「期待作として観ると・・・」おんどりの鳴く前に サムさんの映画レビュー(感想・評価)
期待作として観ると・・・
雑誌などの評価が高かったのとルーマニア映画と言う珍しさから期待度を高めて観に行きました。映画館は平日の昼間なのに満席で、観る前からいやが上にも気分は盛り上がっていました。しかし・・・。
この残念感は何だろう?推理ドラマでもなく、政治ドラマでもない。主人公の警察官の買収されそうになる葛藤も、そして、部下の新人警官を好きになれなかったのに、殺されると爆発させる悔しさも、まして、別れた元妻の「あなたは昔から正義感が強い」と言うセリフも、なぜか、響かない。つまり、すべてが中途半端で、ストーリーとしては十分緊張感があるはずなのに、このドラマの最大に重要な緊張感が失われてしまっているとは言いすぎか。
題名は聖書でのイエスが弟子のペテロに言った言葉「あなたは雄鶏が鳴く前に三回嘘をつく」から来ているのは間違いがないのだが、この映画で噓を言ったというか、自分自身に嘘をついたのが主人公ということを言っているのだと思う。だから、彼は、雄鶏を捕まえて、鳴かない様に=(自分に)嘘をつかない様にしたかったのだろうが、そこもピリッと効いていない。良い味わいがないわけではないが、だからこそ、残念な映画と呼ばざるを得ない。最後の銃撃戦は、黒沢清の「Cloud」みたいで、笑える。これは、喜劇だったのか?
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