We Live in Time この時を生きてのレビュー・感想・評価
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時間軸を越えてあふれ出す人生の輝き
思いがけない感動作で、思いがこみ上げてきた。『500日のサマー』『アバウト・タイム』を思い起こさせる趣きある本作が伝えるのは、人生や物語は線形ではないという真理。物語がシャッフルされ、時間軸を行ったり来たりしながら主人公二人のラブストーリーを点描する。最初にいきなりこれを食らうと「?」と一瞬だけ混乱するが、理解が追いつくとこの語りの構造そのものがタイトルを象徴していることに深く納得がいく。私たちは生から死まで長いトンネルを歩いているのではなく、ある意味で「瞬間の連続」を生きている。それも悲しみや苦しみに蓋をするわけではなく、あくまで一つの生き方として、喜びに包まれた思い出や記憶の一瞬一瞬を噛みしめることで、生が尊く瞬きだす。そんなメッセージが胸を熱く震わせる。もちろんこれはピュー&ガーフィールドの魅力あってこそ。彼らが奏でる驚きと笑いと率直さに満ちた化学反応が、輝きを永遠のものとしている。
今この瞬間を一生懸命に生きる
これが私の終活
家族と生きるということを最大限肯定したくなる作品。
記憶を思い出す時の時系列
苦しい時、相手が嫌いな時、めちゃ好きな時、子供産まれた時、子供愛しい時、子供いなければと思う時、忙しい時、自分を見失った時、なんとかかんとか。。。全て。
今いる自分が感情と記憶を結びつけた状態で、何かを思い出すという作業をしたならば、時系列では無い色々な断片が脳内に出てくる。
それを丸ごと、客観的に体験出来た映画でした。
それでも、要所要所でフリが聞いていて。
やはり、この人生は明日につながっている。
卵を割る方法は、彼女に受け継がれている。
映画でもなんでも、物語上の時間の使い方は自由であるのだが、自分が思い出したり、感じたりするプロセスと同期している様な不思議で、そして感動せずにはいられない映画でした。
まさに今を生きるですね
とにかくそれぞれのエピソードの時間(時代?)があっちこっちに飛ぶので、それに付いていき内容を消化していくだけでひと苦労でした。私はじっくり考え思いを巡らせたいタイプなので、本作品のように短いスパンで展開していくのは少し苦手ですが、それでも理解できた範囲では、深く胸に響くものがありました。
各エピソードには全く無駄なところがなく、主人公の男女、それぞれが価値観や生き方に違いがあれど、その時その時で精一杯、自分の出来る範囲で行動し、判断し、生きる姿が印象的でした。あらためて、男女が共に生きていくにはお互いの尊厳を認めることが大事なんだな、と思いました。
ロマンス映画として生涯一位
今後の人生で何か辛い事が起きても、それも自分の人生の一部だと、「どんな出来事も愛おしく、後悔はしない」という考え方で生きていこうと思えた。
事故にあったり、病気になったりと、どんな不幸事も突然起こるもの。その全てを好転的に考えれるかによって、過去を振り返った時、自分の人生が豊かだったかどうか決まる。突然余命半年と宣告されたとして、今の自分にそれを受け入れ、作中の2人のように「陰気な1年じゃなく最高に楽しくて前向きな半年を過ごす」と考えられるか?今作は全体的にクヨクヨ悩むシーンが少ない。
この映画は時系列がバラバラの状態で話が進んでいく。各シーンをパート分けして過去、未来を行ったり来たりする構成。今のシーンがどの時期の話かは観客側が汲み取らなければいけない為、映画慣れしてない人は少し難しいかも。しかし、この構成のおかげで各パートごとに分かりやすくメッセージを詰め込む事に成功していた。本来ならクヨクヨ悩むシーンで時間を割くところでも、急にシーンが移っていく為、非常に話のテンポが良く、シーン事に何を伝えたのかが明白化されていた。
今作は男女の思考のすれ違いが軸になっていたと思う。
