未完成の映画のレビュー・感想・評価
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すごいものを見せてもらった…
始まりから何がリアルで何がフィクションかよくわからないままこの作品の世界へ。でも冷静に考えてこのシーンにカメラマンがいるの変だよね?というところで初めてフィクションの世界である事に確信を持って落ち着いた(笑)
後から読んだ説明で監督が婁燁ご本人ではないところでわかりやすくフィクションであることが提示されてるんだと気づいたけど、観てる時はそんな事も思いださないくらいリアルさに戸惑っていた(笑)
理由は今でも正確にはよくわからないけれど、とにかく心を揺さぶられ、終始うるうるしながら鑑賞。観る前は購入を迷っていたパンフを終了後迷いなく買い求めに行った。そしてパンフを読んでまた泣きそうになった…
ありえない事態で突然人との絆がブチっと切られても人は人との繋がりを求める。人間の根源みたいなのが浮き彫りになっていてなんだか心が震えた。フィクションだけどドキュメンタリー。文字だけだと胡散臭くも伝わってしまいそうな表現だけど、そうとしか言い表せない作品。貴重な記録映画に思えた。
私は中国文化に詳しくないので映画に流れる音楽のこと、歌詞の示す意味などはちゃんとわからず終わってしまったので少し勿体無いなという感覚。届けたい人には届かないのだろうなという思いもして歯がゆい…
上映後には客席から力強い拍手が沸いていた。そんな体験は日本の劇場では珍しい気がして、思わず私も拍手した。
看邻座中国人哭成这样一定一头雾水吧不用共享这种集体记忆你们就偷着乐吧💔
あの三年間を実際に経験した者として、映画が始まってからわずか20分ほどで涙が止まらなくなり、そのまま最後まで泣き続けてしまった。館内にはすすり泣く声も響き渡り、実際には中国人一人ひとりが「自分自身のために」泣いていたのだと思う。
意外だったのは、この映画がすごく控えめな演出で、しかも前向きだったことだ。イデオロギー的な主張は一切見られず、『天安門、恋人たち』のように時代を鋭く振り返る視点もない。監督の語り口は終始理性的で、「コロナ禍が人々の生活を変え、自分自身の映画観までも変えてしまった」と静かに述べるにとどまっている。本作の長所であると同時に限界でもあるのは、語られているすべてが、あの三年間を生き抜いた中国人の“リアルな感覚”に基づいているという点だ。
それらが天災だったのか人災だったのか――語られることはない。しかしその答えは、エンディング曲の「一生をかけて、この足元の土地を愛する理由を探している」という一節に、静かに託されているように思える。
物語は、ある架空の映画撮影隊を主軸に進行しつつ、あの三年間に本当に起きた出来事、そして市井の人々によって短編動画として記録された映像を挿入することで、虚構と現実の境界を揺らがせ、映画と新たなメディアとの垣根さえ曖昧にしていく。カメラは監督の手から、声を上げるすべての人々の手へと渡されたのだ。
ロウ・イエ監督はまるでこう語りかけているようだ。「カメラを一度置いて、武漢の夜空に漂っていた“鎮魂の曲”に耳を傾けてみよう」と。
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