劇場公開日 2025年6月6日

「誠実さと清潔感に溢れる良作」We Live in Time この時を生きて あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 誠実さと清潔感に溢れる良作

2025年6月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ジョン・クローリー監督の「ブルックリン」はとても好きな作品である。アイルランド出身の女の子がアメリカに移住して結婚し一度はアイルランドに帰るが再びアメリカに戻ってくる、筋としては何ほどでもない内容ではあるのだが、なんともいえない品の良さや清潔感が好ましかった。
本作はアルムートとトビアスのカップルの物語である。いわゆる難病ものカテゴリーでありプロットを聞いただけで観たくなくなる人もいるらしいし、映画評としても時代錯誤という手厳しいものもあった(本当に観ているのか疑問)
確かに全体としては妻の病気を夫婦が乗り越えようとするストーリーであり着地点も想定通りではあるのだが単なるお涙頂戴ものにならないようきめ細かい演出上の工夫がされている。その一つが時制の錯綜である。大きくいって、出会いと一緒に暮らしはじめるところが第一の時制、がんの罹患がわかるところ、そしてがんを乗り越えて出産するところまでが第二の時制、そして化学療法が上手く奏功しない中、アルムートが料理の世界大会に出場するところか最後の時制である。この3つの時間の流れを巧妙に出し入れしながら映画は進んでいく。
全体として感じられるのは、もちろん架空の人物設定とはいうものの、自分たちがスクリーンに登場させたこの2人の人物の今を生きる姿を、誠実に映し出したいという制作者たちの意向である。
そこには観客に媚びるところが全くない。どうです、感動的でしょ、ここで泣いたらどうですか、といった姿勢が微塵も見えないのである。
そこが、日本映画では、毎月のように上映されるエモーショナルな作品群とは全く異なる。
あと一つ、特筆すべきは、主役のフローレンス・ピューの肉体的な力強さである。体幹にしても、手足にしても、実に分厚く、逞しい。ここが作品に強力に説得力を持たせている。日本のじゃりタレ女優と比較してみればよく分かると思う。
セックスシーンもそこそこあるが、不思議なことにあまりいやらしくならない。そこがこの監督の品の良いところでもある。

あんちゃん
Mr.C.B.2さんのコメント
2025年7月3日

共感どうもです。
フローレンス・ピューの肉体的な力強さである。体幹にしても、手足にしても、実に分厚く、逞しい。⇒私は、「フローレンス・ピューは脚が太くて短い。」と書いた事があります。ウーン、品が良く無かったなあ。

Mr.C.B.2
大吉さんのコメント
2025年6月11日

映画に品の良さって大事ですよね。
誠実という言葉が浮かんでくる映画でした。

大吉
PR U-NEXTで本編を観る