「技術は高い」死に損なった男 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
技術は高い
たい焼きを買わなかった男、
が、
たい焼きを買った男になる。
自力で人生を変えようと、
自力パラレルワールド、
でも、何も変わらない、
もがく男の哀愁と、微細な描写に宿る感情の力で、
意外な展開に・・・
このシークエンスの描写が細かい、
改札口のタッチ一つにしても、
主人公が触れないことでその無力感、焦燥感、
後ろの男が雑にカードを置くことで、
他者との対比が際立ち、、その微細な描写からも、
人物の感情を引き出す力に驚かされる。
セリフも使わず、状況を見せていく技術は高い。
が、
フィクションをさらに濃縮したような、
本作のようなワンダーワールドには 、
ピラティス、コントバトル周辺だけでも、
豪勢さが欲しかった。
細やかなエンタメ的描写力で、
主人公の心情を推進力に変える手腕は確かだが、
そこに豪奢さという名の「あと押し」があれば、
葬式ネタも、より観客の胸に響いたかもしれない。
国語の元先生の黄色いオ二ツカが、
エンタメ予算としては限界か。
死に損なった系で、
低予算でうまくいってるのは、
天国から来たチャンピオン(といっても、ラムズ全面協力)以外に、
四畳半系は除いて、あっただろうか。
とはいえ、後半にかけての、
アイデア勝負の展開は、ニヤリとさせる渋い逸品だ。
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