男性は遠く(未来)を重視し、女性は近く(現在)を重視する。彼は子供を持つ未来を想像し、彼女は仕事に打ち込んでいる現在を大切にしようとしている。
どちらが正しい訳では無いが、お互いに思考の違いを尊重し常に前向きな答えを導き出す事が大切だと思えた。
今作の白眉であろう出産シーンは生々しく、リアルな演出であった為、全身の力が入り心身ともに疲れた。
泣かせる展開ではないが心には沁みた
病気で亡くなる人を描いた映画を余命映画と呼んで観ない友達がいる。感動させようとする雰囲気が好きじゃないらしい。その気持ちも少しわかる。
本作は一組の夫婦が出会ってから、妻の病気が見つかって亡くなっていくまでの物語と思っていた。ところが時系列がバラバラで2人のエピソードが語られていく。しかもそこには説明も何もない。髪型とか体型とかその状況でどの時代なのかを判断するしかない。ちょっと不親切だなと思ったが、意外とすんなり理解できる作りになっていた。脚本がなかなかうまい。
時系列ではないし、闘病の姿もそれほど多くはない。何よりもラストが意外なほどにあっさりしているから泣けるような展開ではなかった。でも、妻アルムートが亡くなることがわかった上で観る、彼らの幸せなシーンの数々がとても切なくてなんと愛おしいことか。
美味しいものを食べて、たっぷり寝て、セックスして、家族と穏やかな過ごす。幸せってそういうことだよなと改めて思う。後半のアルムートの行動は本当に家族のためか?と思わないでもない。でもそれの何がいけないのか。命が限られている中で好きなことをやりきるわがままくらい許されたっていいだろう。ただ、残されるトビアスとしては心配になるよな。その気持ちも痛いほどわかる。
愛する者との別れは誰にでも訪れる出来事。いつか自分も味わうはずだ。そのときどんな行動がどれるだろうかと想像してしまう。アルムートとトビアス、どちらの立場になるのかわからないが、悔いのない生き方をしたい。そんなことを考えさせられる映画だった。
フローレンス・ピューは不思議な魅力を持った女優だ。強めの目力があって、本当に楽しそうに笑う。いろんな表情ができるからいろんな役ができるのだろう。本作の彼女も本当に素晴らしかった。
お涙頂戴の展開にならなかったのはイギリスとフランスの合作だったからかも。ハリウッドで作っていたら間違いなく観ている人を泣かせにきていたに違いない。いい余命映画だった。それでも余命映画嫌いの友達には勧められないけど。
スパイダーマンから優しい好青年に。
感動した!けど、この生き方の選択は難しい
観始めて暫くは時間軸の交錯に、やや戸惑いもしましたが、なんとなくこんな作りなんだなと納得してからは違和感なく作品の没入できました。
なんといっても夫婦役二人のキャスティングが絶妙だったと感じます!
身体全体・表情全体・そして声からも意志の強さがビンビン伝わるフローレンス・ピュー、そして思慮深い(ように見える)が、どこかテンプレ的な家族観を抱いているアンドリュー・ガーフィールド、この2人なくして作品は成立しなかったのではないかと思いました。
なんだかね、両方の気持ちが分かるのですよ、ただの弱っていく母親としての記憶だけになるのはイヤだ。
いやいや、まずは娘のため、僕のため、そして君のためにもここは病気に勝つことが第一目標だよね。
うーん、どっちが良い?答えは出ないですよね。とても切ない。
二人を取り巻く両家の家族たちも良いアクセントで、互いに片親を失っていて、特にトビアスのお父さんが妻への記憶を語るシーンは感涙ものでしたし、そこからソルトレークに繋がるなんて。
それと、一緒に戦った彼女の空気抵抗を減少させた坊主頭も良かったなぁ。
全体を通じ、個人個人のエゴや優しさに溢れていて、心に響きました。
制作に関わるカンバーバッチの顔まで浮かんでくるようでした。
上映開始から結構日が経っていたのに、スクリーンで観ることができてとても良かった!
