「設定と配役で大体バレているので、ポアロ式にした方が良かったのかも」ブラック・ショーマン Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
設定と配役で大体バレているので、ポアロ式にした方が良かったのかも
2025.9.12 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(127分、G)
原作は東野圭吾の小説『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』
元中学教師の不可解な死に迫るマジシャンを描いたミステリー映画
監督は田中亮
脚本は橋本夏
物語の舞台は、日本のどこか
結婚を控えた神尾真世(有村架純)は、婚約者・中條健太(伊藤淳史)との未来に向けて歩き出そうとしていたが、その矢先に父・英二(仲村トオル)が亡くなってしまう
結婚式は延期となり、真世は父の身辺のことを警察に聞かれるものの、思い当たる節はなかった
そんな折、警察のふりをして現場に潜り込む男がいた
彼は英二の弟・武史(福山雅治)で、彼は自身の洞察力を持って独自に捜査を始めてしまう
真相を知りたい真世も協力することになり、手始めに「英二の携帯の着信履歴」から推測される容疑者を洗っていくことになった
真世の結婚と同時に同窓会も開かれることになっていて、英二は多くの同窓生たちと連絡を取っていた
また、なぜか東京に出向いているという情報もあり、真世は父の知らない一面を知っていくことになるのである
映画は、特殊能力の持ち主が刑事を出し抜くというもの、どこかで見たような構成になっている
被害者の兄というところが近しいのだが、家族が死んでいるのに「犯人探しごっこ」を始めてしまうところが寒くもある
いわゆるリアリティは完全に無視したエンタメを追求していて、「福山雅治がカッコよく事件を解決するのを見たい」という人向けになっていた
娘の結婚式と同窓会というイベントが重なっていて、それによって「同級生が容疑者に挙がる」という展開になっていて、そのために「10年後のそれぞれの生活」というものが加味されていく
誰しもが自分の生活を守りたいし、降ってわいたような同級生の成功にあやかりたい人もいる
そんな思惑を醜いとまでは思わないが、社会人ならば、同級生の口利きでなんとかなるとは思わないだろうし、宝くじが当たったら親戚が増えてしまう現象のような気もする
犯人推理の過程は容疑者を調べておかしなところを突くというもので、文字通り「警察にはできないこと」をやってしまう
それでも「遺体に目を背けた」で容疑を色濃くするというのも何だかなあだし、元から目星をつけている者に周囲の反応を見せて追い詰めていくのも趣味が悪いと思う
兄の部屋で卒業文集の場所が入れ替わっていたというので大体わかっていると思うし、犯人が「何かを奪いたかった」ということもわかるだろう
だが、そこから一つでも無くなったら容疑は濃くなるわけで、「ちゃんと話せばこんなことにならなかっただろうな」と思えてしまう
それは結果論ではあるものの、登場人物の中で一番追い詰められていた人物でもあるので、避けられない事態だったのかもしれない
いずれにせよ、面白いかどうかは微妙だが、カッコいい福山雅治が見れるのは間違いない
ここまで犯人が誰かを書かずに、観た人にだけわかるレビューを書くのも難しいものだが、ネタバレは避けた方が良い作品でもあると思う
中学時代と現在をオーバーラップさせて演者を変えるという斬新な方法で混乱させないし、その演出は効果的だったと思うものの、テーマ曲が多用されまくって、ぶっちゃけると「やかましい映画」だったと思う
そういった面も含めて、刑事(生瀬勝久)がギャフンというところを見たい人には良い映画なのではないだろうか
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
