「あの設定を活かしきれていない」死に損なった男 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
あの設定を活かしきれていない
強い思いを残して亡くなった幽霊が登場する映画はよくある。本作に登場するのは、娘につきまとう元夫を殺せと依頼(というよりも脅しに近い)する元教師の幽霊。死に損なった男・一平がこの幽霊・森口を見える理由がちょっと珍しい。面白いのは、森口が一平に触れられるということ。さらには彼にまつわる物体にも触ることができる。なんて都合のいい設定!この設定を活かしきれていないのも少しもったいなかったけど。
娘の元夫を殺したい父親(幽霊)と、死に損なった構成作家と、元夫に怯える娘と、元嫁とよりを戻したい男が絡み合う物語は、それなりに面白かった。一平が森口のことを見える理由がちょっとした伏線になっているところもよい。若干コント的な内容だったからか、水川かたまりの演技もあまり気にならなかった。
ただ、娘の元夫をどうしても殺さないといけない理由が今一つ伝わってこない。どうしてあそこまで執着するのか。もしかしたら森口が亡くなる直前のあの描写。彼は娘の元夫を殺しに行こうとしていたのかもしれない。それくらい精神を病んでいたとしたら、森口が立ち直る話でもあったということか。そう考えると話の展開もやはり珍しい。
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