圧巻のフローレンス・ピュー
喜怒哀楽が詰まっている
ありきたりな設定ですが、予告編とあらすじで心惹かれるものがあり、ずっと観たかった作品です。公開から3週間も経ってしまいましたが、やっと観られました。平日昼間にしてはまだまだ観客も多かったです。
時間軸の設定は知らなかったため、最初はかなり戸惑いました。もう妊娠?とか、なぜ突然離婚?とか。メイクや髪型、お腹の大きさなどで時期は判別できますが、最初の時間移動は雑すぎると思いました。でも結果的に、時間が前後することによって死に近づく暗い流れにならないのがよかったです。
出産シーンの電話でのやり取り等がとても面白かったです。誰も笑っていなかったので、笑いを堪えるのが大変でした。
主演2人の演技が素晴らしく、感情移入しやすかったです。2人がしっかりコミュニケーションをとり、時にはぶつかり合って絆を深めていく様子が良かったです。
時間を大切に生きていこうと改めて思いました。
観ている人は、最初、目が回るかも知れないが。
予告編で見たときには、深刻な内容ではあるが、陳腐に陥りがちな設定と思った。しかし、脚本には工夫があった。それが、時制のシャッフル。
見ている人は戸惑うだろう。興味を失ってしまうかもしれない。しかし、少しだけ我慢して観て欲しい。それは、最も基本的なプロットが映画の中心に据えられているから;生と死。特に、主人公の陥る重病だけでなく、生の原点が余すところなく描かれるのがよい、十分な配慮の元に。しかも、時制がシャッフルされることにより、「生」に光が当たり、明るい気持ちで観ていられるのが救い。
我々にとってうれしいところ;シェフたちのコンペティション、ボギューズ・ドール(金のボギューズか)の場面は、あの「料理の鉄人」を思い出させた。英国では、デザートを含めて料理人のコンペティションが盛んで、TV番組としても放映されていることは知っているが。丸ごとのタコが出てきたところもおかしかった、西洋では、タコは「不吉」の象徴だから。今や、和食は世界の食事の頂点にあることが、まざまざと感じられた。やや身びいきか。
ただ、難があることも事実。女性の主人公は、厳しい化学療法を受けているとは言え、へばっているようには見えなかった。そのための髪の処理であったのか。出産に至るステップにも、無理な設定が。奔放なのはよいけれど、少し過ぎたかな。でも、それらを補って余りある映画。是非、劇場で。
宝物のように大切にしたくなる映画
フローレンスピューだし、アンドリュー・ガーフィールドだし、製作にカンバーバッチだし。
というマーベル要素に釣られて鑑賞。
期待以上の良さで、最終盤は涙でぼろぼろに。
久々にいつか見返したくなるような、宝物のような映画になった。
ただモンタージュの組み立てが複雑で、そこが良い点でもあるのだが、慣れてないとちょっと難しさがあるかも。あとあと確認すると組み立てや構成が秀逸なので、映画制作の良い教材にもなるんじゃないかと思う。
可愛くて、楽しくて、元気をもらえて、ちょっと危なっかしくて魅力的。
「サンダーボルツ*」に続き、フローレンス・ピューが見たくて行きました。
これがまたいい!
なんか可愛くて、楽しくて、元気をもらえて、ちょっと危なっかしくて魅力的。
完璧に彼女にやられた〜。
いわゆる「余命」ものだけど、全然暗くない。切なさ辛さはあるけど、楽しく、弾けて泣ける映画。しっかり今を生きるということにコミットしていて、迷いのない主人公でした。それがとても彼女に合っていた。
この映画の面白いところは、時間軸をごちゃごちゃに描くところ。
最初にもう知り合っていたと思うと、次に出会いの交通事故のシーンがあったり。子供がいたと思うと、次にお腹のデカいシーンになったり。それぞれのエピソードが脈絡もなく時間が前後する。回想でもなく、過去に戻るというものでもなく、あくまでも、生きている現在の時間という描き方。見る側は、髪型などでどの時間かはそんなに混乱なく見ることができる。
その考え方は、過去や現在、未来が一緒に存在するということなのかもしれない。
(楽しかったことは、もう存在していて消えない、いつまでも存在するというか。)
だから、ラストは、彼女が一番輝いている時間でお別れを笑顔で言って終わる。爽やかさしかない。
フローレンス・ピューは、かなり脱ぎっぷりがよく、普通に裸のシーンがあったり、妊娠時はお腹のでかい裸体まで見せる。ドラッグストア(らしきところ)での出産シーンは下半身裸でリアルだし。
それに丸坊主にもなってしまう。
映画に対する本気度が日本映画とは違うな、と思う。(今回は英国・フランス合作)
リアルさを大切にし、少しでも嘘があれば、この虚構世界が嘘になってしまうことをよく知っているんでしょうね。
特に女優の裸に対する考え方に、日本の映画は本気度が足りない映画が多いと思う。(日本でも本気で脱いでいる映画もあることはあるけど)
まあ余談でした。でもとてもいい映画でした。
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