表は12人の中からまず5位の発表があり、4位、3位、2位、優勝者まで順番に発表された。小林愛実さんは4位になったのに表彰式の映像にも映らず、これは意図的に拒否されたんだろうと思えた。どんな様子だったか見たかったのに残念だった。
ポーランド人マルチンの途中棄権には驚いた。体調不良と言ってたが、プレッシャーが半端ないのだろうと感じた。
ハオの先生が2000年の大会に挑戦しようとしてたのに諦めた話が現実的だった。それくらい厳しいものなのだということなのだろう。
ロシアのエヴァの先生はケチをつけてばかり。フィギュアスケートやバレエでもそうだったが、多くの生徒の中から教えてやってるんだという態度がロシアの教師の伝統なのかも。凄く感じ悪かった。エヴァは17歳と若くて綺麗なのに笑顔がなくて顔が怖かった。
本線には進めなかったが、ミシェルが楽しそうで良かった。
ただし、優勝者ブルース・リウ、2位の反田さんの演奏がどんなだったのか作品の中で紹介しても良いのでは、と思ったし、全く聴けなかったのは残念だった。
16歳から30歳までがこのコンクールの参加資格らしく、パオとエヴァは2025の大会にも挑戦するようなので、今年の大会の様子もフォローしてみようと思う。

りあの